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「吉井英生」の「新・世界エネルギー戦争 資源敗戦国・日本の未来」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「吉井英生」の「新・世界エネルギー戦争 資源敗戦国・日本の未来」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
Posted by ブクログ
お世話になっている隣駅の本屋さんで見つけた最新本(2026.8発行)です、地政学・エネルギー問題が、現在の紛争の原因になっていることを改めて解説した本です。
久しぶりに衝撃を受けた本でした。それは、エネルギー(石油、天然ガス)の生産において、国(特にアメリカ、イスラエル)によっては私が高校生の時に覚えたものと全く異なった状況になっていて、その背景があるから、今の彼らの振る舞いが理解できました。情報は常にアップデートしておかないといけないと痛感しました。
その意味で、日本の近海に眠ると言われている「メタンハイドレード」や「レアアース」も実用生産されれば状況も変化する可能性があることも想像できました。以前、エネルギー業界にいた私としては、興味深く読めた本でした。
以下は気になったポイントです。
・本書で 言いたいことは 一点に 集約される、エネルギーは 国際政治の「鏡」である。 どの国が何を持ち 何を持たず、 誰から買い誰に売っているのか。 その点に注目すればその国の強さも弱さも、 外交での選択肢も軍事的な臆病さもおおよそ見えてくる(p20)
・「正義のための制裁」と「自国の工場を止めないための調達」 この2つは教科書では別の話だが 、同じ国の同じ 閣僚が同じ朝に処理している案件である(p21)
・新聞の一面とエネルギーの地図を重ねた時、 世界の本音が見えてくる。教科書が絶対に書かない 国際政治の本音、 それは戦争を起こすのも止めるのも、 結局のところ エネルギー次第である (p26)
・本書では、 アメリカ・ ロシア・ 中国、 この3つの国を「フルセット型エネルギー 国家」と呼ぶことにする、 フルセットとは「 石油・天然ガス・ 石炭・ 原子力・ 再生エネルギー」 という 主要エネルギー源の全てを国内で扱える総合的な能力を意味する。 それに加えて それらを統合運用するための技術力、 巨大な国内市場、資金力、 軍事力を持っていることが条件となる。つまり、資源・技術・市場・資金・軍事、この5つの要素を国内に備え、 しかも 統合的に動かせる 国家こそが フルセット型エネルギー 国家である、 日本も サウジアラビアも ドイツも フルセット型ではない (p27)
・アメリカの芯の強みは、 フルセット型エネルギー 国家に必要なご 要素を「民間」「 国家」が同時に 統合運用する仕組みを持っていることである。 民間と国家 市場と軍事力が一体となって動く、世界に類を見ない 独自の覇権モデル、これが アメリカという国の本質である (p29)
・ 買う側と売る側の両面で覇権を握ろうとする市場 類を見ないタイプのエネルギー 国家、 それが現代の中国である。資源の自給率は高くないが、圧倒的な需要規模と製造力で補い、 世界市場のサプライチェーンそのものを握る方向へ動いている。 石油 では 世界最大の輸入国、 再生可能エネルギー設備では 世界最大の輸出国、 さらに 原子力発電所まで輸出し始めている。この奇妙な二重性こそが 中国型フルセットの特徴である (p30)
・最も困難な立場に置かれているのが 日本である、石油 および 天然ガスはほぼ全量を輸入している、原子力は 福島第一原発事故以来 再稼働が進んでいない、 再生可能エネルギーは導入が拡大しているが、 その設備の主要部材の多くは中国製である、エネルギーのあらゆる 側面で外部依存から抜け出していない(p34)
・ ドイツの場合、 欧州の脱 炭素戦略とロシア 依存からの脱却という それぞれ「正しいはずの選択」が欧州の産業基盤を内側から崩しつつある。 例として ドイツを代表する科学 メーカーが 本国での生産能力を縮小し、 中国に新工場を建設することを決定している。新時代の世界エネルギー 戦争では、銃弾の代わりに「 価格」という 銃弾が飛び交う (p36)
・フルセット型エネルギー 国家である3大国は、 まだ正面切って 軍事的に衝突してはいない。 互いに核を 保有する以上 直接の戦争は割に合わない。 だからこそ 戦場はエネルギーに移っている 。経済の顔を装いながら その内実は戦争である、 局地戦のままで終わらせられるか それとも 3大国による全面対決にまで至るのか 世界の運命は大きな岐路に立っている (p38)
