小林泰三のレビュー一覧

  • 密室・殺人
    細部に至るまで計算され尽くした作品。クトゥルフ神話まで引き出す作者のこだわりと精緻な構成が見事。小林泰三ファンならお馴染みのキャラが共通して関係してくるのも嬉しい。事件は密室殺人ならぬ「密室・殺人」。窓もドアも施錠された部屋と、墜落死体という分断された謎に焦点を当て、その解決に至る過程は作者ならでは...続きを読む
  • わざわざゾンビを殺す人間なんていない。
    ゾンビウイルスから食肉問題につなげるところは見事。ちょっと長いかなって思ったのと最後力技で終わらせたかなってとこもあったけど、瑠璃の秘密が明かされるあたりからラストまでは引き込まれて面白かった。
  • 海を見る人
    SFは割と好きだけども、面倒な難しい話はぶっちゃけ素通りなので、いわゆるSFファンというわけではなく。SFって2001年宇宙の旅みたいな、微妙な空気感があるような。そういう雰囲気が好きなわけで。でもってこの話はすっかり切なすぎな話に、時々いやそうなんか、どうなんだ、さっぱり分からんけどそこまで自信満...続きを読む
  • 見晴らしのいい密室
     子どものころ、よく親に「屁理屈だ」とか「理屈っぽい」などといわれたが、ロジックでしか推論できないし、ロジックでしか物理的世界に働きかけることができない。ロジックこそ人間がこの世界を生き抜くすべである。
     とはいえロジックというのも使い方がある。ビンスワンガーが報告する、不治の病に冒された娘の誕生日...続きを読む
  • 天体の回転について
     いわゆる記憶喪失というのがあるが、あれは一時的に記憶を失っているようにみえるだけで、脳の中に記憶は残っており、人間性まで変わってしまうわけではない。では、脳の記憶中枢が破壊されて、すべての記憶を失ってしまったら、私は私でいられるだろうか。記憶がなくなったら、もう私らしく振る舞わないような気がするが...続きを読む
  • 天獄と地国
     『AΩ』に次ぐ、小林泰三のSF長編第2作。
     「天国と地獄」ではなく「天獄と地国」であるのが、設定を語っている。大地は頭上にあり、下は星海。落ちるということは遙か真空の宇宙空間に吸い込まれてしまうわけであり、これが天獄。人々は大地に穴を穿って住み、乏しい資源とエネルギーをやりくりして何とか「村」を...続きを読む
  • 惨劇アルバム
    期待通り、不気味でグロテスクで笑える。
    なんでだか、すっごく怖いのに笑っちゃう。
    完璧な子供を産みたいって何度も中絶する話、不妊で悩んでる人には堪らないと思うけど、なんとか男性が説得しようと頑張ってるのに『じゃ同意書かいて』っていう無限ループが笑える。
    理路整然と狂っているから、なんか可笑しい。
    ...続きを読む
  • 完全・犯罪
    隠れ鬼が特に好きな作品。
    凄まじい物語の幕開けから、徐々に忘れていた少年時代のことを思い出していくところが怖い!
    奇妙でぶっ飛んでいる終わり方も良かった〜

    どの話も小林泰三さんらしい独特な読後感。
  • 幸せスイッチ
    短篇集だが、各作品が横糸となって最後の「哲学的ゾンビ、もしくはある青年の物語」につながっていく。哲学的ゾンビ~は著者の別の作品「脳髄工場」と同じテーマだが、より洗練され完成度の高い物語となっている。
    おすすめ度:5(5点満点)
  • 天体の回転について
     SF作品を8編収録した短編集。

     小林さんらしい独創的なアイディアやグロ描写、ナンセンスなユーモアがたっぷり詰まっています。その一方で今まで読んできた小林作品よりとっつきやすい短編が多かったので、全体的に読みやすく感じました。

