十二支の童話

十二支の童話

495円 (税込)

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検札係は、兎だった。彼は長い耳を車掌用の帽子から二本突き出して、乗客たちの切符を丁寧に検札して回っている。「乗車券を……」私のところへやって来て、兎は深々と頭を下げた。(「〈卯〉兎エキスプレス」より)
干支に選ばれた十二種の動物をテーマにした摩訶不思議なストーリー。短篇小説集。

〈子〉鼠たちの時間
〈丑〉木登り牛
〈寅〉竹林の虎
〈卯〉兎エキスプレス
〈辰〉トルネードお龍
〈巳〉ヘンビニの三人
〈午〉馬の失踪
〈未〉羊たちの午睡
〈申〉猿の学生
〈酉〉音速ニワトリ
〈戌〉正式犬の優雅な生活
〈亥〉最後のレース

●薄井ゆうじ(うすい・ゆうじ)
1949年茨城県生まれ。イラストレーター、デザイン編集会社経営を経て作家へ。1988年『残像少年』で第51回小説現代新人賞を受賞。1991年に初の長篇『天使猫のいる部屋』を発表。1994年『樹の上の草魚』で第15回吉川栄治文学新人賞を受賞。映画化・舞台化・ドラマ化された作品も多い。

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