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  • 読むことのアレゴリー
    値引きあり
    4.5
    1巻1,540円 (税込)
    批評界に大きな衝撃を与えるとともに、文学批評はもちろん、哲学・思想の領域にも深い影響を与えた巨人ポール・ド・マン(1919-83年)。ド・マンを領袖とする「イェール学派」は、第一世代に属するハロルド・ブルーム、ジェフリー・H・ハートマン、J・ヒリス・ミラー、第二世代に属するバーバラ・ジョンソン、ショシャナ・フェルマンの名とともに無数の輝かしい成果をあげてきた。その原点に位置するのが本書『読むことのアレゴリー』(1979年)であり、そこで全面的に展開されたド・マンの「脱構築批評」は文字どおり世界を震撼させた。 本書の一貫した主題は、言語の「比喩性」の観点から「読むこと」の本質を考察することにある。テクストに普遍的=不変的な意味を見出そうとする「字義性」に基づく発想をド・マンは虚妄として暴き出す。その帰結として高らかに宣言されるのが、言語はすべて比喩的である、というテーゼにほかならなかった。つまり、言語は絶えず自身とずれていく。それゆえ、語りは決定的な終結を迎えることに必ず失敗し、コミュニケーションはディスコミュニケーションとなる。例えば、アメリカのテレビドラマ『All in the Family』の一話で靴紐の結び方を聞かれた男が口にする「What’s the difference?」という言葉に見られるように、言語は常に「字義どおりの意味(literal meaning)」と「比喩的な意味(figurative meaning)」のあいだで宙吊りになり、意味の決定不可能性に直面するわけである。本書は、このことをルソー、ニーチェ、リルケ、プルーストにも見出される本質的な特性として示し、それらのテクストがみずからを脱構築し、さまざまな内部矛盾を遂行してしまうさまを鮮やかに浮かび上がらせる。 ド・マンの主著にして現代批評理論・現代思想の領域に聳え立つ一大金字塔──その定評ある明快な日本語訳を文庫版で手にできる快楽がここに生まれた。 [本書の内容] 序 文 第I部 修辞(学)  第1章 記号学と修辞学  第2章 文 彩(リルケ)  第3章 読むこと(プルースト)  第4章 生成と系譜(ニーチェ)  第5章 文彩のレトリック(ニーチェ)  第6章 説得のレトリック(ニーチェ) 第II部 ルソー  第7章 隠 喩(『第二論文』)  第8章 自 己(『ピュグマリオン』)  第9章 アレゴリー(『ジュリ』)  第10章 読むことのアレゴリー(『サヴォワの助任司祭の信仰告白』)  第11章 約 束(『社会契約論』)  第12章 言い訳(『告白』) 人名・作品名索引

ユーザーレビュー

  • 読むことのアレゴリー

    Posted by ブクログ

    読むのに大変苦労しました。
    難しいけど、おもろい…
    読書やめられない…
    言語と意味が渾然一体となって溶け合うことで、指示的で単一な理解を妨げる、その因子のことをド・マンは「アレゴリー」と表現する。
    全てのテクストには必ず矛盾し、かつ相克し合う隠喩的土台がある。このことにより、統一されたテクストの読み取りには到達し得ないということ、これをリルケ、ニーチェ、プルースト、ルソーを例に挙げ骨太な内在的批評を試みる大著。
    混乱したルソーのテキスト分析は大変面白かった。
    言語というものの曖昧さや不安定性をどう捉えるのか、それが現代の文学や哲学の基盤としてあるのかなとつらつら思った次第です。

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    2023年05月16日
  • 読むことのアレゴリー

    Posted by ブクログ

    難解で知られるポール・ド・マン。その代表的な著作である『読むことのアレゴリー』。作品を丹念に読むことからその意味作用を分析して統一的な解釈から反する意味を読む脱構築的な読みの実践の書。テクストクリティークの代表的な作品。
    しかし、とにかく難しく、文と文のつながりを追って行くことができないというか、極めて困難。そんな作品を訳した訳者の土田さんの偉業には恐れ入る。
    また読んでみたい。

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    2024年04月06日

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