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元JAXA職員だから言える〈急成長する宇宙開発のオモテとウラ〉――人類の「夢」や「ロマン」として語られがちだった宇宙開発がバブルの様相を呈している。巨大テック企業の創業者たちは新たなビジネスを求め宇宙空間を目指し、中国やインドといった新興国がアメリカやロシアを上回る勢いで探査に乗り出している。今、宇宙開発の最前線では何が起きているのか、各プレイヤーの思惑とは――。本書は、半世紀ぶりの有人月面探査を目指す「アルテミス計画」を中心に、宇宙開発についてわかりやすくまとめたもの。JAXA(宇宙航空研究開発機構)職員として月・惑星探査に携わってきた著者が、日本と世界の宇宙開発の歴史と現状、続々と参入する民間企業の動向、宇宙資源採掘への期待と問題点を解説する。
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Posted by ブクログ
寺薗純也(1967年~)氏は、名大理学部地球科学科卒、東大大学院理学系研究科博士課程中退(修士)、宇宙開発事業団(現在はJAXAに統合)職員、宇宙航空研究開発機構職員、(財)日本宇宙フォーラム職員、会津大学准教授、情報通信研究機構有期研究技術員等を経て、(合)ムーン・アンド・プラネッツ代表社員、(有)ユニバーサル・シェル・プログラミング研究所上級UNIXエバンジェリスト。専門は惑星科学、情報科学。
本書は、「アポロ計画」から半世紀を経て、人類を再び月に送ろうとする、米国主導の国際共同計画「アルテミス計画」が注目される中で、著者がJAXAで広報に携わった経験をもとに、宇宙開発について網羅的にまとめたものである。
目次は以下の通り。
第1章:これで丸わかり!アルテミス計画のすべて
第2章:世界の宇宙探査・開発の歴史
第3章:日本の宇宙探査・開発の歴史
第4章:宇宙開発は民間が主役へ
第5章:宇宙資源は誰のものか
第6章:これからの宇宙開発と私たち
私が特に興味を惹かれたのは、民間企業による宇宙開発への進出が目覚ましく進んでいることである。暫く前に、イーロン・マスクの「スペースX」と、ジェフ・ベゾスの「ブルーオリジン」が、相次いで民間人の宇宙飛行を行ったことや、「スペースX」が運用している、人工衛星を使ったインターネットアクセスサービス「スターリンク」がウクライナに提供されて、ロシアとウクライナの戦闘の状況を大きく変えたことなどは、メディアでも大きく報じられたが、その他にも、日本を含めた多数のベンチャー企業が、様々なビジネスを計画していることがわかった。
また、もう一つ関心を持ったのは、宇宙開発が身近になるにつれて出てきている問題点である。例えば、そもそも、宇宙開発は何のために行うのか。アルテミス計画に参加する日本は、その巨額の予算のどれくらいを負担するのか、また、その負担に見合うだけのメリットはあるのか。民間企業による宇宙開発は、果たしてバラ色の未来なのか。宇宙資源の採掘は、「宇宙条約」等の国際的な理解としてはどう考えるべきなのか。「夢」や「ロマン」などという言葉に惑わされずに、我々も自分事として考えなければいけない時期に来ているのである。
宇宙開発の過去・現在・未来について、問題点を含めて明らかにしてくれる、今読んでおきたい一冊といえる。
(2023年2月了)
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