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「弱者にやさしい政治を」「差別のない明るい社会を」といった、だれも異議を唱えることのできない命題やスローガン。しかし、現代社会における「弱者」とは、ほんとうはどういう存在なのだろうか? 多様性をはらんだ一人一人が「弱者」と一括りされることで特権性を帯び、他者とのわだかまりを生んでしまっているのではないだろうか? 本書では、障害者、部落差別、マスコミの表現規制など、日常生活で体験するマイノリティの問題について、私たちが感じる「言いにくさ」や「遠慮」の構造を率直に解きおこしていく。
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Posted by ブクログ
「差別」というわかりにくい概念を、そのわかりにくい部分について感覚的な視点から解明している本です。 弱者とかそうゆう問題ではなく、「自分はほんまにかわいそうな人間やねん」と思ってる人が一番かわいそうです。 差別問題に違和感を感じている人なら、大方同調できるのではないかと思います。
ずいぶん昔にこの著者のいじめについての本を読んでなるほどなあ!と思ってたところにたまたまこの本が目についたので。 そこまでおお!みたいなのはなかったけど、難しいテーマに斬り込んでいくのはさすが。(今ひとつ納得いかないのも多いけど) 世の中空気を読み過ぎて臭いものに蓋してばっかり、てのはほんとにそう思...続きを読むう〜
個性と平等、部落問題をしっかりと捉えるのに役に立つ書。大学教授にもなって、成績上位者の掲示に反対して、成績下位者の人権が保たれないという。成績が悪いことを明らかにするほうが、人権が確保されるとでも言うのだろうか?
原発事故や生活保護不正受給等々で「弱者」が騒がれるこの世の中、弱者ってなんなのかを考えた本。 読んで損はしないとは思う。もうちょっと踏み込んだ話を展開してほしかったが、それは新書の限界か。
脳性まひとして生まれて61年,人間は不公平は無いとようやく実感することができた。もちろん、弱者ではない。
読みやすくて、興味深いことが書かれていました。 中でも興味深かったのは、マスコミの言語規制のこと。いきすぎた言語規制は、本来の意味を見失いつつあるように思います。「肉屋」では駄目で「精肉業者」にしろなんて、なんておかしな話だろう。表面だけを変えたところで意味はないし、そうすることで糾弾から逃れよ...続きを読むうとしているかのようにすら見えます。 あとは、逆差別の問題。被差別者に対して保護を、と優遇措置が行われている。しかし、これも言語規制と同じように目的を見失っているように思いました。弱者というのは、「社会で生活する上で何かしらの不利を生じるもの」という意味では、支援が必要な場合もあるでしょう。けれど、何が必要で何が不必要かをしっかり見極めるべきではないでしょうか。弱者を聖化するのは違うと思うんです。 「平等」が叫ばれる中、差別を許さない雰囲気が高まっています。それ自体はとても良いことだと思うけれど、差別対象を見つけ出して保護するよりも、共に歩んでいく道を探すべきではないでしょうか。異なる共同性同士であれ、長く一緒にいて "慣れる" ことがその一番の近道になるのかもしれないと思いました。
昔は今の観念でいう「差別」はなかった。弱者利権が新たな差別を生み出している。語調がやや堅くとっつきにくかったのが難。
弱者、この本が取り上げるのは例えば被差別部落出身者や障害者なんだけど、彼らについて語るときに感じる遠慮みたいな、それは何だろうから始まる。 三つ挙げていて、その一つがある時代で広く支配的な「正しさ」の共通観念に人々は支配される。言ってみればちょっと流行った「空気」ってヤツ。 二つ目が「言ってみても問...続きを読む題は解決しない」とゆうあきらめ、もう一つが切実さの欠如、メディア情報の氾濫。 現代社会のいたずらな弱者の記号化みたいな、例えば電車の優先席とか、そこを問題にして何が弱者かを問うことから始めるべしとする。 情緒のファシズム、ことさらな言挙げや賛美が「弱者」に聖痕を残し不必要な境界線を引く可能性を指摘。 出生前診断と中絶について、それは障害児を持つ親と同じ直線上にある考えで、ナチスの優生思想的な差別には直結しないとゆう議論。