・石油はいまだに世界エネルギーの王様の座を譲っていない、 理由は 単純で、 石油 ほど 用途の広いエネルギーは他に存在しない。石油の使い道は大きく3つある、1) 自動車、 トラック、 航空機、 船舶を動かす 役割、2) 産業用燃料として発電所のボイラーや工場のプロセス 熱に使われる、3)石油 化学: 原油を蒸留して得られるナフサと呼ばれる から 軽質留分から、プラスチック・ 化学繊維・ 医薬品・ 肥料・ 塗料・ 化粧品・ 農薬まで作る。 これは 石油需要の1割から1割5分を占めるとされる、 この3点目は太陽光にも風力にも水素にも真似できない 石油 だけの強みである(p41)
・さらに石油が王様であり続ける もう一つの理由として、圧倒的な輸送の自由度にある。中東のホルムズ海峡を出た原因はわずか3週間ほどで日本の港に着く(p41)
・天然ガスの co2排出は少ないが、 裏の顔がある。 未燃焼のまま待機中に漏れ出した メタン= 天然ガスは、100年ベースで二酸化炭素のおよそ28倍という強烈な温室効果を発揮する。 漏らせば 一気に最悪のガスへ転落とする 危うい エネルギーである (p46)
・石油なら価格が上がればすぐに別のタンカーが地球の裏側からでもやってくるが、 天然ガスはそうはいかない。 設備が足りなければいくら金を積んでも液化できないし 運べない。 LNG は 世界中に運べる自由化の技術と言われながら、 契約と設備でがんじがらみになった 固定化の技術でもある(p48)
・世界は今 表向きは「 脱炭素」と言いながら裏でこっそり 石炭に戻っている、理由は 石炭 ほど「 使い勝手の良い 化石燃料」が他に存在しないからである。 石炭の用途は限定されている 集約すれば 2つで、発電用の「一般炭」と 製鉄用の「原料炭 」である。この2つこそが現代社会の心臓部を支えている、世界の電力のおよそ35%は依然として 石炭によってまかなわれている (p52)
・石炭にはエネルギー安全保障の観点から見た強さがある、 LNG のように冷やす必要もなく 石油のような 生成 設備も不要である。 港や 発電所の脇に山積みするだけでも 数ヶ月単位で 備蓄できる、石油なら戦争 1つで価格が跳ね上がり、 LNG なら 欧州 が買いあさった瞬間にアジアの調達価格が暴騰する、 だが 石炭はいざという時に「とりあえず 頼れる」エネルギーである(p55)
・ ロシアと中国は、 燃料供給・ 原子炉建設・ 運転支援・ ファイナンスまでを国家ぐるみで提供するという「 垂直統合モデル」によって世界の原発 市場で着実に勢力を広げている、 これが原発 システム輸出の実態である。原子力エネルギーはもはや 単なる商売ではなく、 国家 力そのものの輸出になっている(p60)
・再生可能エネルギー( 太陽・光・風)は燃料費はゼロ co2もほぼ出さない 地球を救う夢のエネルギーとされているが 不都合な真実がある、それは「コストが高い・ 不安定・ 心臓部を中国に握られている」 の3つである(p64)
・ 再生エネルギー最大の弱点は、出力の不安定である。 太陽光は夜には発電せず曇れば発電量が激減する。風力は風次第で、 無風の日はピタリと止まる。 設備利用率は 太陽光で1割、 陸上風力 で 2割、 洋上風力 でも3割程度にとどまる。 設備利用率 15%とは「1日24時間のうち3時間半ほどしか フル活動をしない」という意味である(p66)
・欧州や 日本がどれだけ「脱ロシア」「脱中東」と叫んで 再エネに走ったところでその先に待っているのは「 脱化石燃料=対中依存」となる。 21世紀のエネルギー 戦争が「化石燃料 vs再エネ」の単純な 図式で語られない理由がここにある(p69)
・水素は天然に 採掘できる資源ではない、 必ず 他のエネルギーを使って製造される、 つまり 電気と同じ「 2次エネルギー」である、現在世界の水素 生産量は年間9000万トンに達しているが、その大半は天然ガスや石炭を原料としている、結果として 水素製造に伴う 二酸化炭素を排出量は年間約 9億トンに上る、 水素= クリーンという単純な 図式は現実には全く成立しない(p73)
