木枯し紋次郎(十)~虚空に賭けた賽一つ~

木枯し紋次郎(十)~虚空に賭けた賽一つ~

小説・文芸
550円 (税込)

2pt

5.0

上州の亀穴峠を行く木枯し紋次郎は突如襲われた。相手は山で育った八人兄弟。山刀、槍、弓矢、それぞれ独自の武器を使い、鍛錬を積んでいる。……行く手には「無」、引き返してもやはり「無」。無宿の流れ者、渡世人はそれでも、命を狙う者たちへ向かって前へ進むほかはない。――非情な紋次郎と哀しい女たちのドラマを描いて、股旅小説に斬新な世界を拓いた伝説のシリーズ。

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木枯し紋次郎(十)~虚空に賭けた賽一つ~ のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ

    本巻で注目すべき作品は「旅立ちは三日後に」。この作品が実に秀逸で研ぎ澄まされていて、それでいて切なくて、物悲しくて、胸に突き刺さった。いつも追われるように旅を続けていた紋次郎だが、この作品では珍しく(もはや事件的なレベルだが)特定の場所に留まり渡世人を辞めようかと考える。「え!」と思える事態だが、それにはちゃんと伏線を張っており、また紋次郎を受け入れようとしてくれる家庭の温かさが脱渡世人の説得力としては十分なものなっている。

    しかし、我々は知っている。紋次郎はまた旅立つことを。タイトルがそれを冷たく無慈悲に語っているではないか。それでなくても物語が続くためには、そうならざるをえないことを理解している。「木枯し紋次郎」がそういう物語であることを痛いくらいに知り尽くしてしまっている。だから・・・だからこの平穏が続かないこと、暖かな未来を夢見えないことを我々は分かってしまっている。そして紋次郎自信も・・・。

    やがて旅立ちの時は訪れる。その展開がまた上手く伏線を回収しており痛快。痛快でいて痛切。去っていく紋次郎の後ろ姿が、涙で滲む。

    0
    2012年06月02日

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