ユーザーレビュー ペンギンのバタフライ 中山智幸 時間軸関係の不思議話連作短編 公式のあらすじ --------------------- あなたの小さな決断が、どこかの誰かを幸せにする―― 昔好きだったミュージシャンの事故に巻き込まれて死んだ妻を取り戻すため、佳祐はあの坂道を自転車で逆走して時間を遡ることに成功したのだが。(「さかさまさか」) ...続きを読む「名前をもらってくれませんか」――台風の夜、妻の出産のために訪れた病院で出会ったのは、幼い時に死別した父親だった。(「バオバブの夜) 「ぼくね、きみの生まれ変わり」と白髭の太った老人から言われて……(「ふりだしにすすむ」) なぜか2年後からメールをくれた彼女の、やっかいな願いごととは。(「ゲイルズバーグ、春」 他人の未来が見えてしまう俺は、自分が神だと思っていたのだが……(「神様の誤送信」) --------------------- 物語の共通点としては、時間軸に関係した不思議な出来事を描いている事と、キーアイテムとして登場するペンギンの着ぐるみの栞 エピローグは「さかさまさか」に登場する作家の中山佳祐のあとがきという事になっている 妻が芸能人の事故に巻き込まれて死んだ夫 生まれてくる子供の名前を考える父親 自分の生まれ変わりだと名乗るおじさん 喧嘩別れした友人、未来から届いたメール 未来予知レベルの占いができる男 どれも過去や未来を変えたい、知りたいという、誰にでも見に覚えのある欲求に関係した物語になっている タイトル「ペンギンのバタフライ」は、バタフライ効果と、共通して登場するペンギンの着ぐるみの栞から それぞれの話がそれほど深く交差しているわけではないけど、確かに他の物語がなければ成立していなかったかもねと思えるくらいには関係性がある こんな物語は大好きだ 私にとって一番共感できたのは「バオバブの夜」 子供の名付けって悩みますよね 私の名前は叔母が付けたと聞いているけど、それ以上の事情は詳しく知らない 今では気にいっているけど、よく読み間違えられるのが昔は嫌だった 自分の子の場合、使う漢字に姉妹の事とか結婚式で使った曲の歌詞とか他の子と被らないとか音の響きとか同じ誕生日の有名人というか私の好きな作家さんにちなんだものと、色々と理由を詰め込みすぎた感はある 名前って、子供にはじめて渡す贈り物であり、一生を共にするものなので本当に大事だと思う Posted by ブクログ 暗号のポラリス 中山智幸 ディスレクシア、ってワードをこの本でインプットしてから、スマホ使ってる時に見かけるたびに目が留まるようになった。 一人一人の心の「ぐぬぬ…」な気持ちが伝わってきて、私もぐぬぬ…。 伝わらない、分かってもらえない、否定される、共感を得られない。もどかしい、で表現しきれない気持ち。 雪山でのお父さん...続きを読むとお母さんの気持ちはどんなだったか、、、。 塔の高さはどれほどか。 好きなシーンは、地団駄踏んで、心配したんだって怒るところ。 気持ちが溢れてるってことに、なんでこんなに感動しちまうんだろう。 Posted by ブクログ 暗号のポラリス 中山智幸 真理子は恋人の昭彦と暮らすことになった。その家には難読症の少年ユノがいた。真理子はユノの見える世界の想像がつかないけれど、すこしずつユノに合わせて言葉が読めない世界を理解していく……というもの。 わからない真理子さんの目を通すことにより「わからない」のわからない加減が可視化されるというか、もど...続きを読むかしさに共感ができる。 そうして、タイトルにもあるポラリスの意味がじんわりと染み渡る。なんでじわじわくるのか自分でもわからない不思議な感動を覚えた。 オススメ。 Posted by ブクログ 暗号のポラリス 中山智幸 難読症の少年ユノの成長物語。ユノの母親、父親、兄・昭彦、昭彦の彼女・真理子、学校の先生。人によってユノの性質の捉え方は違う。ユノには何ができて、何ができないのか。頑張ればいつかできるのか、本当にできないのか。昭彦や真理子がユノに何をしてあげられるだろう、と考え悩んでる内容が本当によく伝わってくる。高...続きを読むい無線塔を登った先でユノがあるものを「見つけた」驚きに、一緒に胸が熱くなった。昭彦がユノの成長に涙するシーンも不意打ちだった。お兄ちゃん、不安も多かったけど、本当に頑張ってきたよね。 Posted by ブクログ ペンギンのバタフライ 中山智幸 優しく易しい話。 時間をテーマにした連作短編風。パズルのピースがパチリとはまるより、ふんわりはまった風味。 共通テーマはペンギン。だけど、吸引力は弱い。 もうちょっと、連作の心地よさにふるか、感動路線にふるかするともっと心にグッとくる物語になりそう。おもしろいけど、今一歩、もどかしい。 Posted by ブクログ 中山智幸のレビューをもっと見る