○抜き書き
仮に大野氏や鈴村氏のような厳しい方がいなかったらTPSの基本が社内に根付いたでしょうか。
もし学者タイプの人が、在庫やムダについて論理的に説明してくれたとしても、それが社員の心に響いたかどうかは疑問です。(22P)
作業のムダに気づかない管理者、故障や停滞の原因がわからない管理者がいる
...続きを読むと、「マルを描いて立っていろ」と怒鳴りつけるのです。(23P)
単純に言えば生産に寄与しないものは全部付加価値がないとします。(32P)
お客様の必要のないものをつくって生産性を上げても在庫が増えるだけです。これは真の能率アップではありません。「みかけの能率」アップです。
だから売れるもの、お客様の必要なものを、いかに少ない人間で生産するかという「真の能率」を高めていかなくてはなりません。(34P)
可動率(べきどうりつ)とはその設備を「動かす必要のあるときに、どれぐらい動かせているか」を表しているものです。(中略)たとえずっと設備が動かせる体制にあるからといって、就業時間の8時間、動かしっぱなしにしておいては800個の製品ができあがってしまい、不必要な300個が「つくりすぎのムダ」になって在庫になります。(36P)
トヨタでは「工程の流れ化」を説明するとき、作業を「細くて速い流れ」にするといいます。川の流れが細ければ、ゴミなどの障害物でせき止められても、すぐに原因がわかり、問題のゴミを取り除けば、もとのスムーズな流れに戻ります。(64P)
トヨタでは注文の順に治具が車体部品を運び、ロボット溶接していきます。そもそもトヨタの溶接ラインでは独自の工夫で段取り替えが少ない時間ですむようにしているのです。(67P)
ジャストインタイムとは、何がムダなのかわかる、ということが一番のねらいです。「1ヶ流し」はその手法の一つで、工程順に1個または1台ずつ加工、組付をし、1個ずつ次工程に流すやり方をいいます。(70P)
トヨタでは星取表というものをつくり、その人の能力が一目瞭然になるよう工夫しています(77P)
多能工化は減産に対する事前の準備でもあります。減産になったからと、急に準備しても遅いのです(78P)
重要なのは作業時間を短縮することではなく、作業をいかに効率よく行うかを考えることです。求められているのは手足をすばやく動かすことではありません。知恵を絞ることなのです。(92P)
一般的には、作業途中で品質異常に気づいても、ラインを止めると生産性が著しく低下するのでその場は見過ごし、完成品を検査して不良品だけをはじくとか、あとで検査をして直すなどの処置がとられます。
しかし本来、品質は製造工程のなかでつくり込むべきです。品質異常があったら機械、人とも止めなさい、ということなのです。(117P)
日頃から、何かにつけて「なぜを5回繰り返す」訓練を意識的に行っていると、よかった例も「偶然良かった」わけではなく、成功する必然性があったことに気付きます。(137P)
中堅中小企業においてTPSの導入が難しい理由の一つは、ジャストインタイムの前提となる平準化生産ができないことです(143P)
整理のコツは「迷ったら捨てる」(148P)
誰しも自分のプラスアルファを、聞いてほしいという気持ちはあります。それを褒めるともっとやってくれます。その繰り返しです。(166P)
「すごいことをやっているね」という話からもっていって、「そこまでできるなら、もうちょっとこういうこともあるといいなあ」と言うと聞いてくれるのです。
単に「頑張っているね」という褒め方ではなくて、人のやっていることを正しく評価することが大切です。(211P)
☆感想
わかりやすい。中小企業や海外工場に根付かせるにはどうしたらいいかが書かれていて参考になる。