1989年に描かれた表題作と、それをわかりやすくするために過去作を収録したもの。この表題作が実に見事な面白さである。
二人のドクターが協力する…なんてキャッチーで一発ネタなだけかと思いきや、魔術と科学の両方に見識のあるドクター・ドゥームの単なるヴィランにはとどまらないプライドが高く気高い部分が如実に
...続きを読むシナリオに生きていた。ドクター・ドゥームのこういう面が見られる邦訳作品がまず少ないのでそれだけでも価値がある。
もちろん、ドクター・ストレンジの魔術的な偉大さもよくわかるし、色々な作品で顔を出してくるメフィストがどれほど強大か、なんてのも分かるのでとにかく読んでほしい一冊だ。
補填としての過去作はこの表題作のアイデア元がしっかり読めるので、資料価値も高い。
なお、最後の二編は表題作とは直接の関係がなく、マイク・ミニョーラが手掛けた作品と言う共通項として載せられている。どちらも主人公はネイモアなのだが、マーベルのキャラクターを使った寓話、というような話なのでこれまた新鮮で読みごたえがあった。