小林泰三のレビュー一覧

  • 人獣細工
    短編が3作品収録されている。
    表題の人獣細工が一番好みだった。
    史記の人彘(ひとぶた)とは違う人彘。
    しかし、人の手によって細工されて歪な存在にされてしまった事は同じ。つくり手はそれに愉しみを感じていた事も。
    この冒涜的で気味の悪い雰囲気が、ゾクッとして良い。
    自分の愉しみの為に、他人の尊厳を踏み潰...続きを読む
  • 再生 角川ホラー文庫ベストセレクション
    どれも面白かった。
    『リング』著者の鈴木光司の作品は初めて読んだが、リアルな生々しさがあった。
    特に好きだったのがビルとビルの隙間に落ちる『五月の陥穽』。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    角川ホラー文庫約30年の遺産!90年代から現在までの最恐セレクション。

    1993年4月の創刊以来、...続きを読む
  • 人獣細工
    どの作品も凄いなぁ!

    個人的には吸血狩りが好きですね。あえて答えを出していないところが素敵♪

    本もすごいし、どうして、こうした作家がどうして早逝されてしまうんだろうなぁ。
  • わざわざゾンビを殺す人間なんていない。

    なるほど…

    この種のゾンビは新しいぞ(´-ω-`)



    ゾンビミステリといえば最近だとあの作品が有名ですが…(๑¯∇¯๑)言いませんよ♡

    昔の作品で上げると、山口雅也さんの『生ける屍の死』
    10選に上げる程大好きな作品です♡
    正確にはゾンビではなく、死者ですね。

    小説や映画では、『ゾンビ』...続きを読む
  • 人外サーカス
     小林先生独特の、シリアスなのにどこか抜けているような文体は健在、ただし、グロい描写よりは緊迫感が漂うシーンがやや多かった長編小説。

     強力で不死の肉体をもつ吸血鬼と人間たちの戦い。

     勝てるはずのない吸血鬼に、サーカス団員たちがどう戦って生き残れるのか、あっという間に殺されるのか。

     たくさ...続きを読む
  • 恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション
    小林泰三『人獣細工』、怪奇趣味的でもありSF的でもあり。
    すごいなこれ。惜しい人を亡くしたって改めて思った……

    他の作品もどれも良かったけど恒川光太郎『ニョラ穴』が特に好き。
    程よく謎が謎のまま残ってて余韻のゾワゾワ感ヤバい。やっぱホラーはこういう読後感が残ってこそですよね!

    ジワジワ怖い、ゾッ...続きを読む
  • 大きな森の小さな密室
    短編集だった。
    一つ一つの話は繋がってないけれど、連作?という感じ。

    最初の話で徳さんが出た時、嫌な予感しかしなかった。

    私は把握していないものも多いが過去の作品に出てきた人物が多く登場している。

    収録作は
    大きな森の小さな密室 犯人当て
    氷橋 倒叙ミステリー
    自らの伝言 安楽椅子探偵
    更新世...続きを読む
  • ティンカー・ベル殺し
    アリス殺しから読み始め4作目。
    この本を読もうとした時に、小林
    泰三さんが亡くなったことを知る。
    まだまだ、次のシリーズを読みた
    かったのに…
    ティンカーベル殺しは、世界観も
    わかりやすく、読みやすい作品
    だった。
    アバタールの無限ループは、恐い!
  • ドロシイ殺し
    メルヘン殺しシリーズの第3弾。オズの魔法使いを読んでからの方がいいかなと思いつつ、シリーズの続きが気になって結局手を出してしまった。
    前作よりも本体とアーヴァタールの関係がシンプルだったので話もわかりやすくかつ面白かった!今回もまんまといい意味で騙されたわけだけど、叙述トリックをかける作家さんとかそ...続きを読む
  • 安楽探偵
    少し前に因業探偵の話を読んだけど、同じ短編集でもそれより楽しく読めた。
    ちょっとだけ、有栖川有栖氏の探偵・濱地健三郎を思い出した。