・今日の 原油価格は誰が決めているか、 今確実に 価格に影響を及ぼしているのが、 テキサスの荒野で油井を掘っている 誰も名前を知らないような民間企業の経営者たちである。 価格があれば移動を増やし 下がれば即座に投資を引き上げる ただそれだけの商売人である。 サウジが減算しようが ロシアが落とそうと彼らが掘れば 値が下がり 彼らが止めれば 値が上がる。国家ではなく 民間が世界の原油の蛇口を握っている。 これが 現代アメリカが世界に突きつけている新しいルールである、 このルールが21世紀のエネルギー 史を書き換えてしまったと言っても過言ではない(p76)重要なポイントは シェール革命は、国家計画でも 国営企業の指導でもなく、 民間企業・ 投資家・ 金融市場・ サービス会社の集合体 によって進められたということである。価格が上がれば 掘る、 採算が合わなければ即座に絞る(p77)
・かつて 典型的なエネルギー輸入国 だったアメリカは、2019年 67年ぶりにエネルギー 全体で準 輸出国となった。エネルギー不足に怯える側から、怯えさせる側へ、 これがシェール革命 を経たアメリカが手にした新しい外交カードになる(p79)
・今後のアメリカ政治がどの方向に 振れるか外部から 断定することはできないが、1つだけ確かなことがある。 それはエネルギーという観点から見れば アメリカの派遣が短期的に 覆る可能性は極めて低いということである。 ロシアは資源に強みを持つが 経済規模が小さい、 中国は巨大市場を持つがエネルギー輸入依存度が高い(p91)
・ロシアという国家が長期にわたって相手国の経済と政治の深層に 埋め込むこと、 ガスを止めれば 震え上がる。原子炉を売れば 数十年の従属 を生む、これがロシア流のエネルギー覇権である、 この設計が2022年の2月 ウクライナ侵攻とともに 根本から 揺さぶられることになった。欧州の対応はそれまでの 依存関係から想像もつかないほど 迅速であった「 ロシア 依存からの脱却」へ 一気に舵を切った(p102)
・20世紀の戦争は、 油田や製油所の保有を巡って戦われたが、21世紀の戦争は、 パイプライン・ LNG 基地・ 海底ケーブル・ 原子力発電所が直接の強敵となる、新・世界エネルギー 戦争はすでに始まっているという現実が始まっている(p103)
・アメリカのシール 企業が「価格を見て 掘る 商売人」だとすれば、 中国の3大国有エネルギー企業は「国家戦略を実行する制服組」である、 市場原理ではなく 国家医師によって動く。 この点で中国はロシアに似た構造をはるかに大きなスケールで運用していることになる (p118)
・ 太陽光発電については、 シリコン 精製・ セル・モジュールに至るまで サプライチェーンのほぼ全体を掌握している、風力についても同様であり 世界市場で存在感を強めている。 このような現象になった理由は、 中国は再生 可能エネルギーを「 環境」といった 理念ではなく 徹頭徹尾「産業」として捉えたからである。 巨額の補助金、 低コストの資金供給、国内市場の優先的な開放、 国家主導の徹底した支援によって製造能力を拡大させ コスト競争力で欧州企業を凌駕し 2010年代後半から 世界市場を席巻した(p126)
・資源を「持つ国」 ではなく「加工する国」が支配力を持つ、 この構図は 従来のエネルギー値 正確とは異なるものである。石油の時代は 埋蔵量がそのまま 国力に直結した、 しかし 再生可能エネルギーと電動化の時代においては、「 加工能力・ 製造能力」 こそが決定的な意味を持つ、資源を巡る争いから「供給網を巡る争い」へ。埋蔵量から「製造能力」へ、その転換点において中国は確実に主導権を握りつつある(p127)
・ロシアの鎖は相手国 が コストを払えば 断ち切れる可能性があるが中国の鎖は、もっと細かく もっと 多方面にもっと深く 張り巡らされている。太陽光パネル・ リチウム電池・ レアアース・ 加工技術・ 人材・ 長期保守計画、 これら全てを同時に 断ち切ることは現代の世界経済では事実上 不可能に近い。中国は誰も握られない 網を編み上げつつある(p129)
・ 日本の場合、 2011年3月の東日本大震災とそれに続く 福島原発事故を境に、 エネルギー政策は別物になったと言っていい。 震災以前日本は原子力を基幹電源として発電量の約3割を担っていた、 しかし 事故後 多くの原子炉が停止しその穴を埋める形で LNG 火力が急増した、現在では 発電量の3割以上を天然ガス、 石炭が3割、 再生可能エネルギーが2割、 原子力は1割という、 震災前とは別の国のような 構成になった(p140)
