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Posted by ブクログ
円安をきっかけに海外移住する人が増えているとの報道が相次いでいる。日本人の海外移住を長年研究してきた著者は「ことはそう単純ではない」と指摘する。子どもの教育や自身のキャリア、富裕層の租税逃れなど様々な理由で海外移住を検討するからだ。
人口減に直面する日本は移住を食い止めるべきなのか。著者は海外移住の経験者は貴重な人材だと唱える。海外では二重国籍を認める国も増えているが、日本は認めていない。帰国したい日本人、日本好きな外国人を受け入れ社会の活力を高めるべきだとと説く。
海外移住の歴史、各国の政策、ワーキングホリデーの実態など網羅的に紹介されていて勉強になった。
Posted by ブクログ
日本人の海外移住への関心の高まりに着目、その実態や要因を分析、リスクにも目を向け、この事象が内包する日本社会の課題に対処する視座を提供する狙いで書かれた本。
昨今の日本人を含む先進国からの移民は、より良いライフスタイルを目指すものが多いという。
その形態は、留学やワーキングホリデー、退職移住、大震災を受けて災害リスクからの逃避、資産保持を目指すシン富裕層、ジェンダー要因からの女性の移住、デジタルノマド(遊牧民)、キャリアアップを目指すITエンジニア、環境の良さを求める研究者、自己実現を目指す経営者や起業家、英語圏や異文化に触れるグローバルコンピテンシーを求める教育移住等様々。
海外移住を論じる上での基本となるのが、「プッシュ要因」と「プル要因」。
日本の市場が少子高齢化で縮小していること、災害や原発事故のリスクはプッシュ要因、将来的な市場の成長と自分の事業拡大が見込まれることや多文化環境、税制面のメリットなどは日本人を呼び込むプル要因だ。
これらの要因がある限り、今後も日本人の海外移住は続くだろうが、一方で移住に伴い直面する壁やリスクが多いのも事実。低賃金労働で働かされるワーキングホリデー、永住権取得前後に生じるトラブル、医療水準や治安面の問題、アジア系住民差別、年金制度上のデメリットなど日本に比して他国で暮らす不安定要素が多々ある。
要は日本社会に存在する様々なプッシュ要因を少しずつ取り除く努力をして「より住み続けたい日本」を作ることである。
最後に示されているディアスポラ(海外にいる自国民とその家族や子孫)の流動性を高め帰国しやすくして、彼らの知識やスキルを母国の社会・経済に生かす戦略やグローバルな交流人口、関係人口である「アフィニティ・ディアスポラ」との連携強化で社会変革を目指す視点は興味深かった。
Posted by ブクログ
まさにタイトル通り、海外に移住・永住したいと言う人に向けてメリット・デメリットを列挙して、よく考えましょうという啓蒙書。
データや具体的にインタビュー内容も列挙しているので、イメージしやすい。
導入は日本人の海外移住の歴史。そして現状。
意外と若者でも移住にチャレンジしていることが分かったが、そのエンジンは「自己実現」「生きやすさの模索」「リスク回避」「豊かさの追求」という主に四つの志向性だ。しかし大きく分ければ、自己実現と言う崇高な思いと、富裕層が税金逃れのためにタックスヘブン地に資産とともに移住するという、やや法の抜け穴から逃れるタイプに分けられるようだ。
就職氷河期、決して良いとは言えない労働環境、依然残る年功序列、ジェンダー差別など、日本から出て海外でチャレンジしようと言うプッシュ要因、逆に比較的裁量が認められ、英語を中心とした語学力の向上などのプル要因もあって、特に女性がワーホリなどで海外に出るケースが多いようだ。もちろんおとぎ話では済まないのが現実なのだ。
そして結局最後は日本に戻りたいと言う人が多いようだ。
本書の結びは「誰もが住み続けたい日本」にするべきだとする。
確かに。
少子高齢化に加え、優秀な人材と資産の海外流出が加速するとあっては、日本沈没だろう。
Posted by ブクログ
前読んだ体験談メインのルポ新書より、もう少しデータや歴史寄り。日本からの移住の歴史を概観する導入のところで、そうだよな、昔は政府が促進してたんだよな…と。今、日本が相対的に貧しく(魅力が少なく)なってきたという理由での移住者がじわりと増えていることに、一抹の寂しさを感じるけど、長い目で見ればそんな時代はいくらでもあったわけで。
で、これはタイトルの通り影の部分も扱っており、わりと公平であろうというスタンスが見受けられた。
オーストラリアがメイン。
日本はどこまで沈むのか、自分はもう仕方ないけど子どもは日本以外でも生きていけるようにしておかないといけないのかどうなのか(日本が住めなくなるって未来は悲しいけれど)、親として悩みは尽きない。
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