職業を哲学的な観点から、遊び、家事、ボランティア、倫理、内部告発などのテーマで掘り下げる。マルクス、M・ヴェーバー、アーレントから分り易く論じていくところが基本書として好感が持てる。ホイジンガの「遊び」の定義から仕事との対立概念ではないとの対比が興味深い。ボランティアは活動であって、労働ではない!仕
...続きを読む事とは正反対のベクトルにあるというのは、仕事を考える重要な示唆だ。第3次産業の拡大に伴い、労働の範囲が無限大に広がったにも拘らずなぜ失業者が増えるのか!という指摘は「どんな社会的条件で職業として、いわば自分自身のいやな仕事以上に、他人のいやな仕事を引き受けるつもりなのか」(ゴルツ)なるほど!マルクスの疎外ではないが、労働そのもののもつ差別性が強まっているように感じる。このような著述を背景とした、内部告発が道徳的な動機許される3つの条件(ディジョージ)は説得力に富む。章ごとのまとめがエッセンスとして実に簡潔明瞭。