慰安の寮母 戦火に抱かれた女の追憶

慰安の寮母 戦火に抱かれた女の追憶

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“その夜、私の体は、死にゆく者たちの最後の慰めの“器”となった”

夫を戦争で亡くし、兵舎で寮母として働く澄江。彼女にとって、若い兵士たちは息子も同然だった。
──あの夜までは。

「生きて帰れるか分からない。一度でいい、女を抱いてみたい」

死を覚悟した若者の切実な願いに、彼女の中の「母」と「女」が激しくせめぎ合う。そして彼女は、一人、また一人と、訪れる者すべてをその体で受け入れた。

やがて身ごもったのは、誰の子か分からぬ命。それでも兵士たちの求めは絶えず、澄江は孕んだ体でさえ男たちを慰め続ける。敗戦後は、生きるために屈辱的な占領軍の求めに応じ、その逞しい肉体に身を委ねる日々。

戦争が、女を聖母(マドンナ)に、そして娼婦(パンパン)に変えた。 幾人もの男に抱かれ、その種を受け入れ続けた女が、人生の果てに見つけた真実の愛と、墓場まで持っていく秘密。

これは、背徳と官能に彩られた、一人の女の壮絶な生の記録である。

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