ミャンマーの土着ムスリム 仏教徒社会に生きるマイノリティの歴史と現在

ミャンマーの土着ムスリム 仏教徒社会に生きるマイノリティの歴史と現在

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仏教国に流入したムスリムたち。人口の一割を占めるという彼らが、さまざまな軋轢の中、この国を故郷として生き抜く姿を描く。

本書では、仏教徒が多数を占めるミャンマー社会において、民族的にも宗教的にもマイノリティであるムスリム住民が、社会に自らをどのように位置づけようとしているのかを明らかにしていく。ここで扱うムスリム住民は、ミャンマー国民でありながら、ミャンマー社会の一員として暮らす上で様々な困難に直面している。しかし、彼らは、イスラームを信仰するバマー(ビルマ族)、すなわち「バマー・ムスリム(あるいはミャンマー・ムスリム)」と称し、土着民族、あるいは国民としての意識を強く持って暮らすことを積極的に選択している。彼ら自身の自己認識は、移民の子孫ではなくバマーであり、そしてムスリムである。
以下、一九三〇年代にバマー・ムスリムという主張を始めた理由、また彼ら自身による歴史叙述の特徴を明らかにする。そして、現在、バマー・ムスリムが植民地時代とは異なった状況の下でミャンマー社会に対し自分たちの存在をどう示しているのか、さらに自分たち自身を現在のミャンマー社会にどう位置づけようとしているのか、バマー・ムスリムの歴史を教えることに力を入れている理由は何か、ということを明らかにする。……(本文より抜粋)

【目次】
はじめに

一 仏教徒社会のなかのムスリム

1 ミャンマーにおけるムスリム
2 インド人移民の増加──植民地時代
3 インド系であること、ムスリムであること──ミャンマー社会との関わり

二 バマー・ムスリムという主張とその背景

1 バマー・ムスリムとは
2 バマー・ムスリム意識の高まり──インド人ムスリム増加の中で
3 歴史叙述にみられる特徴

三 現代のバマー・ムスリム──組織活動からみる彼らの意識

1 ミャンマー社会へのアピール
2 土着民族としてのバマー・ムスリム
3 過去を学んで現在を知る──歴史教育の重視

四 新しい世代に向けた教育―イスラームセンター夏季講習

1 夏季講習の概要と目的
2 民族と信仰
3 ミャンマー社会におけるバマー・ムスリムの活躍

おわりに

注・参考文献

【著者】
斎藤紋子
東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程単位取得退学。博士(学術)。
おもな論文:「ビルマにおけるムスリム住民に対する見えざる「政策」:国民登録証にまつわる問題」『言語・地域文化研究』第13 号(東京外国語大学大学院、2007 年)。(2014年現在)

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