『五体不満足』のことさらな明るさに対しても。 それとアイデンティティの主張で差別が不可欠になってしまいつつある被差別部落の話。マルクスが指摘した下部構造が上部構造を形作るとゆうものについて。差別ー被差別のパラダイムで物事を考えているのは現在のおれたちでその考えを過去に戻ってあてはめることはできないこと。小林よしのりの部落フェスの主張が現在では意味を持たないこと。 個別性と普遍性、言葉狩り、生産年齢人口の見直し、ハゲ、デブなどのエロス的領域の弱者など幅広く扱っていてとてもおもしろかったし勉強になった。 たださーっと読んだので細かいところの論理の整合性とかはあまり見なかったですけど。例えばガラス張りになった駅とか。ありゃ誰かが落ちたら他の客や経済全体への悪影響があるからと思うんだけど。
当事者のことは、当事者にしか語りえないのか。普段、その問いに「イエス」と答える人は、ぜひこの本を読んでみると良いと思います。明解な答えが出るとは思いませんが、何らかの形で、考える一助になると思います。 本文では、結構過激めいた発言もしていますが、ある意味ここまで「弱者」という言葉とその真意に切り込...続きを読むむ人は、貴重だと思います。特に部落問題をとりあげ、「弱者聖化のカラクリ」を説いています。確かに、「弱者」とは絶対的なものではなく、相対的なものとして考える必要があるのかもしれません(著者の発言に全面的に賛成することはとてもできませんが)。 小林よしのりの『ゴーマニズム宣言』への批判は、ちょっと大人気ない批判の仕方だな、とも思います。部落解放フェスティバルの真意は、小浜氏が推察するよりも別のところにあると、僕は考えます。 文体が気に触る人もいるかもしれませんが、参考程度に読んでみてはいかがでしょうか。 「むしろ私たちは、障害者の人たちの共同性のなかにも、健常者の人間関係と同じ問題(人間性のマイナス面)があるということに気づくべきなのだ。皮肉な話だが、そのことは、ただ同情心、道徳心から「あの人たちだってみんな同じ人間なんだ」といった美化の感情や一般化の論理に支配されている限りは、かえって見えてこない。ある世界、ある関係が持つ個別的な複雑さへの認識を深めることを通して、ほんとうの意味での「人間的共通性」を感じ取るべきなのである。」(p162-163)
障がい者や出生前診断、部落差別問題などをめぐって、われわれが感じる「言いにくさ」「遠慮」にひそんでいる問題を率直に提出し、それを突きつめて考えようとしている本です。 われわれが「弱者」というレッテルを貼って「聖別」をおこなうことで、ひととひととのあいだに成り立つ自然な交流が疎外され、「こわばり」を...続きを読む生んでいることに対して、著者は批判の矢を放っています。「予想される不幸感や大変さを避けたいと願う気持ちは、現に障害児を持っている親が、この子の障害を今すぐ取り除いてやる方法があったら、何でも試してみたいと思う心情とも同じである」と著者はいいます。そして、逃れられない現実に向きあおうとする個別的な経験を飛び越えて、出生前診断に対する批判をおこなうのは不適切だと主張しています。 次に部落差別問題に対しては、部落出身者には居住地域以外の外的な指標が存在しない以上、「部落差別は、そういう指標で差別してはならないという近代社会の原理のよいところがほんとうにきちんと貫かれるなら、必ず解消されるはずの差別である」という原理が確認されます。そのうえで、部落のアイデンティティを強調する戦略がかえって差別を助長する危険性を孕んでいることへの懸念を表明しています。 「弱者」をめぐるさまざまな言説に対する批判をおこなったうえで、著者は「弱者」の聖別を乗り越える道筋を探ろうとしているといえるのではないかと思います。とはいえ、著者は差別を克服する新しい〈理念〉を掲げているのではありません。本書において提出されているのは、「自分がなぜそのことを気にするのか、自分がそのことを問題にしようとする必然性はどこにあるのかということを、自らの経験と感覚の中に問い尋ねてみる」という、聖別を克服するための具体的な〈手続き〉だと理解するべきでしょう。
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