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NEC初のチーフデザインオフィサー(CDO)に就任した勝沼潤によるダイヤモンド・オンラインの連載「CDOの条件」の書籍化。本書が問うのは、製品中心で成長してきた日本企業が、いかにして体験価値を中核に据える企業へと変わることができるのか、という根源的なテーマである。
いまやCX(顧客体験)向上の重要性は広く共有され、多くの企業が取り組みを進めている。しかしその一方で、組織の思考様式や意思決定の構造は依然として「製造業型」のままにとどまっているケースも少なくない。機能を磨き上げた製品に“体験”を後付けしようとしても、断片的な施策に終わり、企業全体の価値転換にはつながらない。体験とは本来、顧客だけでなく、社員や取引先を含むすべてのステークホルダーとの関係性の総体であり、経営のあり方そのものに関わる問題だからである。
人間の行動や感情を観察し、構造化し、意味を与え、形にする営みこそがデザインである。だからこそ、体験価値を起点に企業を再設計するうえで、デザインは周辺機能ではなく中核機能となる。NECが「モノを売る会社」から「ソリューションと体験を提供する会社」へと変革する過程で、デザイン部門がサービス設計、ブランド戦略、コーポレートコミュニケーションを横断的に統合してきた実践は、その可能性を示す象徴的な事例である。
本書では、著者自身の変革経験に加え、12人の経営者・実務家との対話を通じて「深さ・幅・高さ」という視点からCDOの条件を掘り下げる。CDOとは単なるデザイン責任者ではない。製造思考から体験思考へと企業を転換させるための構造変革を担う、戦略的リーダーである。その存在がなぜ今、経営の中心に求められているのか。本書はその必然を明らかにする。
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