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青嶋五歩(あおしま・いつほ)は、これといった取り柄もない普通の高校一年生。見た目も普通、運動もダメ、友達もいない――。女子に告白しても速攻でフラれ、もうダメだと思ったその時、運命の人が……! 一目惚れした女の子に引き寄せられるまま、絵画教室に足を踏み入れた五歩。そこで《ゴッホ》と名乗る謎の幽霊と出会って……!? 《イケオジのゴッホ》と五歩の、新たな物語が始まる!!
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Posted by ブクログ
けっこう画廊漫画でいま興味のある題材だった。続刊に期待。主人公にはいつか背後霊ゴッホを上回るさくひんを描いてほしいなあ〜 いまひとつの画廊漫画「いつか死ぬなら絵を打ってから」と併せて読みたい。
何じゃ、こりゃ・・・ こんな風に書き始めたら、「え、つまらない作品なの!?」と未読の方に勘違いされてしまいそうではあるが、私としては、正直な気持ちを感想として書きたいので、あえて、訂正はしないでおく。 シンプルに驚かされた、この『ゴッホ、はじめました』には。物凄く面白い!! 元より、関崎先生は、漫画...続きを読むがどれも面白いので好きなのだけど、この『ゴッホ、はじめました』を読んで、ますます、尊敬の念が増強した。 ずば抜けた才能を持った画家の一人であるフィンセント・ファン・ゴッホをテーマにした作品だと、穂積先生の『さよならソルシェ』も強烈だったけど、「この漫画、好き」って意味合いでは、この『ゴッホ、はじめました』も決して、負けちゃいない。作風と言うか、ジャンルが違うので、どっちが上か、は決められない。 ゴッホの幽霊が日本の男子高校生に憑りつくってのも、関崎先生らしい表現だなぁ、と感じた。自分の得意なものっつーか、描きたいモノを描く手段、ざっくり言えば、武器を持っている漫画家は一味違うな、と私は思っている。 主人公である五歩が、単に、ゴッホに対する恐怖で気絶し、その状態の五歩に憑依し、絵を描くって訳じゃなく、ゴッホの動きに五歩が合わせ、絵筆を走らせる事で一枚の絵が描かれていくってのが良い。 描かれた絵に、ゴッホでは描けない、絵を描く、それに真摯に向き合う事で、画家としても人間としても成長していく五歩だからこそ出せる良さが、しっかりと表出しているってのが、実に熱い。このアオハル感のある熱さは、これまでの関崎作品には無かったもので、関崎先生の変化と成長も感じ取れる、そこも良いのだ。 ゴッホが、本当に、こんな性格で、他人と接していたのか、言い方は悪いが、そこはどうでもいい。大事なのは、ゴッホの的確な誉め言葉で、五歩が自己肯定感を強めていき、自分の中にあった熱を引き出していき、絵描きモンスターとして覚醒していく、そこだけだ。極端な言い方をすれば、芸術家ってのは、自己顕示欲の塊。褒められて伸びられる五歩がゴッホと出逢ったのは、必然だったんだな。 なおかつ、関崎先生が得意としていると言い切っても良い、甘酸っぱい恋愛要素も、しっかりと入っていて、ファンとしては実に嬉しい。ヒロインが全員、魅力的なのも関崎作品の特徴だ。もしかすると、五歩にメロメロリーンになっちゃうヒロインが、(2)では増えたりするのかな? どの話も、それぞれにグッと来るものがあって、全ての良さを語りたいが、さすがに、それをやると、ドン引かれ、この『ゴッホ、はじめました』を読んでくれる方が減りかねないので我慢。なので、私が推したい回は、五歩に画家としての確固たる矜持と闘争心が確かに芽生えているのが如実となった第6話「黒海樹と青嶋五歩」だ。五歩、良いぜ、その熱さッッ この台詞を引用に選んだのは、努力する事の大切さを感じ取れるものなので。 努力、それは大切だ。 しかし、何も考えずにやっていたら、それは努力ではない。 どんな結果に辿り着きたいか、成果を出したいか、を頭と心で考えた上で体を動かしてこそ、自分を裏切る努力として結実する。 一心不乱に1000枚を描いた五歩の努力は、傍から見れば狂気じみている。 だが、いつだって、世に名を残す者は、周囲が理解できないほどの量と、妥協を許さぬクオリティの努力をしていた。 数を熟せば良いって訳じゃないにしろ、少なくとも、1000って単位に到達したのなら、それは無駄な努力じゃないだろう。 常人どころか天才にだって出来ない努力だ、それは。 ゴッホの賞賛と承認の言葉を受け、五歩が、1000枚を描き切った自分の手を誇らしげに視るのが、実に最高だ。 「僕・・・・・・少しは成長したのかな・・・?ただ、必死に、君の手を追ってただけだけど・・・」 「1000枚を描き切ったのは、伊達じゃない。君の手には、力が、しっかりとついてるさ」 「・・・・・・そう・・・かな」(by青嶋五歩、フィンセント・ファン・ゴッホ) そんで、もう一つ、この台詞に、私の胸は殴られた。 人によっちゃ、青臭い、と鼻で笑うかも知れないけど、私は大好きなのだ、こういう宣戦布告が。 本当に、自分の中に「譲れないもの」があって、そこを穢されて怒れる人間にしか言えない台詞だ、これは。 コイツに勝ちたい、そんな思いを得た五歩が、画家として、どう化けるのか、実に愉しみ。 にしても、関崎先生、ほんと、黒海みたいな、読者に、コイツ、ムカつくなぁ、と思わせ、絶対にコイツをぶっ飛ばせ、と主人公を応援したくなるキャラを作って、動かし、喋らせるのが卓越しとるなぁ。 このセンス、勉強になった。 「僕は宣言する、僕はいつか、あなたを、絵でギャフンと言わせてみせる!」(by青嶋五歩)
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