刑務所の精神科医――治療と刑罰のあいだで考えたこと

刑務所の精神科医――治療と刑罰のあいだで考えたこと

2,970円 (税込)

14pt

3.9

〈私には、非行少年少女や受刑者の多くが人生の偶然や不運に翻弄されているように見えた。そして、人生のほんのわずかな何かが変わっていれば、自分も少年院に入って反対側の椅子に座っていたかもしれないと感じていた〉刑務所や少年院などの受刑者・被収容者の中には、精神障害が理由となって法を犯した者もいれば、矯正施設という特殊な状況下で精神障害を発症する者もいる。しかし、受刑者たちの治療の前には、つねに法の「平等主義」が立ちはだかってきた。親の顔も知らずに育った青年。身寄りもなく、万引きを繰り返して刑務所と外の世界を行き来する老人。重度の精神障害のため会話もままならず、裁判すらできずに拘置所に収容されつづける男性――。著者は精神科医として、矯正施設でありとあらゆる人生を見てきた。高い塀の向こうで、心の病いを抱えた人はどう暮らし、その人たちを日夜支える人々は何を思うのか。私たちが暮らす社会から隔絶された、もうひとつの医療現場を描くエッセイ。

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刑務所の精神科医――治療と刑罰のあいだで考えたこと のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ 2022年08月21日

    凶悪犯罪についてのドキュメンタリー動画をYouTubeでよく見たりするので、個人的にはおもしろかった。
    治療と刑罰を同時に実行するのは難しい問題なんだなと思ったし、人間を育てるのも大変だなと思った。

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    Posted by ブクログ 2022年06月11日

    矯正施設の受刑者や非行少年たちの中には、一般社会よりも高い割合で、精神障害の方や、学習面や身体面に困難さを抱えて社会に適応できずに道を踏み外してしまった方がいるとされる。

    本書は、そうした矯正施設で精神科医師として20年以上勤務した著者のエッセイである。著者の野村先生は、哲学、臨床心理学を経て、3...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2024年02月06日

    社会から隔離された場所で過ごした後、もう一度社会で暮らさなければならない。元々、居場所が無いような人達が、さらに追い詰められるようなら構造になってしまっているのだろうか。
    また、精神病患者が現れたのはここ最近の出来事では無いというのは、興味深かった。確かに、知能などが劣っている人や、落ち着きがない人...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年05月29日

    刑務所で臨床医として勤めた経験のある筆者が体感し、考えた罪と罰、そして精神医療の在り方について書かれた一冊。
    この本には、正解も不正解もなく答えはなにもない。
    結論もないし、筆者の一貫した意志や考えがあるわけでもない。

    だけど、平坦や冷淡ではなく
    自己の主観に縛られることなくフラットな視点で事実が...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年01月31日

    超高齢社会、認知症患者が増加するにあたりどのように罰するのかが課題なのだと思う。

    神経症などを発症して法で罰せないときに、被害者はやるせないのではないだろうか。加害者が刑務所から出てきたところで、同じことが繰り返される。

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    Posted by ブクログ 2021年10月11日

    少年院や刑務所で精神科医として被収容者の治療にあたってきた著者のエッセイ。発達障害、認知症、薬物依存、統合失調症、双極性障害などの精神疾患を抱えた被収容者は少なくない。医療と司法の間で、彼らをどのように治療して行ったらいいのか。現在問題視されている、児童虐待や薬物依存での犯罪、高齢犯罪者の増加などに...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年09月07日

    知人から紹介を受けて読んだ。抑揚が効いた文章であり、慎重に記述されたのだと思う。精神科医のエッセイは他にも読んだことがあるが、その方と比べると伸びやかさを感じない。著者は既に亡くなられたと聞いたが、いろいろなことを思い、それをカタルシスなく、逝かれたのではないだろうか。

    書評サイトに熱いコメントを...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年03月14日

    SL 2022.3.12-2022.3.14
    落ち着いた筆致で、冷静な視点で描かれている。
    加害者治療なので被害者支援に言及していないことにも自覚的な点が高評価。
    少年少女たちの過酷な家庭環境には胸が痛む。自分には想像できないような現実がこんなにもあるということ。

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    Posted by ブクログ 2021年12月05日

    “「家族はこうあるべきだ」という規範を考えようとすることは、どうしてもそれ以外の家族のあり方を批判する論調に傾きがちである。しかし、家族のあり方がますます多様化していくことはおそらく止められないだろうし、止めようとする必要もないことだろう。”(p.55)

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