「ヲタク同士が恋をしたらどう成立してゆくのか」というテーマを、笑いはもちろん胸キュン多数で描いた作品『ヲタクに恋は難しい』(通称「ヲタ恋」)。
オタクのことを「ヲタク」と称しているところから、すでに本格的な「ヲタ感」が漂っています。
ただ、ヲタクではないファンも多いことから、その魅力はヲタクへの共感性だけに終始するものではないようです。
多くの読者を引きつける「ヲタ恋」の魅力やいかに…。
今回はそんな『ヲタクに恋は難しい』(ふじた先生)をとことん紹介しちゃいます!
『ヲタクに恋は難しい』はこんな漫画!
あらすじ
隠れ腐女子のOL・成海(なるみ)と、ルックス良く有能だが重度のゲーヲタである宏嵩(ひろたか)とのヲタク同士の不器用な恋愛を描いたラブコメディ。『次にくるマンガ大賞2014』の“本にして欲しいWebマンガ部門”第1位、pixiv内オリジナルコミックブックマーク数歴代1位の大人気作品が多数の描き下ろしを加えて待望の書籍化。
男女両方が「ヲタク」というヲタク同士の恋を描いたラブコメ、シチュエーションが新鮮です。ありそうでなかったのではないでしょうか。
2人が繰り広げるヲタクならではのやりとりに、この作品の魅力が凝縮しています!
Web発のコミックがアツい!
この作品は、イラストや漫画をシェアできるpixivに投稿されたことをきっかけに人気に火がつき、書籍化されることに!
近年『先輩がうざい後輩の話』や『恋と呼ぶには気持ち悪い』など、この漫画同様にWebから単行本化されるコミックが多く、人気を集めています。
そんなWeb発コミックの中でも、特に『ヲタクに恋は難しい』は、共感と胸キュンの連続で圧倒的な人気を誇っています!
漫画賞も数多く獲得!
この漫画が2014年に公開されるや否や、たちまち話題となり、2014年の「第1回 次にくるマンガ大賞」において「本にして欲しいWebマンガ部門」の第1位に輝きました。
それ以降も人気は拡大し、数多くの漫画賞を受賞しています。
- このマンガがすごい!2016年 オンナ編 第1位
- 全国書店員が選んだおすすめコミック2017 第9位
- 第41回講談社漫画賞 一般部門ノミネート など
Webから単行本化されるだけでも凄いことですが、そこから上記の賞を受賞するに至るわけですから、この作品がいかに面白いかが分かっていただけるのではないでしょうか。
アニメ化に続き、実写映画化も発表!
2018年4月〜6月にはフジテレビのノイタミナ枠にてアニメ化されました。 平池芳正監督のもと全11話が放送され大好評だったのは記憶に新しいです。
そしてなんと、2020年に高畑充希さんと山崎賢人さんのW主演で実写映画化されることが発表されています! 監督はあの『銀魂』や『今日から俺は!』の実写化も担当した福田雄一監督です。 どんな科学反応が起きることやら!今から楽しみです!
さて、多くの漫画賞にノミネートされ、メディア化情報も話題の本作『ヲタクに恋は難しい』ですが、多くの人を惹きつけ続けるその魅力とは一体どこにあるのでしょうか。 3つの切り口からご紹介します!
ヲタ恋の魅力①:恋の始まり方にキュンとする!
この作品の冒頭、2人の恋の始まりが描かれるのですが、その始まり方がなんとも言えず可愛いのです。
主人公である桃瀬成海(ももせなるみ)は26歳の会社員。
腐女子で同人誌やゲーム、コスプレ全般などを愛するヲタクであるが、最近転職した会社ではそれがバレないように振舞います。
そして、二藤宏嵩(にふじひろたか)は成海の幼馴染で、同じく26歳のサラリーマン。
彼もまた、人と話す時間よりゲームの時間の方が長い「ゲーム」ヲタクであり、成海とはヲタク仲間として認識し合っています。
この2人、なんと成海の転職によって偶然同じ会社で働くこととなり、社内でばったり遭遇しちゃいます!
