婚約破棄された王子を拾いまして 解呪師と呪いの王子

大江戸ウメコ / 鳩屋ユカリ

人里離れた森で呪いの研究をして暮らすトレッサは、ある日、行き倒れている男を拾った。彼の顔は醜く爛れ、さらにその傷には呪いがかけられていたのだが――「すごい、こんな見事な呪い、初めて見た！」。男の呪いに目が眩んだトレッサは、彼を家に住まわせ、呪いの研究をさせてもらうことに。ところがこの男、かなりの訳あり。実は一国の王子のうえに、陰謀によって大怪我を負い、呪いをかけられ、冤罪を着せられた挙句、婚約破棄までされた経歴の持ち主だった。最初は警戒心も露わにしていた彼だが、マイペースなトレッサと暮らしていくうちに、彼女を溺愛するようになって……!? ※電子版は単行本をもとに編集しています。

• カテゴリ: TL
• ジャンル: TL小説
• 出版社: アルファポリス
• 掲載誌・レーベル: ノーチェブックス
• ページ数: 296ページ
• 電子版発売日: 2022年09月02日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 1MB

[uta · ★★★★☆]

面白かった

森で薬を作って暮らしていたヒロインの元へ、呪いのアザのある男が迷い込み、呪いを解いて助けるお話
彼を純粋に助けて信じてるヒロインが良かった

[ブクログ · ★★★★☆]

明らかに訳あり男性なのに彼にかけられた呪いが気になって拾ってしまうトレッサ。
リケジョあるある、かなあ、多分。
しかも彼、なかなかのご身分の方なのに、家事を教えてみればトレッサより余程上手く熟す天才肌。
一家に一人欲しい逸材。
途中まで完全にヒーローというよりオカンでしたものね。
そこから、解呪には彼の体液が必要かも……なところから、いろいろ発展しました。
うん、色々と。
よかった、あのままだとオカン街道まっしぐらでしたもの、彼。

難解な呪い、そしてその呪いのせいで治せない醜い傷跡、見た目も事情も難ありだった彼のことを最初は研究目的だったとはいえ嫌悪することなく受け入れ、寧ろ（家事以外は）献身的に尽くすトレッサ。
人間不信に陥っていた彼にしてみれば、随分救いになったのではないかと推察して余りある。
作中のトレッサの言葉、読んでいるこちらも胸にくるものが多くて。
いい子なんですよ。
彼が絆されるのも分かるくらいいい子なんですよ……家事はさっぱりですけども。

彼に呪いをかけた相手は何となく想像ついていたし、事実その人ではあったけれども、動機が想定外でびっくり。
もっと悪役で政治的何かがある感じかと思ったら、悪く言ってしまえば幼稚なというか、不器用なというか。
親も多少関わっていたとはいえ、その親の思惑が主体ではなく、ほぼ独断だったのが本当に意外で。
親、巻き添えに近くないか？（いやまあ親は親で色々罪自体はあったけれども）
また、トレッサが家を離れなくなっていた件についても、そしてトレッサ自身の出自についても終盤怒涛の勢いで明らかになったのにも驚かされた。
最終的には、トレッサ側に何も犠牲がないまま大団円を迎えてくれたことに安堵。
大逆転！

最後のエピソードも嫉妬し合う主役カップルが可愛くて可愛くて。
ほっこりできるラストで楽しかったです。
最後まで濃厚でもありましたが……す、末永くお幸せに。