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「目からウロコ」「衝撃的」「出色」と各界から絶賛の嵐!2011年度サントリー学芸賞受賞!(芸術・文学部門)。2011年度国際ポピュラー音楽学会賞(非英語部門)受賞、2011年新書大賞10位。明治・大正期の自由民権運動の中で現れ、昭和初期に衰退した「演歌」。これが60年代後半に別な文脈で復興し、「真正な日本の文化」とみなされるようになった過程と意味を、膨大な資料と具体例をもとに解き明かす。【光文社新書】
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Posted by ブクログ 2015年11月12日
そもそも「演歌の定義は?」と言われると、私も前からはっきりしないなと思っていた。 例1:河島英五の「酒と泪と男と女」は演歌なのか? 演歌の歌詞の要素として誰からも異論は出ないだろう「酒」「泪」「男と女」が凝縮され、タイトルから見たらこれこそ「ザ・演歌」なのに、この歌を「演歌」に分類するのにおさまりの...続きを読む悪さを感じる人は多いはず。 例2:「川の流れのように」は演歌?ならば「雨の西麻布」は? 本書P269でも言及されてるけど、同じ作詞・秋元康、作曲・見岳章のコンビ作で、いわゆる兄弟関係にある作品なのに、「川の流れ~」は「日本の名曲」で「雨の~」は全然そう言えないってのもなんだかおかしくない?だって、もし「川の流れ~」をとんねるずが、「雨の~」を美空ひばりが歌っていたら、どうなってただろうか? …っていう疑問を持ちながらこの本を手にした。著者の輪島さんも疑問があったようで、そのうえで、この“こんがらがった”状態に自分なりに整理しようとしたのか、誰も手につけようとしなかった(あるいは多分、手をつけても誰も収拾をつけられなかった)領域に、徹底した文献検索によって学術的アプローチを図り、自分なりに「演歌とは実は何なのか」ということと「なんで演歌=日本の心なのか」という“回答”を出そうとしている。 『“回答”を出そうとしている』と書いたが、演歌とは何か、については実は回答は出ていない(と思う)。と言うか回答は出せないのだ。なぜなら「演歌」の定義なんて存在しないから。 この本によると、その時代時代の業界などの「売り手側」と、レコードやカラオケなどでの「聞く側」との複雑な連関関係によって、手を変え品を変え、その時々に都合よく、キーワード的に「演歌」と言う言葉が当てこまれているからだ。と言うことは演歌の実体が明確でない以上、「日本の心」も実質のない、体よく使われている言葉ということだ。 演歌とは何?の回答は得られなくても、例1と例2の答えはわかった。売り手なり、聞き手なりが、それぞれ「これは演歌」って共通に考えれば、すなわちそれは演歌ということ。だから河島英五の歌は演歌ではないし、とんねるずの歌もそうだ。 著者が追求したかったのは「演歌の定義の探究」ではなく、美空ひばりの歌イコール演歌だ日本の心だ、と直線的に思い込むような世間の誤解に対して根拠を示し矛盾を指摘することだったのだ。 さらにこの本には直接関係しないんだけど、約20年前、私が大学生時代に夢中になった週刊スピリッツ連載の「俺節」(土田世紀作)の次のくだりも、読後、腑に落ちてきた。 -東京のある繁華街。大衆的な酒場で好きな女の子にフラれて寂しくヤケ酒を飲む青年がいて、そこにギターをかかえた“流し”が入ってきた。青年の仲間の男が顔見知りと思われるその流しに「歌ってやって」と頼み、お金を渡す。男は「堀内孝雄やってよ」と言うが、流しは「ダメダメ、あんなの演歌じゃないよ」って言って、ギターを弾きながら「片恋酒」(宮史郎)を歌い出した-当時、その違いが全然わからなかった。片恋酒なんて、いかにも宮史郎的な、ある意味下世話な歌詞とメロディーだし。 でも、少しだけ人生経験を積み、この本を読んだ今ならわかる。失恋した青年、仲間の男、そして流しが演歌として歌い、聞き、受け入れれば、それは演歌だと。俺節では、片恋酒の「つらいのよ、つらいのよ」の歌詞の箇所で、それぞれがその歌詞の言葉を胸に染み込ませるかのようなシーンとして描かれている。 そして、同じ「俺節」に出てくる次のセリフにつながると思う。「歌にも…歌い手にも…それを聴く者にもドラマがある。そいつを胸に刻んでおくんだ…それが演歌だ。」 (2015/4/19)
Posted by ブクログ 2015年07月18日
