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Posted by ブクログ
よくこれだけのインタビューをされ、纏められたものだなと。
対話形式の本は、あまり好きでないのだけど、この内容の場合はこの方式が活きてくる。もっというなら、翻訳ではなくで彼らが使ったオリジナルの文を読んでみたい気すらする。
さて、中身だけど、まぁ、ひきこもりという生き方は、時代を先取りしてるなと思いますね。
偏っていて、極端で、弱くても生きていける。ひきこもれるコストが小さくなって、効率よく自分を守れる形にできて、かつ長生きできる。一人がいいと言いながら、インターネットなどを通してフィルターバブルを駆使して、繋がることもできる。そういう形に収まるべくしてそうなってるのだなぁ。
Posted by ブクログ
ひきこもりは経済的に豊かな国にしか生じない現象と捉えられがちだけど、本書を読むと、発展途上国にだってひきこもりはいるということがよく分かる。
すごいと思ったのは、自分も半分ひきこもりみたいなもの、というわりに世界中の当事者とコンタクトを取る著者の実行力。著者のひきこもり観とは異なる考えの人たちも公平に収録していて、ひきこもりの幅広い実態をありのままに読んでもらおうという意図が感じられた。また、彼/彼女らとのやりとりを通じて著者自身が自分を再発見していく場面もあって惹き込まれた。
ユニークな発想で編まれた良書。
【まとめ】
Q1. ひきこもりを許容できるほどの経済的な余裕がある先進国にしかひきこもりはいないの?
A1. 先進国だろうと発展途上国だろうと、世界中にひきこもりはたくさんいる。
Q2. ひきこもりの共通点は?
A2. みんな生活リズムが不規則で昼夜逆転しがち。また、ほぼ全員が学校でいじめに遭った経験がある。自分のほんとうの気持ちを親に理解されないまま育った人も多い。
Q3. ひきこもりの当事者になにかアドバイスするとすれば?
A3. ひきこもりになったいきさつは人それぞれだし、ひきこもりのままでいいと思っているのか、それとも本当は早く抜け出したいと望んでいるのかも人によって異なる。なので単純な一般化はできないけど、ひとつ言えるのは、ひきこもりだからって人生で幸せになれないわけじゃない、ということ。人生の問題を解決したり社会的な成功を得る場所は、いわゆる「社会」の中だけとは限らない。ひきこもりから脱することが解決になる場合もあれば、ひきこもりになるという解決(ひきこもりであることによって社会とつながる生き方)もある。生きていくために、すくなくとも自分だけは自分自身を認め、味方になってあげることが、なによりも大切。
【ひきこもり×社会保障】
当然ながら、ひきこもりの多くは経済的に自立しておらず、親の収入や資産に頼って暮らしている人がほとんど。また、国によっては社会保障制度が充実していて、公的扶助のおかげでやりくりできている人もいる。
個人的に気になったのは、ひきこもりを(目的ではなく結果として)支えている社会保障のあり方。いくらひきこもりになった経緯がもっともなものであり、ひきこもっている自分の現状についての分析や理解が正しいものだとしても、要はひきこもりでないふつうの人たちが働いて納めた税金のおかげで暮らしていけてるんでしょ?という(ときに悪意のある)批判にはたぶん抗えない。実際、福祉国家の維持費は膨らむいっぽうで、財源の問題は避けて通れない。
そこで、国や自治体が社会問題としてのひきこもりに対処しようとすると、まずは現状がどうなっているのか、すなわちひきこもりは何人いて、どういう生活を送っていて、経済的にどれほど余裕があるのか/困窮しているのか、就労意思はあるのか/ないのかといった、実態把握が必要になる。ところがひきこもりはいわばブラックボックスの中でひっそり暮らす人たちだから、その実態がなかなか公にならない。つまり、ひきこもりに関する統計をどうやって整備すればいいのかが重要な政策課題になると思った。(どうでもいいけど、実際の姿をなかなか見ることができないのはなんだか熊に似てる。クマとひきこもり。)
【ひきこもり×アーレント】
ふと思ったのはハンナ・アーレントの『人間の条件』の議論。ひきこもりは他人に見られることを嫌がる傾向があり、それはアーレントの言う「現れ」の空間と相性が悪いように思えるけど、いっぽうでひきこもり同士がネット越しにチャットするのはまさに「活動 action」そのもの。そこからさらに敷衍して、ひきこもりの公共圏とでも呼べそうな人間関係のあり方を考えることができるのでは。面白そうなテーマだからもうちょっと考えてみよう。
それと、本書の後半で登場するフランスの女の子はアーレントが言う意味での private な世界に生きてると思った。すなわち他者を奪われている(deprived of others)暮らし。ひきこもること自体は人それぞれに事情があってのことなのでしかたないとは思うけど、ひきこもっている自分を神聖視し、自分は正しい、外の世界のふつうの人たちこそが間違っている、と歪曲して捉えるのはやはり健全ではないと思う。(といってもひきこもりに健全もくそもないかもしれないが。いずれにしても、彼女はたぶん病気だと思う。)
【キーフレーズ】
うちこもり/そとこもり/ガチこもり
専門家たちのヒキエンタリズム
地下茎でつながるコスモポリタニズム
「N・H・Kにようこそ!」
社会保障と親の収入・資産
ひきこもりと統計
お風呂問題
なりたくないものになった
ひきこもりと恥
居場所
ひきこもりと効率
引き出し屋
ひきこもりの定義?