・21世紀のエネルギー覇権を 握るのは、もはや石油でも天然ガスでもなく、 リチウム・コバルト・ ニッケル・タングステンといった一般にはあまり 名前も知られていない「レアメタル」である、 その理由は エネルギーの主役が「燃やすもの」から「電気を貯めるもの」「電気を作るもの」「電気を運ぶもの」とシフトしているからである。 電気自動車のバッテリー、 太陽光パネル、 風力タービンのモーター、核融合炉の壁材 にも レアメタルは欠かせない(p157)
・ 日本において忘れてはならないのか「 都市鉱山」である、日本は長年にわたり 電子機器や自動車を世界に向けて製造してきた結果、 国内に膨大な レアメタルを抱えている。使用済み製品から金属を回収する技術を 高度化すれば、資源の海岸依存を大きく 避けることは可能である。鉱山を持たない 日本にとって、過去に売り渡した製品が形を変えて「 国内資源」 これほど 贅沢な 逆転劇は他にない (p158)
・ 欧州の電力市場は「メリット オーダー方式」を採用している 、このため 2022年に ロシア産 ガスの供給が急 減し天然ガス 価格が急騰すると、発電コストの低い原子力や 再エネが大量にしていても、 欧州全体の電力価格は ガス価格に引きずられる形で 急騰する。 つまり 太陽光がどれだけ ゼロコストで電気を作っていても、 ガス 火力が需要を埋めるために少しでも 供給しているなら 視聴 価格は その ガス火力の値段で決まってしまう。 メリット オーダー方式という 市場原理を貫いた結果、 外部の地政学的リスクが、家庭の電気代・ 工場の操業 コストを直撃するという 歪んだ 構造が出来上がってしまった。 理念の上では美しい 設計が現実の上では 脆弱性 そのものになってしまった(p165)
・ドイツの工場が次々と消えていく、この表現はもはや誇張ではない。 ヨーロッパ大陸から、雇用・ 税収・ 産業の心臓 そのものが確実に流出している。エネルギー価格が 産業の立地 そのものを決定する時代が来てしまった(p167)
・資源を持たないがゆえに 制度を武器にする、 それが 欧州の基本戦略であった。 このモデルは2000年代から2010年代にかけては一定の成功を収めた、 域内市場は 統合され 競争によって効率性が高まり 発電コストは低下した、再生可能エネルギーの導入も 急速に進み 北海沿岸では 風力 比率が大幅に拡大した。 この動きは単なる 環境政策ではなく、 欧州は再生可能エネルギー そのものを「 産業政策」として位置づけてきた、自らがルールを作り そのルールの上でかつ 産業を育てる、 これが 欧州の戦略だった(p169)
・風力や太陽光の普及は、固定価格買取制度、 各種補助、 税制優遇 といった政策によって支えられてきた。 これは 市場の結果ではなく 政策によって生み出された 需要である、 欧州はこの仕組みを通じて自らが競争力を持つ分野に投資を集中させ 産業基盤を強化してきた。 これを補助金 と呼べば聞こえは悪いが、 その看板に「環境」「未来」「 正義」という 誰も反対しにくい 大義名分が書く掲げられていたのが 補助金との違いである。世界中の国々が「 ノート 言いにくい 理念」 のもとで 欧州 が設計した ルールに同調していった、 2015年のパリ協定によって それが世界的な政治 目標として結実した時 欧州の戦略は 完成形に近づいたかに見えた(p170)
・欧州は「ルールをつくり市場を育てる」ことには成功したが、その市場を最終的に誰が支配するかまでは コントロールできなかった 。再生可能エネルギーは 域内で生産可能である一方で、 その設備や原材料は グローバルサプライチェーンに依存している、 特に 中国への依存度が高く この構造は ロシアへのガス依存と本質的には同じ安全保障上の問題を内包している (p171) 欧州の経験が示したものは、 地上だけでも国家だけでもエネルギーシステムは成り立たないという現実であった(p175)自らの理念に従って自らの足元を掘り崩した地域である、 それは恐ろしくもありしかし どこか 敬意を抱かせる あり方でもある (p178)
・ イスラエルは典型的な資源 輸入国であったエネルギー安全保障は建国以来の弱点であり 戦争になれば燃料供給が脅かされるという不安を常に 抱き続けてきた、 しかし 2009年 イスラエル 沖の東地中海でガス田が発見され 、続いて 2010年には さらに大きなレビアタン・ ガス田が発見された、同国の LNG 基地で液化された後 欧州へ移出されている、 ロシア産天然ガスへの依存 低減を急ぐ 欧州にとって 東地中海の天然ガスは今や重要な供給源の一つになっている。イスラエルはかつてのように 周辺国からのエネルギ、ー供給に神経を尖らせる必要はもうない(p185)
