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割礼、出生や命名の儀礼……。さまざまに復活しつつある文化状況を、家族の内面から描く温かなドキュメント。
地域社会に生きる人々の生活に根ざした視点から、中央アジアのムスリムたちの文化復興をとらえることを本書では目指す。政策レベルでの変化をふまえつつ、中央アジアの人々の生活世界にわけいることによって、ポスト・ソビエト時代の文化復興についての理解をより深めることができるといえよう。その生活世界とは、イスラーム受容や社会主義経験のあり方という歴史的経緯によって、幾重にも入り組んだ世界である。
中央アジアに暮らす人々のなかでもカザフ人は、モスク中心でないイスラーム実践を繰り広げてきたことが知られている。カザフ人たちは、とりわけ死者の霊魂をめぐる儀礼をとおして、彼らの宗教的世界を表出してきたという特徴をもつのである。死者をめぐる儀礼は、現代におけるカザフ人たちの文化復興のひとつの中心をなしているのであるが、それと対をなしてもうひとつの焦点となっているのが、子どもの誕生と成長をめぐる儀礼である。本書では、この誕生と成長にともなう儀礼をとおして、中央アジアにおけるカザフ人たちの暮らしを描き出していきたい。(本文より抜粋)
【目次】
はじめに
一 草原の村と多民族都市の人々──多様な歴史経験をこえて
1 中央アジアにおけるカザフ社会の特徴
2 多民族都市に生きる
3 草原の村に生きる
4 社会主義経験とカザフの諸儀礼
二 子どもの誕生と成長──ポスト・ソビエト時代の文化復興のなかで
1 子どもをめぐる状況と儀礼実践
2 出生祝と揺りかごの祝──現代化のなかの変容
3 生後四〇日の儀礼──伝統と再解釈(1)
4 紐切りの儀礼──伝統と再解釈(2)
5 イスラームの命名儀礼──再活性化のきざし
三 割礼・割礼祝の新たな展開──再活性化にこめられた意味
1 手術を読み替える──多民族都市の割礼
2 ムスリムになる/若者になる──草原の村の割礼(1)
3 「伝統的」割礼祝の試み──草原の村の割礼(2)
4 儀礼がつむぐつながり
おわりに
注・参考文献
【著者】
藤本透子
2008 年、京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程、研究指導認定退学。人間・環境学博士。
主な著書に『よみがえる死者儀礼―現代カザフのイスラーム復興』風響社、などがある。(2014年現在)
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