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Posted by ブクログ
2024年正月に凄い本に出逢ってしまった。新書版のお陰かもしれない。1993年学卒で、「根拠のない悲観論」に陥ってた身としては、“失われた30年”という質の悪い霧が晴れる想いだ。しかも、本書の内容について著者は「著作権を一切主張しない(p10)」
一番引用したいのがこの箇所。
「日本が経営技術の逆輸入的状況を脱却し、経営成績・経営技術・経営学すべての意味で、日本が世界をもう一度席巻したとき、真の意味で「日本“式”経営の逆襲」が達成される(p280)」
一大学人ではあるが、組織の一員として、「価値創造の民主化」のため、自分の人生を経営していこう。
Posted by ブクログ
日本の経営技術は素晴らしいのに、それを抽象化してコンセプト化する能力に優れていなかったために、日本の経営技術をはじめ世界中の経営技術を取り入れて抽象化しコンセプト化してそれを輸出するアメリカの後塵を拝し、実は自分達が発祥である経営技術コンセプトをアメリカ発のものとしてありがたく逆輸入し、それによって手慣れた経営実践を手放して敢えてアメリカ発の(実は自分達がやってきたことを少し整えただけの)慣れない方法論を取り入れて業績が悪化するという弊害が生じているという。
著者は、日本の経営現場の個々の人は論理的思考力において優秀だが、組織として抽象的な議論を好まない風潮がよくないと指摘する。重要な指摘だろう。確かに、経営の現場での議論はすぐに「で、それは具体的にどうやって解決に繋がるのか」という具体的な成果が求められる傾向にあると思う。
これを抽象的な議論として昇華させ、それによって現場での文脈依存を断ち切った第三者による反証も可能な理論としてブラッシュアップし、科学的な検証を加えて新たなアイデアとの融合や知識の蓄積を付加したうえで再度現場にフィードバックすることで得られる効果は大きいと著者は言う。
著者の試す、「Kaizen」のコンセプト化は、カイゼンをイノベーションの連鎖であるとみて、アイデアと資源が組織内で遍在し潜在している中でそれをどう出会わせて集約して小規模なカイゼンから大規模なイノベーションまでをバランス良く起こすかを解き明かそうとするものであり、極めて興味深い。
最後に著者による経営の定義として、「価値創造の主役は人間であり、価値創造の障害を取り除くのが経営である」という主張は、経営の本質を突いていると感じた。
星4つ!
Posted by ブクログ
現状分析に関しては共感できるところが多い。
例えば、テーマの骨子であるコンセプト化の弱さについては、他のジャンルにおいても類似の指摘を見ることができる。IT産業においては、各社のプロセスが独自的でシステムの方をそれに合わせることが産業化してしまい、標準化をすることで各社のプロセスの方を効率化し、システムの方をグローバルに売り込むということができなくなっていることが指摘されていたし、コンテンツ産業においては日本では職人性のある天才がもてはやされる一方で、ハリウッドではそういった人たちを分析し、教育パッケージとして確立することで、ベターなコンテンツ大量に生み出して産業として勝つことができているということが指摘されていることを想起させられた。
本書では、また、日本の経営技術を信じる力で負けていると言う指摘があるが、これについてもNHK 100分de名著ナショナリズムの回で触れられていた、敗戦とバブル以降の停滞を経て、日本人は自分たちに自信を持つと言うことをできなくなってしまっているのではないかという指摘を思い出した。
本書は啓蒙の色が強く、この課題について具体的にどうする?と言う話は、そこまで語られていないが筆者の言うように日本が自信を取り戻し、経営の世界においてもリードできる存在になって行けたらいいと思う。
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