なぜ、20年間も損失を隠すことができたのか?本書は会員制の総合誌「FACTA」の有志ガ中心による「チームFACTA」執筆陣による『日本型株式会社』がいかに病理を蓄積して行ったのかに鋭く迫ります。
本書はオリンパスによる長年の『飛ばし』を暴き出した会員制の総合雑誌「FACTA」の有志を中心としたチ
...続きを読むームTACTAの執筆人によるオリンパスに見る『日本型株式会社』の病理を鋭く抉り出した一冊です。
なぜ、20年間も損失を「飛ばし」続けられたのか。なぜ、かくも長年にわたり不正は暴かれなかったのか。この問題はオリンパス一社だけの問題ではなく、福島第一原子力発電所のメルトダウンが発生した後の東京電力や、いじめ問題が発覚した後の教育委員会も、押しなべて同じような対応をしていることに、オリンパスの問題ははたして一社だけの問題なのか?それとも『日本人』の中に自分も含めて少なからず巣食っている『文化』であり『病理』であるのか?そういったことを自分の中に問い詰めながらずっとページをめくっておりました。
この問題を作り出したものは何か?企業、官庁、監査法人、銀行、証券、メディアによる壮大な「共犯構造」がつくり出したものなのか?その問題を執筆陣は80年代から20年以上もの長きにわたって続くロスト・ディケイドの裏側から、証券や銀行と企業とのもたれ合い、官庁と企業とのもたれ合いが鋭く描かれ、それが現在への潮流となったわけですが、執筆陣の大半の古巣である日経新聞はじめとする、大手メディアがオリンパス報道を自制もしくはまったくなかったことのようにするなかで、フリーランサーの記者である山口義正氏が「FACTA」上で捜査当局をもリードする報道を行ったことは、フィナンシャル・タイムズをはじめとする海外メディアでは大々的に報じられました。
しかし、日本では未だ知る人ぞ知る事実であり、僕自身もマイケル・ウッドフォード氏による記者会見の動画を見るまではまったくしりませんでした。本書によると、大手新聞は「一部報道によると」、「このほど明らかになったところによると」という表現で、「FACTA」が情報源だということを隠していたとの由。やはり、スポンサーとしてのオリンパスの顔色をうかがっていたのでしょうね。
3.11以降、大手メディアの権威がものの見事に失墜した今だからこそ、この問題にはもっと目を向けていただけばと願って止みません。