Posted by ブクログ
2017年03月10日
僕が刑事になるための実務研修に派遣された先で指導担当になったのが、赤松主任だった。
刑事らしからぬ物言いや態度に最初は戸惑うが、やがてベテランの刑事の凄さを知ることになる。
華やかな捜査、時間との戦いのような捜査、そして地道な捜査。
ときにはネタモトを明かせないような、それでいて信憑性の高い情報を手...続きを読むに入れる赤松に僕は驚く。
5歳の少女が狙われた事件には予兆があった。
しかし、それを見逃したのは交番勤務の警官であり、すでに証拠品は破棄されてしまっている。
幸いにも5歳の少女の命は助かったが、結局犯行をエスカレートさせた犯人は次の犠牲者の命を奪う。
集まる情報の中から犯行につながるものに注目する。
それは刑事の長年の勘のようなものだろうか?
聞き込みにまわる場面にも、赤松のベテランらしい味がよくでている。
聞くべきことは聞くけれど、けっして相手を見下したような態度は取らない。
「犯罪者は、強盗事件を起こそうとして、強盗事件を起こすわけじゃない。
ただ金が欲しいだけのことだ」
ベテランらしい味わいのある深い言葉だ。
ここに赤松の刑事としての矜持がこもっているような気がする。
読みやすかったけれど、物語としてはどうなのだろう?
淡々と捜査記録を読んでいるような感じがした。
もう少し展開に緩急があれば・・・と思った。