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Posted by ブクログ
「童貞相手なら何されても余裕だろ?ヤリチンくん(黒凪)」
〝Just look at me. Make me the only one who is special to Haru. I like it... Haru.〟
Eros度★★★★★★★★
おやおや。表向きは誰もが認めるヤリチン・早乙女晴と、クラスで浮いた存在の陰キャ・黒凪壱真。この対極な二人の組み合わせを見た瞬間から、期待値が最高潮。
「童貞相手なら何されても余裕だろ?」と高を括っていた晴が、まさかの見下していた黒凪にイカされてしまう導入から、もう目が離せません。普段は余裕たっぷりに人をからかう側だった晴が、声を上げて乱れていく様子は、本人以上に読んでいるこちらの胸をざわつかせます。強がりの裏にある動揺、屈辱と快感がない交ぜになった複雑な表情――その一瞬一瞬を丁寧にすくい取る筆致に、思わず引き込まれました。
けれど本作の真骨頂は、単なる立場逆転の面白さだけではありません。無口で何を考えているかわからないと思われていた黒凪が、実は誰よりも不器用で、誰よりも一途な想いを抱えていたと知る過程が、じわじわと心に染みてきます。父親の裏切りを見てきたからこそ「人を雑に扱いたくない」と心に決めている黒凪。その真面目さゆえに、晴への苛立ちも独占欲も、うまく言葉にできずにぶつけてしまう不器用さがたまりません。
一方の晴も、軽い恋愛を貫いてきた裏に、本気になって傷ついた過去を抱えていました。「本気になったって傷つくだけじゃん?」と自分に言い聞かせるように呟く姿からは、明るく振る舞う彼の奥にある臆病さがそっと透けて見えます。そんな二人が、体を重ねるたびに少しずつ本音をこぼしていく様子は、恋愛経験値の高いはずの晴が誰よりも初心に見えてくるほどです。
「俺だけを晴の特別にして」というまっすぐな告白に、「もうとっくにお前しか見てない」と応える晴。積み重ねてきたすれ違いの分だけ、この場面の破壊力は大きく、思わず息を呑みました。
濡れ場も本作の見どころのひとつです。最初はからかい半分だった行為が、回を重ねるごとに互いを求め合う熱を帯びていき、言葉にできない想いが体温として伝わってくるような描写が続きます。快楽と本音が同時にあふれ出す瞬間の描き方には、思わずページをめくる手が止まりました。
陰キャ×ヤリチンという分かりやすい構図の奥に、これほど誠実な心理劇が詰まっているとは思いませんでした。表面の軽さと内面の本気、そのギャップを味わい尽くせる一冊です。
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