映画『それでもボクはやってない』の原作というか、映画化とともに出版された本。
冬のある日、出勤途中の乗換駅で痴漢容疑をかけられ、『痴漢えん罪事件』の被告人となってしまった筆者。筆者とその妻の日記型の手記で全体がつづられています。
興味はもっていたものの、映画は残念ながら観られなかったのですが、本だ
...続きを読むけでもじゅうぶんわかりやすい内容になっています。
身内にえん罪事件に関わっている弁護士がおり、彼のこともつらつらと考えながら読んでいました。そちらの事件は、もう随分前に起こった殺人事件で、事件の性質などは違っているのですが、検察官や警察官の様子は通じるものがあるなぁと思いました。
それだけ長い間、検察や警察はかわっていないということでしょうか。
それまで、まったく司法と関わってこなかった『ふつう』の夫婦が直面してしまった、刑事事件。それを『ふつう』の言葉で書かれています。弁護士に対する感想などを読むと、よい印象もあるけど悪い印象もあったりして…身内の弁護士にもちょっと読んでもらいたいな。と思いました。
もう読んでるかもしれないけど。
この本では、とても多くの献身的な協力者(本書中より)に恵まれて、事件は進行していきました。でも、実際にはもっと多くの、もっと恵まれない状況で『痴漢えん罪事件』の被疑者として戦っている人たちもいるのでしょう。
そんな人たちが多くいる、今の司法制度はそういった人々を生み出してしまうようになっていることをあらためて実感させられました。