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「売上目標」「営業依存のプロセス管理」「顧客に従順な組織」「販促しかできないマーケティング部門」――それぞれ今や弊害が多く、不要なものだ。成功している企業はそれらを手放し、先に進んでいる。野村総合研究所のトップコンサルタントであり、自身もかつて営業を経験した著者が、19の先行事例から解説するマーケティング改革の成功事例集。将来の予測困難なVUCA(ブーカ)時代にモノを売る、すべてのビジネスパーソン必読の書!
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Posted by ブクログ
本書は、単なる精神論ではなく、徹底した「顧客視点」への転換がいかに企業の競争力を生むかを、具体的かつ論理的なフレームワークで解き明かしている内容でした。 1. 「売り手都合」から「顧客体験(CX)」への完全脱却 「営業プロセス」と「カスタマージャーニー」の対比にあります。 従来の営業が「リード創出...続きを読む→アポ→提案」という売り手側の論理で進むのに対し、カスタマージャーニーは「興味→関心→調べる→購入→共有」という顧客の体験軸で語られます。 この視点の違いを、ソニー損害保険は「ボトルネックの解消」という形で実践しています。各部門がバラバラに最適化されていた従来のオペレーションでは、顧客は接点ごとに重複した説明を受けるストレスを抱えていました。これを部門横断の「あるべき姿」に再設計することで、顧客体験をシンプルで分かりやすいものへと進化させています。 2. コマツに学ぶ「顧客の理想」を可視化する技術 特に印象的なのが、日本を代表するメーカーであるコマツの事例です。同社は「ブランドマネジメント活動」を通じて、顧客と長期的な議論を深め、顧客自身が気づいていない「究極のありたい姿(Vision)」を可視化しています。 理想の連鎖として 長期的な「理想」から中期の「使命」、短期の「目標」へと落とし込み、それを自社の「能力」や「経営資源」と結びつけるプロセスは圧巻です。 関係性の指標化は、 顧客との関係を「付き合うに値しない(レベル1)」から「コマツなしでは事業が成り立たない(レベル7)」まで7段階で評価するツール(図表4)は、売上という結果指標ではなく、信頼という先行指標を追う姿勢を象徴しています。 かつては「低価格・壊れない機械」を求められていたコマツが、今では「顧客の理想を実現するためのパートナー」へと変貌を遂げたプロセスは、全てのB2B企業にとっての指針となります。 3. デジタルを「顧客との接点」として再定義する リコーグループなどの事例に見られるように、現代の購買行動は対面と非対面(ウェブ、SNS、メルマガ)が複雑に絡み合っています。 本書は、これらをバラバラの施策として捉えるのではなく、一貫したカスタマージャーニーとして統合することの重要性を説いています。顧客が「どの接点でどのような思考(悩み)を持っているか」を細かく分析し、適切なタイミングで必要な情報を提供する。この細やかな「おもてなし」のデジタル化こそが、現代の戦略の肝と言えるでしょう。 まとめ:組織の「存在意義」を問い直す一冊 「カスタマージャーニーが必要だ」と口で言うのは簡単ですが、それを実現するために組織を改変し、評価軸を変えるのは容易ではありません。しかし、本書に示された成功事例は、顧客のWin(課題解決)を追求することが、結果として自社のWin(持続的な成長)に直結することを証明しています。 インパクトのあるタイトルに惹かれて手に取った読者は、読み終える頃には「売上目標を捨てる」という言葉が、実は「より高い次元で社会に貢献し、価値を提供し続ける組織になる」ための決意表明であることに気づくはずです。 「コマツの7段階評価」や「ソニー損保の重複解消」の中で、特にご自身の業務に通じる部分がありました。26年の仕事が明日から始まりますが、今回の内容を参照していきながら戦略、組織を考えたいと思いました
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青嶋稔
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