私もこのジャンルの仕事をしているので、つくづく思うことを専業のプロとして本にしてくれている。ここには書かれていないが、「光は、影があってこそ生きる」ということを日本人はこの30年ほど忘れているんだと思う。谷崎潤一郎の『陰影礼賛』も基本的にはそのことを書いているし、誰もが知っているだろうが、トイレは落
...続きを読むち着く場所である。それは、光の強さが心地よいからである。
後書きで、著者は、2011年3月11日東京ビックサイトの「ライティング・フェア2011」の会場で東日本大震災を味わったという。私もその場所にいて、「ビックサイトは丈夫だから安全だ」と感じながらも、灯りの展示会場で明るすぎる製品を展示している場を襲った暗闇のような地震と電力問題が発生したことは私も著者と同じ感想を持った。ここまでの光は必要なのか?と。
5章までの内容については今更学ぶことはほとんどないが、6章の「電球ソムリエ」という概念は面白い。ワインのソムリエに比して電球を解説するのだが、そこにワインと同じように決まった「テイスティングコメント」を用意するべきだという。それぞれが、それぞれに「明るい」「明るすぎる」というのではなく、決まった用語を使い解説するという。著者の9分類はまだまだ検討の余地があるとしても、なかなか有意義な提案であると思う。馬鹿の一つ覚えで「明るいからいい」と言ってる人々に教えてあげたいものだ。
ちなみに我が家のリビングは16畳だが、4WのLED電球2球の8Wしか付いていない。それで困ったことは一度もないのである。