陽動ミッドウェー海戦（１） 山本五十六の秘策

林譲治

戦記シミュレーション
ヴィクトリー ノベルス 新創刊！

日本軍が狙うのは、
ミッドウェーか
フィジー・サモアか？

真珠湾を奇襲した日本軍はマレー半島、フィリピン、そして蘭印への侵攻にも成功した。昭和17年5月、南方地域を防衛するため、日本軍は連合軍の基地のあるポートモレスビー攻略を目論む。連合艦隊と米太平洋艦隊は珊瑚海で激突、連合艦隊は米空母ヨークタウンとレキシントンを撃破するも、空母翔鶴が被弾してドック入りとなる。珊瑚海海戦の後、ポートモレスビー攻略作戦は無期延期とされた……。
MO作戦の総括のために日本に戻った第四艦隊司令長官井上成美は、山本五十六連合艦隊司令長官から次期作戦の説明を受ける。その作戦方針に不安を感じた井上は、山本にある提案を申し出た……。

• カテゴリ: 小説・文芸
• ジャンル: 歴史・時代 / 戦記（フィクション）
• 出版社: 電波社
• 電子版発売日: 2015年12月23日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 3MB

[ブクログ · ★★★★☆]

　地の文が小気味よく面白い。そして、連合艦隊司令部と太平洋艦隊司令部との化かし合いが何より良かった。途中、かなり突拍子もないことをやってのけてしまうが、それが出来るだけの情報はすでに示されており、推理小説的な楽しみ方も出来る。なにより”レーダーを一番に破壊すればレーダーを恐れていることが知られてしまい増強されるだろうから、それと気づかれないよう偶然を装って破壊する”から”レーダーを狙ったということはレーダーの効果を知っていてなおかつ相手もレーダーを持っているに違いない”へと展開する流れがすばらしい。情報はそこにあるだけでは意味がなく、正しい分析をしてこそ有用である、という著者の考えがよく出ていると思う。