不能共【電子版特典付き】

草森ゆき

「貴方のことが大嫌いなんですよ」
目の前で彼女に死なれた男×その彼女の旦那だった男
ふたりの「不能」な男が、最悪の関係性から、かけがえのない存在になる。
愛憎入り乱れ修羅場系＆感動BL！！


交際していた恋人・加奈子が既婚者と知った朝陽大輝。
関係を清算しようとしたが、加奈子は朝陽の目の前で自死してしまう。
葬儀後、加奈子の夫・清瀬隆が朝陽の家を訪れる。二人の関係を知っており、「貴方しか加奈子の話が出来る相手がいない」と言い張り、なぜか日々料理を提供する。
清瀬に嫌悪感を抱き彼の作る食事も拒否する朝陽だったが、自分に執着する彼と接するうち、新たに複雑な感情が生まれていく。
ある時、嗜虐心の赴くままに清瀬と接した朝陽は、彼が「不能」であること、その背景にある加奈子との凄絶な関係性を知り――。


※Web小説サイト「カクヨム」投稿作に大きく加筆修正をし書籍化。


装画＝鈴木次郎


＊電子書籍版特典として、書き下ろし番外編ショートストーリー「冬と残暑見舞い」を収録。

• カテゴリ: 小説・文芸
• ジャンル: 小説 / 国内小説
• 出版社: KADOKAWA
• 掲載誌・レーベル: 角川書店単行本
• 電子版発売日: 2023年04月24日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 4MB

[ブクログ · ★★★★★]

読書系YouTuberあかりんさんが「ほんタメ」で紹介されていて、ものすごく気になったので読みました。普段からBLを読むことは多いですが、BL枠で出ていないのか見落としてました。
不能と不能。途中まで不能か？と思って読んでましたが、最後に回収されてすっきりしました。地獄のような出逢い方をしていて、これがどうしたら帯にあるようにハッピーエンドになるの？と思ったけど、本当にハッピーエンドでびっくりです。

BLらしいかと言えば、わたしはむしろ違うから面白かったです。お約束のようなセックスシーンもなく、ミステリー要素も混じってきて、雰囲気が二転三転する。そういうところはWeb小説らしいなとも思うし、Web小説でこんなクオリティ出されてしまうのかと唸る部分もありました。
正直、最初の関係性がまず好きすぎて、読んでてずっと悶えてました。ひとつの出来事があったとして、その側面にある関係を想像する癖があり、この二人はまさにそうです。恋人の前で自死した女。この事件に関わる二人の男。

最後、良い人が結構いた事実に、拍子抜けしつつもほっとしました。まさかこのお話でそんな人が出てくるとは。
今後追っていきたい作家さんが増えました。

[ブクログ · ★★★★★]

目の前で彼女に死なれた男とその彼女の旦那だった男の話。BL。ストーリーが面白すぎた。最悪で最高の女・加奈子を中心としてふたりが出会って、家族や職場の問題も絡めて主役ふたりの間に絆が生まれていく、暴力と愛と執着の話。面倒くさい人とその面倒な人を見捨てられない人の割れ鍋に綴じ蓋な関係が面白かった。

[ブクログ · ★★★★★]

あらすじだけ読むとなかなか手に取りにくい作品のように感じてしまう方も多いのではないかと思いますが、冒頭から、静かなのに勢いのある文章にあっという間に引き込まれてしまいます。

目の前で恋人に自殺された男、朝陽。彼の前に現れた、彼女の夫だったという男、清瀬。

めちゃくちゃな修羅場なのですが、一見普通に見えた朝陽が、清瀬の異常な行動によって少しずつ何かが狂い始めていく。

けれど、ただひたすらにおかしい男に見えた清瀬の事情が明らかになるにつれて、朝陽にもさらに変化が見え、やがて後半で加奈子の秘密が明らかになると、またそれまでとは全く違った景色が見えてくる。

BLというジャンルで括ってしまうにはもっと複雑で、愛と執着、支配と救い、そんな様々な人間の感情が入り乱れながらもどこか優しさと救いが感じられる、本当に不思議な魅力に満ちた物語でした。

[ブクログ · ★★★★☆]

このジャンルの本を初めて読んだ。
カナコさん以外、全員いい人じゃない？え？だいじょうぶこれ？
……初ジャンルにしていい本過ぎたかもしれない。