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東大医学部を卒業後、父の診療所を手伝う森林太郎(鷗外)。それぞれの事情を抱えた患者たちの生と死に立ち会いながら、医療のあるべき姿を模索する。青年医の人間的成長を描く連作集。好評既刊『鷗外青春診療録控 千住に吹く風』の続編。
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Posted by ブクログ
森鷗外が町医者だった本の数年を切り取ったミステリ風味のお話。大物文学者でも軍医でも学生でもない森鷗外を摂取できるのが嬉しい。『奏鳴曲』読んでから森鷗外推しなんだよね〜。
父親の手伝いをしながら将来を模索する若き鴎外。今回は人との関わり合いと父親に対する尊敬と苦面して医学部で学ばせてくれたことの感謝が随所随所に書いている。家族を大切に思っているのと友人を患者を大切に思っているのがよく分かる。納得できなくても父親の鷹揚な接し方を模範にし丁寧を心がける。大塚製薬の広報のコ...続きを読むラムだからか患者を大切にする、家族を大切にするを一貫して話が流れている。 そして関係ないが、底辺でもがいて一生を終わるより、てっぺんにいて経営者や著名人と交流する方がうるおいのある生き方だよなぁと うらやましく思う
待ってました! 不幸なアクシデントで卒業試験に思うような成績を残せず、 父の診療所を手伝う若い日の鷗外こと森林太郎。 本書は父の診療所での日々の第二弾。 第一弾が面白かったので、期待していた。 良かったなぁ~~~ 何が良いって、父と鷗外のやりとりがいい。 森家の静かな、ゆるがないあたたかさがよい...続きを読む。 今回もどれもよかったのだが、とりわけ印象に残ったのが、火事場の話。 「忘れえぬ声」。 火事場で足の悪い母親を助け出したのは誰??? から始まるストーリイ。 深夜、林太郎が火事場へ応急処置のため駆けつけ・・・ 父は、重傷者のために、診療所で寝ずの番をする。 帰ってみると脱ぎ捨てたはずの着物がきちんと畳まれていた。 母がしてくれたのだった・・・ 父も穏やかにほほえむ・・・ 良いなぁ、うるさくない。 明治の家庭は、こんな風に言葉にしなくても、ちゃんと通じるんだね。 できれば、林太郎さん、ドイツへ行かないで、ずっと父上と 診療所にいて欲しい、と思ってしまう。 なぜか心に染みる小説。
淡々とした語り口で描かれる、明治の穏やかでささやかで逞しい庶民の生活ぶりと、その渦中の林太郎と教科書に載るような歴史的な事件や有名人との交差の様子が面白かった。漢方と西洋医学が混在している当時の医療や薬の事情が垣間見れるのも興味深くて。迷いつつ悩みつつ、20歳の林太郎の青春の日々が微笑ましかった。
日本には確とした伝記小説が少ないと、いつかの開高健が語っていたが 伝記小説としての必要条件の定義はさておき、物語の題材をそのようなものに求めることで時代背景や周辺人物への造詣を深めることにも繋がり、骨の折れるリサーチの対価は読者にも多く還元されうるように思う。 「応天の門」のような漫画の領野も含め...続きを読むれば、既に先鞭をつけた作品も一定数存在するのだろうが かような掲載誌でこういった試みが営まれていることに、文芸作品の裾野は際限なく広がっているのだなと思わされる。
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鷗外青春診療録控 本郷の空
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