【感想・ネタバレ】傷物語のレビュー

強烈な個性を持つ登場人物たち、ドライブ感あふれる独特の文章、先の読めないストーリー展開、そして唯一無二の世界観。人気ライトノベル作家・西尾維新の魅力が全て詰まっているのが、本作「物語シリーズ」です。

ツンデレというよりツンドラって感じの毒舌ヒロイン・戦場ヶ原ひたぎをはじめとした、怪異と出会った少女たちと巻き込まれ型主人公・阿良々木暦が繰り広げる、不可解で不条理な物語群。独特な新房演出と物語世界がハマりすぎて、7シリーズ+2作の劇場版が制作されたアニメ版から入った人も多いのでは?(阿良々木くんのセリフが全てCV神谷浩史で再現される〜)
1冊あたりが分厚いうえに巻数も多く手を出しにくいイメージの西尾維新作品ですが、本シリーズは1話あたりがサクッと読みやすいボリュームになっているので、入門編にもぴったり。というか、サクサク読みやすすぎ、面白すぎで日常生活に支障をきたす……!

西尾作品らしいキャラクターのポップな破天荒さで読ませ、「人間の弱さが怪異を呼ぶ」というテーマで沼に引きずり込む――清く正しく読書を楽しんでいたはずなのに、いつの間にかぬかるみに足を取られたように心を囚われてしまっているだと……?
自分で自分がコントロールできなくなるほどに、猛烈に何かにハマりたい。そんな願望を持っている人なら読まない手はありません。めくるめく西尾維新ワールドに「蕩れ」ちゃってください!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード、つまり忍野忍と、阿良々木暦との出会いと関わりの物語。
化物語からの忍と阿良々木くんとの関係がずっと謎だったけど、これでやっと理解出来た。でも一番気になったのは、羽川翼。阿良々木くんも大概だけど、何故にそこまで良い人そして物怖じしない人なのだよ。優等生だからで片付けられる話ではない。何事にも興味津々だからでも無理。やはり阿良々木くんへの愛が全てなんだろうなぁ。これだけ酷い目に遭わされて、これで済むとはどうも納得出来ない。断然、羽川推しになってしまいましたよ。

0
2017年12月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 阿良々木暦と羽川翼の出会った化物語始まりの記念日ということで、レビュー書かせていただきました。

 物語シリーズ第二弾『傷物語』。
 化物語の前日譚であり、化物語シリーズ始まりの物語。
 映画化決定してから三年越しで映画化され、週末興行3位、興収4日間で3.2億円越えを記録した化物語シリーズ内でも伝説の作品。
 主人公の阿良々木暦が羽川翼と出会い、怪異に初めて出会い、鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードに襲われ、忍野メメに出会い、阿良々木君の友達を作ると人間強度が下がるという考え方が氷解した、阿良々木君が吸血鬼化する原点となったお話です。
 こだわりがなければ刊行順ではなく、この作品から『猫物語(黒)』→『化物語』と読んでいく方が良いかもしれませんね。

 最初の4ページぐらいにわたって書かれるスカートが捲れるシーンの描写は秀逸。化物語シリーズに出てくるいつもの主要人物はあまり登場しないためボケやツッコミの種類が増えずいつもの会話中の漫才が不完全燃焼気味でしたが、その分派手で迫力あるバトルシーンが増えたり、個性の強い吸血鬼の専門家3人が登場したり、羽川翼のお色気シーンも濃密に描かれていました。
 これだけこの物語でヒロインしていた羽川翼が、阿良々木暦に選ばれなかったのが悲しいぐらいです……
 そして忍野メメの一挙一動がカッコいいです。これはもう惚れる勢いです。
 また、この物語のテーマは楽しい会話劇や軽妙な言葉遊びとは一転して深く考えさせられるものでした。正義とは何か、ヒーローとはどういうものなのか、相手を助けるとはどういうことなのか、物語的にはバッドエンドなのですが、それでも最後まで魅せられました。
 名言や格言のようなものも化物語シリーズの中で一番多く、胸に突き刺さる言葉や心に残る言葉がスゴいたくさんあったような印象なのですが、それも重いテーマだったからかもしれませんね。
 個性豊かなキャラクターの会話劇や軽快な言葉遊び、そして二転三転するストーリーで全体的にテンポ良く、最初から最後までどっぷり物語シリーズの世界観に酔い浸れます。

 この物語はのちの『猫物語(黒)』『傾物語』『終物語(中)』『業物語【うつくし姫・あせろらボナペティ・つばさスリーピング】』に深く繋がってくる話なので、これらの物語を読むときは、読み返してみるとより楽しめます。

0
2016年03月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 化物語の主人公である阿良々木暦が、怪異に次々と遭遇することになったきっかけの話。
 物語の時間軸としては、化物語より少し前。
 化物語で、何度も何度も出てきた、春休みの事件。
 阿良々木くんが愚かでどうしようもなくバカだったお話。

 順番としては、こちらを先に読んだのかもしれませんが、物語が全体的に回想として書かれているので、化物語が終わった後、登場人物の説明があらかた済んでいる前提で物語が進行するので、こちらを先に読むと話がわからないかと思います。

 彼がどうしてあそこまで自分を卑下するのか、「吸血鬼に襲われたのは自分が悪いのだ」と考えるのか、正直よくわからなかったんですが、これを読んで、ようやくわかりました。
 まさしく、身も蓋もないですが、阿良々木君が悪い。
 申し訳ないですが、そこにフォローの余地はまったくありませんでした。
 そして、あえて言います……。

 優しくない話だなあ……

 通りすがりの弱っている人を助けた
 それだけであれば、本当に本当に美談だったのだけれど、そこから始まったのはとっても悲しいお話。
 誰も幸福にならない。
 不幸の連鎖なお話。

 道端で泣いていた吸血鬼であるキスショットにも。
 吸血鬼になってしまった阿良々木君にも。

 優しくない。
 本当に優しくない話であった。

 そして、私はこの優しくない話が好きなのだ。
 別に物語が人にやさしくないといけないなんてルールはどこにも存在しないので、私はこの優しくない物語を愛そうと思っている。

 世界は残念ながら、大多数の理不尽でできている。

0
2018年09月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

春休みの間に吸血鬼に出会い、傷を負った話。
再読。

なんでも知ってる羽川さんでも、阿良々木暦が戦場ヶ原ひたぎと電光石火で付き合うことは予想つかなかったんだろうなあ。

0
2020年08月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

春休み。阿良々木暦が羽川翼と出会い、キスショット・アセロラオリオンハートアンダーブレードに吸血され、3人の吸血鬼狩りと出会い、忍野メメに助けられる物語。

化物語と比較すると勢いに欠ける印象。
一方で、阿良々木暦がいかにして半吸血鬼となったか、羽川翼との友情のきっかけのエピソードを知る重要な作品。

続けて鬼物語を読むといいのかもしれない。

0
2016年02月17日

「小説」ランキング