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Posted by ブクログ
『僕たちの青春はちょっとだけ特別』は、特別支援学校を舞台に、独自の輝きを放つ生徒たちが謎に挑む、学園ミステリだ。
主人公の青崎架月は、周囲の空気を読むことが苦手な少年。そんな彼に、初めて「友人」と呼べる仲間ができる。彼らは校内で起きるゴミ散乱事件やロッカーの怪事件、そして緊迫した生徒失踪事件という謎に、力を合わせて立ち向かっていく。
本作の最も素晴らしい点は、生徒たちの「障害」を詳細に説明するのではなく、一人一人の「個性」として魅力的に描いている点だ。彼らは自分たちの得意なことや、独自の着眼点を活かして事件のヒントを見つけ出していく。決して万能ではない彼らが、互いの苦手を補い合いながら事件の糸口を手繰り寄せる姿は、最高に頼もしい探偵団だった。
また、彼らを導く先生方の存在が素晴らしい。答えを与えるのではなく、教育面からの的確なアドバイスでそっと背中を押し、生徒たちを温かく見守る姿には深く胸を打たれた。信頼されているからこそ、生徒たちはのびのびと力を発揮できるのだろう。
事件を乗り越えるたびに絆を深めた彼らは、最後に失踪した生徒の持ち金と定期券から目的地を割り出すという、最大の謎に挑む。そこには、最初の頃とは見違えるほど頼もしく成長した彼らの姿があった。
キャラクターの個性がとにかく際立っており、彼らが不器用ながらも必死に友人を想い、成長していく姿には涙が出そうになった。タイトルの通り、彼らの青春は「ちょっとだけ特別」で、だからこそ、どんな物語よりも眩しく心に残り続ける名作だと思う。
Posted by ブクログ
周囲への関心が薄く、同級生の顔を覚えることなく中学を卒業した架月。
明星高等支援学校に進学し、様々なクラスメイトや先輩と接する戸惑いの日々がスタートした。
そんなある日、学校で事件が起きたことに気づき先生に相談をした架月は、事件の調査を任されることとなる。
架月が周囲の人たちに力を借りながら、学校で起きた謎に向き合う連作短編集。
特性をもつ主人公が探偵として謎を解く作品は、これまでにも読んだり観たりしたことがある。
そういった作品は主人公が特殊な記憶力や能力を駆使して解決していく設定が多いようにも思うけれど、本作の主人公架月は、そういった特殊な能力があるわけではない。
架月の強みは、「人に頼るのが得意」ということだ。
その強みで周囲の人の力を借りながら、事件の謎やその背景を一生懸命考えていく。
人の気持ちを想像するのが苦手で周囲への関心も薄かった架月が、様々な人や事件と向き合うなかで成長していく姿が眩しく、今後の成長も見守りたい気持ちになった。
他の生徒たちの気持ちや生きづらさが丁寧に描かれていたのも良かったし、学校の先生たちのスタンスも程よい距離感と温かさを感じられた。
続編も出版されたようで、架月たちのさらなる成長を見守れることを嬉しく思う。
Posted by ブクログ
高等学校支援学校を舞台にした連作学園ミステリ。
途中、ミステリということを忘れてしまって、読み終えてから「そういえば…」となった。そのくらい、それぞれの子どもの抱えている障がいや葛藤の部分に引き込まれてしまったのかな。
私の周りにも特性を持っている子どもがたくさんいるけれど、その子たちの一見すると困った行動が、もしかするとこんな意味を持っているのかな?などと想像しながら読んだ。
本人達の気持ちを聞く機会もなかなかないので、「あーそういうことか」と腑に落ちることがたくさんあった。
著者の雨井さんは特別支援学校の仕事に携わっていらっしゃるそうで、細かな描写にも納得。
ライトなミステリを通して、障がいは関係なく登場人物たちが魅力的に描かれていたところが良かった。
Posted by ブクログ
「特別」だけど「特別じゃない」、高校生たちの学校生活と、日常の謎の物語。
ミステリの版元から出版されてはいるけれど、限りなく青春小説に近いお話になっています。
舞台は、特別支援学校(高校)。軽度知的障害がある生徒たちが、通ったり寄宿したりして過ごしている。
「障害」って、なんなんでしょうね。と、読んでいてずっと思っていました。彼我の差は、あるんだけど、やっぱり普通の高校生でもあるというか……
友達と通じ合えたら嬉しいし、すれ違ったら悲しいし悩む。それは同じ。
でもやっぱり明確な「違い」はあって、特に終盤のお話には胸が詰まりました。
生徒たちを自立・自活に導こうとする先生たちの眼差しも、とてもよかった。
安易に感動とは言いたくないけれど、気持ちが優しくなる、清冽な物語でした。
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