新聞社同士の喧嘩ではない。誰もがよく知る朝日新聞の誤報に関する他紙の考察なのだが、ライバルの読売が出すと攻撃的な内容を期待させる。本書はあくまで新聞の果たす役割と存在意義を第一に語っている(決して期待はずれではない)。
私が新聞を読まない理由(言い訳)の一つは、社によって必ず思想的な面が出るのでそれ
...続きを読むすら鵜呑みに出来ないなと若い頃に感じたからだ。朝日新聞がそのきっかけを作ってくれたのは間違いないが。まだ寄せ集めのYahooのニュースを見てた方が、複数のニュースソースの寄せ集めで偏らない分マシだと思う。世の中嘘の情報だらけだというと、とても偏屈な人間に思われるかもしれないが、意外と普通の人間だと思っているし、インターネット情報に溢れた現代人にはその様な認識を持たれた方も多いのではと感じる。兎に角、現代は情報収集力よりも情報選別力の能力の方が遥かに重要だ。時に誤った情報は人々を不幸にするし、それが個人や関係者レベルならまだしも、誰もが眼にする新聞にそれがあった日には、国家レベルの不幸につながることもある。
朝日新聞といえば慰安婦問題の虚偽記事の掲載で韓国国民感情を逆撫でし、日本に対する世界中からの非難や軽蔑を煽った事で知られる。私も全てが偽りだとは思わないし、部分的にはそういうこともあったとは思う。だが朝日新聞の場合、新聞各社のスクープ競争の中で自ら記事を偽った事を度々認め、組織としてその様な体質である事を自らも認めた。然し乍ら、肝心の煽ってしまった事実に対するその後の報道姿勢は改善されず、国家や、国民が失ってしまった信頼や経済損失は計り知れない。そして未だ日本はその傷から立ち直れず、外交面でも相手国世論に気を配りながら対等な立場からスタートがきれないでいる。昔のただの間違い(虚偽は会社ぐるみだから間違いというより情報テロ)ではなく未だに続く被害だ。
新聞社にも前述の通り思想があっても良い。真実を伝え議論を巻き起こす役目も担っている。少なくとも朝日新聞の慰安婦に限って言えば、記事を書いた人間が賠償金を得る可能性のある韓国側関係者だった事が問題を大きくしている。個人が利益を得るために新聞と言う「それまでは」信頼されていた媒体を使い、国益を損ねるという結果を導いた。さらに新聞の信頼性を地の底に落としてしまった。色々な面で損害の影響は大きく、天文学的、計り知れない国益の損失と言われる所以だ。
本書は決してそのきっかけとなった行為そのものを非難しているわけではない。その後の新聞社の対応がさらにまずい。虚偽を認めたにも関わらず、問題はそもそも慰安婦問題自体やだの新聞社との競争、そしてしっかりした調査をしない(できない)政府にあると問題のすげ替えに走る。言いかえるなら、万引きで捕まった犯人が、空腹や空腹をどうにも出来ない社会や市役所のせいにする様な物だ。
こうした事から新聞特に朝日新聞は二度と読みたくないと毛嫌いしてしまった。民放も朝日はあまり見ないのはその様な過去の経緯から来ている。個人的にはしっかり過去を清算した方が良いし、渦中の韓国に出向いて多額の制作費と放映費を払って番組を流すべきと考える。言い逃れして暫くしたら忘れるだろうとタカを括っているだろうが、その間にも確実に我々の税金はそうした無駄な対応に費やされている。アメリカや世界に確実に悪いイメージを定着化させ、それに対する日本の発言権を奪っている。
新聞とは未だ影響力のある情報源だと思う。いよいよネット社会に飲み込まれ誰も読まなくなってからでは遅い。そこで取り戻そうとしても気を逸してしまう。早い内に何とかなる内にしっかりとした対応(行為ではなく結果のある)を期待する。