これはむちゃくちゃ面白い。痛快といってよいかもしれない。「演歌」といえば「日本の心」という言説が、いかに虚構であるかをこれでもかと明らかにしてくれる。「日本の心としての演歌」とは、1960年代以降の反体制思潮を背景に、それ以前のレコード歌謡にあった「やくざ」「夜の蝶」といったアウトロー的要素と「下層...続きを読む」「貧しさ」「疎外」といった意味が混淆することで生まれた音楽ジャンルだったというのだ。つまり、「演歌」は生まれてから現時点でまだ60年も経っていない「新しい音楽」なのである。 本書の構造じたいは「創られた伝統」のそれといって良いのだけど、北島三郎や美空ひばりといったよく知る名前がばんばん出てきて、とにかく具体的なところが読み手を惹き付ける。逆に日本の楽曲を知っている人でなければさほど面白くない…かもしれない。 ただ、本書の意図は「演歌」の虚構性を暴き立てることで「間違い」を指摘することではない。 「…「演歌」は「日本的・伝統的」な音楽ではない、と主張することは私の本意ではありません。本書で強調してきたのは、「演歌」とは、「過去のレコード歌謡」を一定の仕方で選択的に包摂するための言説装置、つまり「日本的・伝統的な大衆音楽」というものを作り出すための「語り方」であり「仕掛け」であった、ということです」(p.318)。 このように述べているように、非常に冷静である。そういう冷静さも加味して、戦後の音楽史を学ぶのに必読の書、といってよいのではないだろうか。
Posted by ブクログ 2014年02月18日
「演歌」の常識にかなり挑戦的。そして従来抱いていた「なぜ演歌はつまらないか」「規格的か」「美空ひばりは演歌か」「『頑張って歌って練習して下さいね』という訴求とは何だ」といった疑問・批判について、大変示唆に富むものだった。これは本当におもしろい本。
Posted by ブクログ 2011年02月08日
非常に丁寧に書かれた本という印象。こういう主題の本の場合、著者の問題設定にそって資料を引いてきているようなものが多い中で誠実な印象を受けます。 一点惜しまれるのは、参考文献から「学術論文」を排除している(と但し書きあり)のために、おそらく間違いなく参考にしていると思われる(文中にも出てきます)アドル...続きを読むノの著書や歌謡曲研究の古典的著書である見田宗介の本などが省かれているところです。 新書故しかたないのかも。減点するほどの欠点ではありません。
Posted by ブクログ 2010年10月16日
「演歌は日本の心」論には何となく違和感を感じてきましたが、そうと言って簡単に肯定も否定も出ない。 あとがきにもあるようにこれが結論ですね(^^;) まあ、我々が「日本の伝統や日本的」に思ってる事って案外ここ数十年~百年くらいの歴史に過ぎない。ってえのも結構あるようですし・・・。
Posted by ブクログ 2011年08月19日
「演歌」は昭和40年代になって成立した歌謡曲の一分野であった。演歌の歌い方には芸者歌や、いわゆる声楽系の歌唱法、ジャズなどさまざまな要素が取り入れられていて、民謡や浪曲などの要素はむしろ後付けであった。いわゆる「日本の心」を歌うものとしての演歌の意味づけは、昭和40年代に小説家・五木寛之とディレクタ...続きを読むー馬渕玄三によって、一種のアウトロー的なポジショニングをとる形でこしらえられたものだった。というあたりを、豊富な裏付けでもって説得力をもって論じる。昭和歌謡曲史としても評価できる労作。
Posted by ブクログ 2011年07月25日
演歌=日本的な歌。 誰もがそう思っているようだがでは果たして演歌とはどのように生まれたのだろうか? 明治・大正期に生まれたという「演歌」との関連は? という本
Posted by ブクログ 2010年12月31日
演歌は日本の心なのかを歌謡史を追いながらあぶり出していく。 演歌の女王美空ひばりは本当に演歌の女王なのか。ある時点で評価が一転する。面白いです。
Posted by ブクログ 2010年10月17日
自分の子どもの頃、1960年代前半、流行歌はあったが演歌はなかった。 少し時代は下って、「津軽海峡冬景色」を歌った頃の石川さゆりはドレス姿だった。 演歌歌手の着物姿が定着したのと演歌というジャンルが確立したのは同じ頃ではないか? その誕生の時点ですでに演歌は形骸化し力を失っていたのではないか? ...続きを読む これは「演歌は日本の心」という常套句に反発を覚えてきた自分にとって、待望久しい書である。
Posted by ブクログ 2013年03月22日
「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史。明治の自由民権運動の中で現れ、昭和初期に衰退し、やがて「日本の心」、「真正な日本の文化」とみなされるようになった過程と意味を論じる。「演歌」は「日本の心」か?
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