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鎌倉時代末期、十六歳の足利高国(のちの直義)は名人・世尊寺殿の書を入手するよう母に命じられる。目当ての猫と引き換えに娘の遺筆を渡すと約束する世尊寺殿。高国は彼が鎌倉に来た真相を探るべく京に旅立つ。書をめぐる謎と静かな権力闘争の中、若き日の足利直義が野望に覚醒する!
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Posted by ブクログ
足利高国(直義)を主人公にしている小説は珍しいなと思って手に取ったのですが、まだ16歳の高国というのが更に新鮮で良かったです。恥ずかしながら高国たちに謎を出す世尊寺行尹が実在した人だと初めて知りました。登場人物たちが好ましくて、読み終わった後に書道の世尊寺流や足利家や金沢北条氏についてもっと知りたく...続きを読むなりました。 各人の歴史の記録に残っていない空白期間を見事に描いていて、ミステリーの方も本当にこんなことが起きていたのではないかと思うくらいリアルでどんどん引き込まれていきました。タイトル通りの猫にまつわる謎と足利家に関する問題と、それぞれに高国が出した答えが良くて、彼の成長譚としても良いお話だったと思います。
鎌倉末期の平和な閉塞感の中で静かに巻き起こる謎解きと青春どちらにもワクワクして読み進める手が止まりませんでした! 女性陣が皆しなやかで強かに生きていて、出てくるたびにほっこり癒されます。
この方の書く、足利兄弟による倒幕を読みたい! 足利兄弟が倒幕の軍を起こす前、まだ世事に恋に揺れる少年の頃の物語。 人の善意や好意や期待を汲み取って、真摯に対する高国と、彼の欠点となりうる優しさに身命を捧げる上杉憲顕が、世尊寺殿から書を賜るために、彼の娘の死乃真相を探っていくのだけど、そこで少年高国...続きを読むが見る、世の無常や恋、恋した女性のやるせない身上。芸を身に着けた上での生きにくさや、いつ一族丸ごと首をはねられかねない政治の恐ろしさ、才能のあり方と嫉妬と政治がからむ陰謀。そんな騙し騙され、陥れられ、それでもたくましく生きている人達。積み重なり変容していく愛情など、いわゆる大人な世界に戸惑いながらも涙を零し、それでも成長していく少年高国が美しく描かれていて、もっとこの作者さんの高国が読みたくなった。 言葉の足りなさ、当時の世情、嫉妬に妬みになどで擦れ違い、傷つけあった大人たちを優しい嘘で丸くまとめた高国の優しさと、その優しさは欠点だと理解しつつも彼を信じて仕える憲顕が、まあ、良い! 誰が誰を殺したのか。 誰がどうして毒をもったのか。 解き明かす度に判明していく人間関係と、なんともままならない嫉妬やつらみといった感情に、共感をおぼえつつも、どんどんと引き込まれていく。 そして、優しく人のために泣き、それでも慰めになるように自ら足に泥をつけて走り回る高国は、権謀術数の渦中にいつの間にか引き込まれ、岐路に立たされ、大きく変わる。 力が無いなら、手に入れるしかない。 のし上がるしかない。 うう!この決意した高国は、ほんと美しいのだろうな。もっと先が見たい! 歴史小説というより、推理小説。 このテイストだからこそ、すんなり登場人物たちに共感できたのかな?
そもそも直義って教科書に出てくるか?きたとしても恋に落ちるほどの記述あるか? 直義がまだ高国と名乗っていた若い頃の謎解きと初恋の話。憲顕が高国を好きすぎる。
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