エリックハイセラーの作品一覧
「エリックハイセラー」の「同時世界 重なりあう記憶」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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小説・文芸
Posted by ブクログ
献辞にあるような「初めて会ったのになぜか親しみを感じる人」っているよなぁ、という疑問に、SFならではの解答を提示していてなるほどと思う。可能性の数だけ世界が存在するのではなく、時間軸は常に一つで逆行はせず、改変すれば更新されるという概念の一種のタイムトラベルものなのだが、こんなやり方がまだ合ったのだなと感心。登場人物たちは時間を行き来せず、知った未来から今から起こる重大な犯罪を阻止せんとして行動していく、そのクライムサスペンスミステリーとしての面白さが本書の面白さであり、そういう意味ではあまりSF味は濃くない。既に映画化権が買われていることからも確かだが、ミステリアスなつかみ、シリアルキラーの追跡劇、緊張場面でのコミカルなやり取り、山場のアクションと、緩急つけたさすがの盛り上げ上手で、すぐにでも映画になるような面白さだと思う。
そもそも著者はシナリオライターであることが大きいだろう。台詞を喋っている時の動作や表情の描写が多く、物語を考える時頭に映像が浮かんでいるタイプなんだろうなと思った。
先述した献辞は、作品全体のテーマであると同時に、物語のある重要な伏線にもなっている。勘のいい人なら気づいちゃうかも知れないが、自分は物語を追うのに夢中でそこを詮索できなかった…。続編を作れろうと思えば作れる道筋も書かれていて、そういうところが小癪なくらいに上手いと思った。