・ OPEC はアメリカのシェール革命により価格を決める力は失ったが、 ホルムズ海峡が 物理的に 封鎖されれば 世界経済は瞬時に呼吸困難に陥る、日本のように 原油 輸入の9割以上を中東に依存している国にとって脅威である。従って価格を決める力を失っても「止める力」だけは残っている(p192)
・ UAE は 1967年に アブダビ 視聴 国としてオペックに加盟して以来 関わってきたが、2026年 5月 ついに正式に OPEC 及び OPEC プラスから脱退した。カタール やエクアドル など 離脱した国はあるが UAE のケースは最も影響力の大きな 離脱であろう(p198)
・日本の将来を語る上で重要なポイント、1)第一次石油危機の時とは 比較にならないほど 現代の日本社会は石油に依存している、2)他のアジア諸国の動きと比較しても日本の危機 対応が弱いと感じる、3)本当の危機は物価高 にしても 品不足にして、タイムラグ を伴う形でゆっくりとやってくる、4) 今回の機器は燃料だけでなく「 素材」も絡んだ複合的なものである(p210)
・ 第一次石油危機と比べると物流が複雑になっている、 24時間営業のコンビニ、 翌日配送の宅配 網、 冷凍冷蔵物流、 段ボール・緩衝材・ フィルム・ プラスチックトレー・ 保冷容器、 現代社会は石油化学製品による「見えない物流インフラ」(p212)
・深刻なのは 農業である、 現代農業は想像以上に石油と天然ガスへ依存している、トラクター・ コンバインの燃料だけではない、 化学肥料・ 農薬・ ビニールハウス・ 灌漑設備・ 食品 放送・ 冷蔵物流、現代の食料生産そのものが エネルギーの上に成り立っている。 特に窒素肥料は天然ガスを原料として製造される、 肥料 価格が上がる、餌料 価格が上がる 、農業 コストが上がる、食料価格が上がる、 静かにしかし確実に危機は食卓へ近づいてくるだろう(p218)
・本当に恐ろしいのは、 社会が突然止まることではない。 社会が動いているように見えるまま、 少しずつ弱っていくことだ。 農業が弱る、 医療が弱る、 化学産業 が弱る、 物流が細る。 そして気がついた時には 以前の豊かさを支えていた工場も人材も技術も失われている。機器とは爆発ではない「 衰弱」である(p227)
・日本はどこで勝負すべきか、 筆者は「省エネルギー技術」の分野であると考える、日本が再び世界で存在感を発揮できる可能性がある。 省エネは一つの画期的な発明ではない、 建築・ 空調・ 交通・通信・ 蓄電池・ AI・ 電力制御・ 水素利用など、多様な技術 を組み合わせながら 都市 全体のエネルギー効率を高めていく 総合技術である。1つの 天才的発明 よりも、数多くの技術を統合し改善を積み重ねる能力が重要になる(p236)
・これからなのは 単に資源を「買う」のではなく、 資源国へ投資 し、人材を育て、 現地社会と長期的な関係を築き、 供給もそのものへ 深く関与していくことである。 幸い 日本にはその土台が残されている、中国やロシアのような強引さ はなくとも日本に対する信頼や親日感情は多くの地域に残っている(p241)
2026年8月19日読破
2026年8月22日作成
Posted by ブクログ
現代の争いや経済活動をエネルギーという側面から論じており、各国の立場の違いが鮮明にわかった。
エネルギーを自活できるアメリカとロシア、巨大な需要で市場そのものをコントロール出来てしまう中国。
結局はエネルギーにアクセスしやすい彼らが中心となって世界秩序をつくっていく。
イスラエル近海で天然ガスが取れるようになっていることには驚いた。
持たざる国日本はどうしたらいいのか。
エネルギーはすべての活動の根底で、機械が動かせなければ農業もできない。医療物資も逼迫する。素材が手に入らず豊かさが後退する。今のような便利な生活はできなくなってしまうかもしれない。
正直、豊かさが下がったとしてもある程度物質的に満たされていれば(水と食べ物があれば)生き続けることはできると思う。
けれども、エネルギーにアクセスできないということは=農業生産性が落ちるということだから、確実に飢餓状態になる人が出てくると思う。しかもそれは都会から。
だからこそ、エネルギーという国家レベルの課題は市場や民間に任せるのではなく、政府が責任をもって調達多角化や権益確保のための外交、パワーアジアの発想がとても重要になってくるんだと感じた。
エネルギー業界にいる身としては、早くエネルギーを国産化していく必要性を痛感した。