「母問題」
父が子に掟を授ける(ラカン)
学校の同級生たちと共通の関心事がない
ひきこもりから脱するという解決/ひきこもりになるという解決
他者がいる空間では、ぼくは
否定する声
お前が成功できる場所
アフリカではそう簡単に飢えない
病気ではなく状態
フーコーとアーレント
単なる「働きたくない人」ではない
【目次】
●はじめに──地面を掘って国境を越える
●フランスのひきこもりギードの場合……「ぼくは孤独が好きなんだ。パソコン、ベッド、安らぎがあれば十分さ。」
●フランスのひきこもりテルリエンヌの場合……「ひきこもりになんて、なりたくなかった。」
●中国のひきこもり
●アメリカの元ひきこもりショーン・Cの場合……「“伝統的な男性性”をぼくに期待するパパは敵だと思った。」
●アルゼンチンのひきこもりマルコ・アントニオの場合……「いじめる側を擁護する学校なんてごめんだ。」
●インドのひきこもり
●インドの元ひきこもりニティンの場合……「私たちは自分自身になるために少し時間が必要なだけなのです。」
●イタリアの社会心理学者マルコ・クレパルディとの対話……「彼らを助けたい、いや、「ぼくら」を助けたいのです。」
●父との最後の電話
●パナマ共和国のひきこもりヨスーの場合……「ぼくはゴミだ。カスだ。負け犬だ。このままでは死んでしまう。」
●フランスのひきこもりアエルの場合……「ひきこもりになってぼくはようやく自分を生き始めた。」
●スウェーデンのひきこもり
●バングラデシュのひきこもりイッポの場合……「ぼくは自分で自分を部屋に監禁するようになったのさ。」
●フィリピンのひきこもりCJの場合……「日本のひきこもりはなんて恵まれているんだ!」
●カメルーンの元ひきこもりアルメル・エトゥンディの場合……「解決や成功を得る場所は、“社会”の中だけとは限らない。」
●北朝鮮のひきこもり
●フランスのひきこもりジョセフィーヌの場合……「醜くて、軽蔑に値して、病的であるのは社会の方よ。」
●台湾の映画監督盧德昕との対話……「ひきこもりにとって理想的世界はどんなものですか。」
●おわりに──ひきこもりのインタビュー論
Posted by ブクログ
HIKIKOMORIという言葉がフランスでそのまま使われていることに驚き。
日本では「扶養家族」があり、生活保護にしても、まずは「家族」が援助できないのか、という話になりますが、フランスは個人に対して国から手当が出る、というのも家族の負担がなくていいように思いました。
日本社会は生きにくいと思うことも少なくないけれど、世界中どこでも社会に適応できない人はいるのだと、当たり前かもしれませんが、再認識。
「フィリピンは外向的な人間が多いお国柄だから、そういう環境でひきこもりでいるのは難しいんだ」
など、それぞれどの国の人も、その性格は国民性としてひとくくりにはできない、というのも、改めて気付かされました。
Posted by ブクログ
想像はしていましたが
これほど… とは
「ひきこもり」
絶対的少数者の人たちとして
以前から 気になっている人たちです
「ひきこもり」と自称されている
何人かの人の手記は読んだことがありましたが
どの人たちのものも「……」で
最後まで読み終えたことはありませんでした
著者の「ぼそっと」さんも
書かれておられますが
この時代(インターネットが普及した)だからこそ
成り立った一冊ですね
ー
私(著者)が「ふつうの人むではなく、ひきこもりだからこそできたインタビューの数々である。インタビューと言えば聞こえはいいが、要するにひきこもり同士のおしゃべりにすぎない。 「あとがき」から
確かに、おっしゃるとおりであるけれども
その「おしゃべり」から
実に いろいろなことを考えさせてもらった
それも
世界各国からの生身の人たちの対話であり
「ひきこもり」という共通項であるがゆえの
対話に 今の社会を考えさせられる
さまざまなことを考えさせられました
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