    探偵先生が味のあるキャラクターで魅力的。面白い(変わった)依頼に興味津々、依頼者の話に笑いを堪えられずに誤魔化すあたり、愛らしい。

    ピザの話が衝撃的で笑ってしまう!...続きを読む
  • クララ殺し
    前作「アリス殺し」が面白かったのと、ビル/井森くんが主役だったので読んだ。ハイジがモチーフになっているのかと思いきや、ホフマンという作家の作品がモチーフらしい。元ネタを知らなくても読めたけど、知っている方がもっと楽しめるかも。けっこう複雑な謎解きだったので正直ちゃんと理解していない。でも世界観が好き...続きを読む
  • 代表取締役アイドル
    小林泰三の作品は、アリス殺しから
    始まるシリーズ物から知ったが、こ
    のシリーズとは違うジャンルではあ
    る。
    独裁的な創始者が経営する大企業に
    地下アイドルが取締役として、抜擢
    される。
    荒唐無稽なノルマを課せられて、社
    員達はある方法を思いつくが、会社
    は、絶望的な方向へ
    一気に読めて、最後は創始者...続きを読む
  • 海を見る人
    SFは読み慣れないところもあって、作中の理論にはほとんどついていけなかった。
    ストーリー自体は小林泰三らしい。個人的には「独裁者の掟」と「キャッシュ」が好きだった。「独裁者の掟」は読み進めて総統の背景が分かってくると途端に無機質な人物だった総統の人間らしさが伝わってくる書き方がうまいなと思った。
  • わざわざゾンビを殺す人間なんていない。
    世界的に免疫力の低下により発症されるゾンビウイルス(正確にはタンパク質で構成された感染症の病原体である、と作中で説明されている)が蔓延した物語の舞台で発生した密室殺人事件を八つ頭瑠璃という女性の探偵が解決の為尽力するミステリー小説。
    非現実的な存在に妥当な根拠を与え続けるので説明が冗長になっているの...続きを読む
  • 失われた過去と未来の犯罪
    突如訪れた「大忘却」によって人類は新たな情報の記憶能力を失った。 覚えてられるのはごく最近の出来事である短期記憶と体に染み付いた手続き記憶だけ・・・。 遠くない未来、人間の記憶は体に埋め込む機械型のメモリーに委ねられた。 ここに一つのメモリーがある。 体は事故で失ってもう無い。 生きた人間にこのメモ...続きを読む
  • 天体の回転について
    ハヤカワ文庫から出てる小林泰三の短編ですね。レーベル通りSF寄りの作品が多めです。
    後に失われた過去と未来の犯罪 や 記憶破断者になるような記憶の扱いが見られファンには嬉しい作品かもしれない。ミステリーとしては、重力が無いのが普遍的な未来の世界で実は重力のある地球が舞台でしたという叙述トリックを成立...続きを読む
  • ティンカー・ベル殺し
     いわゆる「メルヘン殺し」シリーズ第4弾。アリス、クララ、ドロシィときて、ティンカーベル殺し。相変わらず、地球とアーヴァタールが存在する世界が存在する。アーヴァタールが死亡すれば、地球上で、アーヴァタールに対応する存在が死亡し、地球上で死亡しても、「夢」になってしまって、アーヴァタールが死亡するわけ...続きを読む
  • 失われた過去と未来の犯罪
    色不異空、空不異色、色即是空、空即是色。本物と幻を区別する方法がないのなら、本物と幻は同じものだと考えるしかない…そんなめちゃくちゃな!(でも「阿・吽」で般若三蔵も「目に見えるものも記憶も全ては虚妄」って仰ってた…)
    人とは記憶なのか、魂とは記憶なのか。ある人の記憶を他者に入れたら、その人を定義する...続きを読む
  • ティンカー・ベル殺し
    言葉遊びの相手が、ビル以外にもう一人増えて、今回はビルが多少まともに思えてしまいました(笑)。
    今までのお話も、殺人のハードルが低かったですが、これを読んでしまうと、まだまだだったんだなと思ってしまいます。殺人事件の容疑者を探しているはずなのに、事情徴収がてら殺していくっていう、矛盾を突き進む感が凄...続きを読む
  • クララ殺し
    昔読んだ「アリス殺し」の続編。

    タイトルを聞いてモチーフはあの作品かと思ったらまさかの知らない作品ですっかり騙された。ホフマン4作品がモチーフとのことだが、その1作品があの有名な「くるみ割り人形」であるのは知らなかった。

    前作より複雑で、キャラクターを理解するのにちょっと大変だった。
    地球の世界...続きを読む