刑務所の精神科医――治療と刑罰のあいだで考えたこと

刑務所の精神科医――治療と刑罰のあいだで考えたこと

2,970円 (税込)

14pt

〈私には、非行少年少女や受刑者の多くが人生の偶然や不運に翻弄されているように見えた。そして、人生のほんのわずかな何かが変わっていれば、自分も少年院に入って反対側の椅子に座っていたかもしれないと感じていた〉刑務所や少年院などの受刑者・被収容者の中には、精神障害が理由となって法を犯した者もいれば、矯正施設という特殊な状況下で精神障害を発症する者もいる。しかし、受刑者たちの治療の前には、つねに法の「平等主義」が立ちはだかってきた。親の顔も知らずに育った青年。身寄りもなく、万引きを繰り返して刑務所と外の世界を行き来する老人。重度の精神障害のため会話もままならず、裁判すらできずに拘置所に収容されつづける男性――。著者は精神科医として、矯正施設でありとあらゆる人生を見てきた。高い塀の向こうで、心の病いを抱えた人はどう暮らし、その人たちを日夜支える人々は何を思うのか。私たちが暮らす社会から隔絶された、もうひとつの医療現場を描くエッセイ。

...続きを読む

詳しい情報を見る

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

刑務所の精神科医――治療と刑罰のあいだで考えたこと のユーザーレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    とても面白く、学びが深かった。
    安易な共感にも批判にも与しない抑制された語り口、時々顔を覗かせるユーモア、具体的なエピソード。エッセイなので読みやすいが、決して浅くはなく、どれも塀の中の人たちへの理解を深めるのにとても有用だった。
    睡眠薬を増やしてもらう受刑者のふるまいを「セリでもやっているかのよう

    0
    2024年11月02日

    Posted by ブクログ

    凶悪犯罪についてのドキュメンタリー動画をYouTubeでよく見たりするので、個人的にはおもしろかった。
    治療と刑罰を同時に実行するのは難しい問題なんだなと思ったし、人間を育てるのも大変だなと思った。

    0
    2022年08月21日

    Posted by ブクログ

    矯正施設の受刑者や非行少年たちの中には、一般社会よりも高い割合で、精神障害の方や、学習面や身体面に困難さを抱えて社会に適応できずに道を踏み外してしまった方がいるとされる。

    本書は、そうした矯正施設で精神科医師として20年以上勤務した著者のエッセイである。著者の野村先生は、哲学、臨床心理学を経て、3

    0
    2022年06月11日

    Posted by ブクログ

    塀の中の事は中々知ることはできない。
    長年興味があった。
    この本は作者が矯正施設に精神科医として勤めていた時の経験談が書かれています。
    作者個人の経験なので限られた範囲にとどまってしまうが、犯罪を犯してしまった人たちの心理がわかることができた。

    作者がフィンランドの刑務所を見学に行ったときの言葉が

    0
    2025年10月29日

    Posted by ブクログ

    支援に関する本なので難しいかなと思っていたが、けっこうするする読めた。
    もとがエッセイなことを最後で知った。

    罪か罪じゃないかの境界はとても難しい。だからといって、人を傷つけていいわけではないけれども。
    本文にもあるが、実際そこまで遠い世界ではないはずなのに塀の外と中の世界が違いすぎる。その区分け

    0
    2025年09月14日

    Posted by ブクログ

    大学生の時、福祉専門官として働きたいと思った事がある自分としては、非常に興味深い内容でした。著者の野村先生の書き振りに、受刑者・被収容者に対する誠実さや実直さがあらわれているようで、最後まですっと読むことができました。

    0
    2025年05月28日

    Posted by ブクログ

    内容は切実なのだが、著者のお人柄というか、対象に向ける眼差しがやわらかく、試行錯誤し続ける姿勢に救われた。

    0
    2025年03月26日

    Posted by ブクログ

    少年少女から老人まで、さまざまな受刑者達と向き合ってきた精神科医が接した多くの事例を挙げ、日本における受刑者への精神医療を問いかける。淡々とした口調で書かれているが、非常に重い問題に最前線で接している医療従事者達の苦闘が伺える。

    「刑務所が一種のセイフティーネットになっている」という言葉が重い。平

    0
    2024年08月11日

    Posted by ブクログ

    社会から隔離された場所で過ごした後、もう一度社会で暮らさなければならない。元々、居場所が無いような人達が、さらに追い詰められるようなら構造になってしまっているのだろうか。
    また、精神病患者が現れたのはここ最近の出来事では無いというのは、興味深かった。確かに、知能などが劣っている人や、落ち着きがない人

    0
    2024年02月06日

    Posted by ブクログ

    刑務所で臨床医として勤めた経験のある筆者が体感し、考えた罪と罰、そして精神医療の在り方について書かれた一冊。
    この本には、正解も不正解もなく答えはなにもない。
    結論もないし、筆者の一貫した意志や考えがあるわけでもない。

    だけど、平坦や冷淡ではなく
    自己の主観に縛られることなくフラットな視点で事実が

    0
    2022年05月29日

刑務所の精神科医――治療と刑罰のあいだで考えたこと の詳細情報

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

この本をチェックした人は、こんな本もチェックしています

無料で読める 学術・語学

学術・語学 ランキング

野村俊明 のこれもおすすめ

同じジャンルの本を探す