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忘れられた北への眼差し……
「そこから旅順港は見えるか」
大東亜共栄圏から東南アジア進出にいたるまで日本の対外認識を大きく形作ってきたのは、「南進」論であるといわれる。しかし、果たして、それは正しい理解なのだろうか? これが本書の問題関心である。
帝国が産声を上げたとき、まず目を向けたのは国内反乱である。陸軍は「鎮台」を設置。そして国内秩序が安定してくると、鎮台は「師団」になる。
その後、第七師団が札幌の月寒に創設された。この師団は鎮台からの繰り上げではない、全く新しい危機に対応したものであった。いうまでもなくロシア(ソ連)の脅威への対応である。
第七師団は北辺の守りを司る「北鎮」師団として北の民の心の拠り所だった。日露戦争では旅順攻略戦や奉天会戦に参戦、シベリア出兵(尼港事件に遭遇)やノモンハン事件でも戦い、太平洋戦争時にはアリューシャン列島やアッツ島に派遣、敗戦直前には占守島や樺太でソ連の侵攻を食い止める役割を担った。
ここには、戦後日本では封印された「北鎮」の思想がある。
「最強」師団はいかに戦い、そして負けたのか? 「北鎮」という忘れられた北への眼差しを恢復する試み。
Posted by ブクログ 2022年01月10日
第7師団の生業を多くの資料、文献に基づき纏められた大作。日新製糖、日ロ戦争、満州事変、シベリア出兵、ノモンハン事件、その後の大戦やソビエトの参戦。あまり取り上げられないが、占守島や樺太での戦いが、日本を分断から守ったのではないか、という点や今も続く北方領土問題等色々と勉強になり、また考えさせられまし...続きを読む
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