Posted by ブクログ
2015年07月26日
日本特撮党党首、われらが美潮さまの渾身の一作。腰巻きに寄せられてる昭和トリプルライダーと水木アニキからの推薦文。表紙を開く前にいきなり豪華すぎる。
イケメンについて書いてあるのかしらん、なんて思うと思い切り返り討ちに遭います。硬派!初期の特撮作品に関する記述がすごいボリューム。川内康範先生の3部作...続きを読むについてとか、個人的に待ちわびた論考も満載でした(実はこれらの作品群がかなり好きだったんだけど周りにあまり共有できる人がおらず…)。
ライダー、ウルトラについては他にも詳しいだけならたくさんの本が出てるわけだけど、それらにとどまらない石ノ森ヒーローや巨大ヒーロー、カルトヒーローたち(ズバットはこの枠)についても頁が割いてある、特撮ラバーには嬉しい内容がいっぱいで物足りなさは感じなかった。
また、個人的にはスーツアクターさんについての章が非常に“痒いところに手が届く“もので、いっそのこと美潮さんに次はスーアク論を分厚いボリュームでお願いしたい!と思った。
昭和世代の私たちには最近のスポンサー縛りがきつすぎる中での作品づくりについて、状況に理解はできつつも何とももどかしい思いがあると思うのだけれど、そこは著者も思いを強くするところなのだろう。愛情は抱きつつ(愛するがゆえに)苦言を呈さずにはいられないつらさが滲み出ているように感じた。
個人的に思うところがまったくないわけではないのだけど、そこは単に好みや思い入れの問題であって言い出すとキリがない。それより、これだけの労作をものした著者に敬意を表する思いで☆5です。
追記:最近の作品は自主規制もあってか人が死ぬシーンを見せない、という表記があったように思うが、たとえば最近の平成ライダーでは「鎧武」など物語上表現される“人の死“についてきちんと描かれていたことは記しておきたい。