     表題作「天体の回転について」は科学とは無縁の世界に住む少年が宇宙...続きを読む
  • 百舌鳥魔先生のアトリエ
    ああ、気持ちが悪い!読んでいて吐き気を催しました(小林泰三に対する最大級の賛辞)
    特に「首なし」がお気に入りです。頭部のほとんどを失った男がそのままの状態で生きながらえているという怪奇小説。まるで見世物小屋の出し物みたいだなと思っていたら本当に見世物小屋の出し物にし始めたので笑った。
  • 見晴らしのいい密室

    妙な話だなあ

    ミステリーだと思って読んだら、ほとんどミステリーとは程遠い話ばかりでがっかりしました。しかし変わった話と思って読むと面白かったです。夢野久作と蘭郁二郎を合わせたような短編集でした。妙な話が好きな方にはお勧めです。
  • 玩具修理者

    がっつりネタバレ注意。

    2023/10/23
    1ミリも覚えてなかったので再読。(おれの人生こんなことばっかりや。本自体見つからないから再購入した。前のレビューが2014年なので、俺の記憶は9年以内に消え失せることがわかる)

    「玩具修理者」と、「酔歩する男」の二篇を収録。

    ◆玩具修理者
    夕暮れ...続きを読む
  • 海を見る人
    専門的なことはよくわからないが、独立した話がまとまって最終的に一つにまとまる(珍しく?希望がある)のは見事としか言えない。勉強になるファンタジー作品。何作か読み終わったが、自分は小林氏の表現する会話のテンポが好きなんだな、と気付いた。
  • 海を見る人
    独裁者の掟はどう終わるのか予想出来ていなかったのでオチにびっくり。こういう系は読んだことあったのに。
    天獄と地国は天と地の扱いが逆様の世界で暮らす人類の話。気になる終わり方だった!
    海を見る人はなかなか救いのない終わりで、門はなんとなくわかってしまった…けど、話と話の間で会話してる二人の正体には気づ...続きを読む
  • アリス殺し

    この本好きです!

    頭で色々と考えることが出来た一冊でした。残酷なシーンもありましたが、読んでいて、止まりませんでした!
    おもしろかったです(*^^*)
  • 天体の回転について
    同じ作者の作品が面白かったので買ってみた本。

    天体の回転については科学を恐ろしいものと考えるようになった人類の中で科学に興味を持った青年?が天橋立(軌道エレベーター)に乗る話。リーナかわいい。
    一応、ハッピーエンドなのかな?
    妖怪がよくわからなかったけど、科学を使う人類のこと?

    灰色の車輪はロボ...続きを読む
  • 天獄と地国
    ーーー頭上に地面、足下に星空が広がる世界。
    人々は僅かな資源を分け合い村に暮らしていた。村に住めない者たちは「空賊」となって村から資源を掠めとるか、空賊の取りこぼしをを求めて彷徨う「落穂拾い」になるしかない。
    世界の果てにもっと住みやすい世界があると確信したカムロギは、
    多くの敵と生き残りを賭...続きを読む
  • 目を擦る女
    ―――この世界すべてを夢見ているという女の恐怖を描いた表題作
    物理的に実行不可能な密室殺人を解明する驚天動地の推理劇「超限探偵Σ」
    無数の算盤計算によって構築された仮想世界の陥穽「予め決定されている明日」ほか
    冷徹な論理と呪われた奇想が時空間に仕掛ける、邪悪な7つの罠。


    小林泰三の短編集

    私た...続きを読む
  • 海を見る人
    ―――場所によって時間の進行が異なる世界での哀しくも奇妙な恋を描いた表題作
    円筒形世界における少年の成長物語「時計の中のレンズ」など
    冷徹な論理と奔放な想像力が生みだす驚異の異世界を描いた7篇を収録したSF短篇集。


    小林泰三(グロくない!笑”)
    持てる想像力をフルに活用して楽しむタイプのハード...続きを読む