成海はヲタクであることを周囲に知られないように過ごそうとしていたのですが、すれ違いざま宏嵩にあっさり「今度のコミケは参加すんの?」と尋ねられ、社内の人間にヲタクであることがバレてしまう…。
「そこまで隠さなくても…」と思うかもしれませんが、成海は過去にヲタクであることが彼氏にバレて振られるという苦い経験をしており、そのことから、自らの素性を隠す「隠れ腐女子」となったのです。
ただ、気心知れたヲタク仲間である宏嵩にはヲタク全開モードを晒け出せる、そんな距離感でした。
同じ会社でばったり会ったことを機に居酒屋で飲むようになった2人。
帰り道、宏嵩から成海に対して「…じゃあ、俺でいいじゃん」の言葉が…!
その言葉に対して驚きつつも、「イベントへの同伴も可能」の推し文句を受け「採用」と2つ返事。
告白の仕方も、返事の返し方も、ひたすらに可愛いではありませんか。
ヲタク話に包(くる)まれて、良い塩梅に照れ隠しをするあたりが堪らない魅力です。
ヲタ恋の魅力②:素直になれないカップルの攻防戦!
この2人が付き合うに至った過程を見るにつけ、恋人としての生活=「素直になれないカップルの防戦」であることは自明です。
相手への想いはストレートに伝えたりせず、ヲタク言葉に濁して恥ずかしくならないように伝えたい。
でもいざ自分が伝えられるときは、ちゃんと真っ直ぐな言葉で伝えて欲しい。
そんな面倒臭さ全開の恋が繰り広げられます。
例えば、このエレベーターのシーン。
ヲタク仲間からカップルになった2人ですが、以前とは違う関係性にその距離の取り方を測りかねており、「友達だった頃の方が…」と言ってみる宏嵩に対して、成海が甘えるという展開。
リアクションは結局ヲタク全開なところが良いですね。
また2人と同様に社内で恋人同士の関係にある、樺倉太郎(28)と小柳花子(27)もまた筋金入りのツンデレで…。
お互いに喧嘩しているようなやり取りの後、その埋め合わせ的に愛を確かめ合ったりします。
その様子にキュンとする読者が多発、単純に恋愛としてツンデレに共感できるからなのでしょうね。
ヲタクである前に、やっぱり男女なのです。
ヲタ恋の魅力③:ヲタクあるある満載!
ヲタクが主人公の作品とあって、登場人物たちの台詞にはヲタク用語が満載。
自らがヲタクであるという読者には共感性の高さが受けますし、そうでない方が読んでもコミカルで楽しいです。
作中に登場したヲタク用語を一部ご紹介!
コミケ:ご存知コミックマーケットのことです。
(語尾に)ンゴ:主に自分が失敗した時や自虐的なことを言うとき語尾につける言葉のようです。
デュッフェルポルスココww:ヲタク独特の笑い方の表現。難しい…。
リバ/逆CP/死ネタ/グロ/NTR/女体化/クロスオーバー:全てコミックネタの種類です。
ヲタク用語、恐るべし奥深さです。
さらにはヲタクが共感する設定が多く描かれているところも、本作の魅力の1つ。
コミケ(コミックマーケット)にて同人誌を売るシーンやコスプレシーンなど、舞台もヲタクならでは。
ヲタクの読者は舞台そのものから共感できるのではないでしょうか。
もちろんヲタクの世界を知らない方でも、共感できるシーンは盛り沢山ですよ!
『ヲタクに恋は難しい』終わりに
前述の通り、ヲタク全開な物語でありながら、ヲタク以前に男女なのです。
ヲタク的な会話のやり取りの中に、ふと胸キュンな言葉や素直になれない不器用さが垣間見えるシーンがあり、それが本作の人気の理由。
本質的には誰もが共感できる恋の物語となっています!
ぜひご一読ください!