小林泰三のレビュー一覧

  • ドロシイ殺し
    アリス殺し、クララ殺しに続く3作品目。
    前2作より、事件が起こるまで長かったような気がしました。が、その分世界観に慣れてから考察し始められたのかな、とも思います。
    そして、前2作よりもミステリー自体は簡単で、今まで読むのが大変だったような方には、読みやすくなっていると思います。
    ただ私は、今まで通り...続きを読む
  • わざわざゾンビを殺す人間なんていない。
    ゾンビウイルスがまん延した世界。
    描写がグロテスクで飛ばし読みしてしまったところもありましたが、遺体活性化現象、活性化遺体とゾンビという言葉を用いず、これ以上うまい表現があるだろうかと変なところに感心してしまいました。

    ゾンビウイルスが世界に与えた影響、経済や特に食料問題などのことも細かく設定とし...続きを読む
  • 百舌鳥魔先生のアトリエ
     初出1998(平成10)年から2014(平成26)年辺りの作品を収めた短編集。
     この作家の本は3冊目だったろうか。グロ趣味が何となく面白いと思っている。
     今回は、「インターネット時代の文学」という感じが凄くした。もはや言葉の芸としての文学は、この文学には存在しない。言葉なき文学、とも言える。言...続きを読む
  • 再生 角川ホラー文庫ベストセレクション
    いやあ……怖かった。
    ずーっとゾワゾワ落ち着かない話に、オチで心臓が凍りそうになった話も。さすがベストセレクション。
  • ティンカー・ベル殺し
     まず小林先生のご冥福をお祈りいたします。

     不思議の国を探し続けて、三千里、相変わらず蜥蜴のビルは彷徨っていた。今回、彼が紛れ込んだのはネヴァーランド。
     
     そこでは殺人鬼さながら、ピーター・パンが海賊や仲間である迷子、赤膚族・陽性を気ままに殺していた。
     殺伐としたその島へ約束を果たすべく戻...続きを読む
  • ティンカー・ベル殺し
    このシリーズの世界観が好きで、文庫化をずっと楽しみにしていました。途中から違和感はあったのに、気付けなかったことが悔しい。もう一度最初から読みたくなる一冊です。
    小林泰三先生が逝去されたので、惜しくもシリーズ最終巻です。巻末に書かれているティンカー・ベル殺しの後の構想を読んだだけでわくわくしたし、心...続きを読む
  • ドロシイ殺し
    今一番好きなシリーズの3作品目

    面白かったけど、1,2作品名ほどの衝撃はなかった
    魔法の使える3人への漠然とした不安感が、好きだった

  • 未来からの脱出
    最近自分が老人でなくとも、今覚えていることを、これからも覚えていられる根拠がなくて怖くなる。昔より記憶しておくことへの集中力が無くなった気がする。主人公達はおよそ100歳の高齢者なので記憶があやふやでも当然のように思えるが、身体と記憶以外はどこか若々しく違和感を感じた。協力者のメッセージを受け取り、...続きを読む
  • 代表取締役アイドル
    地下アイドルの女の子が、ひょんなことからちょっと大きな企業の社外取締役になるお話。創業者一族によるワンマン経営で、社風はとにかくブラック。
    主人公の活躍があまりないのが残念。そう甘くは何だろうけど、一発逆転のお話であってほしかったかな。
  • わざわざゾンビを殺す人間なんていない。
    ゾンビウイルスが世界中に蔓延し、死ぬとゾンビになるのが一般化した世界を舞台にしたミステリー。被害者が密室でゾンビ化し、どうも他殺らしいという特殊状況の密室殺人ミステリーです。ちょっと状況説明に凝りすぎなきらいがありますが、ミステリーのロジックはしっかりしています。
  • 未来からの脱出
    至れり尽くせりの福祉施設(のような所)からの脱出を目指す老人たちの話。前半は状況が見えずに少しモヤモヤとしますが、主人公が脱出に成功して以降はなかなかに壮大なお話になります。最後ちょっと尻切れ感はあるかも。
  • 杜子春の失敗~名作万華鏡 芥川龍之介篇~
    芥川龍之介の小説の登場人物と、主人公たちが様々な手段で交信する、ちょっと奇妙なお話です。なかなか面白い試みだと思います。楽しく読めました。ただし、人食いっぽい描写もあるので、要注意です。
  • 人外サーカス
    廃業寸前のサーカス団と吸血鬼の一団の戦いを描いた作品です。ややスプラッター要素はありますが、ホラー感はあまりありません。
    戦闘力に絶対的な差があるなか、団員たちがいかにして吸血鬼を倒すのかが読みどころです。ミステリーの要素も少しあります。
  • 逡巡の二十秒と悔恨の二十年
    軽い語り口の妖怪もの(関西弁はホラーに合わないね)から、やや皮肉交じりなスプラッターな人食いものまで。人肉の話は人によっては受け付けないかも。なんか本能的な嫌悪感がありますね。
  • 神獣の都―京都四神異譚録―(新潮文庫nex)
    京都を舞台に青龍、朱雀、白虎、玄武の四神に麒麟を加えた御柱の神獣とその眷属の戦いを描いたファンタジー。
    シリアスなのかドタバタなのか、最後までつかみきれなかった。京都の街が壊滅状態になるほど激しい物語ではあるんですが、登場人物たちにいまいち緊張感がないので、街があっさり破壊されるところも含めてギャグ...続きを読む
  • 殺人鬼にまつわる備忘録
    前向性健忘症を患った男が主人公「失われた過去と未来の犯罪」にも繋がるようなテーマです。主人公がすぐに忘れてしまうという状況で、よくもこれだけの物語を紡げるものだと思います。ラストはちょっとむずむずする感じ。すっきりとした後読感ではないです。
  • 因業探偵 リターンズ~新藤礼都の冒険~
    因業探偵の第2弾。2冊目でも探偵事務所を開くには至らずです。終盤ちょっとオカルトが入ってきます。
    新藤礼都は性格は悪いけど、基本的にはいい人なんでしょうね。
  • 因業探偵~新藤礼都の事件簿~
    ある意味ではお仕事小説。もしくは勝手に潜入捜査という感じ。ちょっと変わった探偵小説。結構ブラックユーモアが効いています。
  • 安楽探偵
    安楽探偵なので探偵は事務所から一歩も出ません。というか依頼人の回想を除けば、物語はすべて探偵事務所の中で進行します。
    お話はだいぶブラックユーモアが効いています。叙述トリックも少し入ってます。読み手を選ぶかもしれませんが、楽しめる1冊でした。
  • 失われた過去と未来の犯罪
    ある日突然全人類が10分程度しか記憶を保持できなくなる、というSFです。よくもこんなシチュエーションを思いつく。
    出会いがしらの人格の入れ替わりは使い古されたテーマですが、それをここまでSF的なロジックに落とし込んだ作品を私は見たことがありません。作中では言及されていませんが、外部メモリを悪用すると...続きを読む