小林泰三のレビュー一覧

  • 海を見る人

    彼にも駄作はあるが、これはお得意の謎サイエンス(謎の論理で納得させられてしまう)とホラーの融合が高いレベルで集まった大満足な作品集。
    表題作の叙情性には悔しさを覚えるばかり。
  • ティンカー・ベル殺し
    アーヴァタールが殺されたら本体が死のループから抜け出せるって思ったけど、アーヴァタールが本体と別人格認識だったら死の選択肢すら持たないし、そもそも死のループに入った時には本体が冷静に判断できる状況じゃないし、どっちみち死亡エンドになるからどうやっても報われない。
  • クララ殺し
    前作のアリス殺し同様、どんでん返しが凄かったです。
    現実と夢の中で誰が同一人物なのか、常に疑いながら読みましたが、見事にミスリードに引っかかりました笑。
    最後にキーパーソンの正体が明かされ、予想外の展開に感心し、もう一度読み返したくなりました。
    前作と繋がっている部分もありましたが、前作よりも複雑で...続きを読む
  • ドロシイ殺し
    アリス殺し クララ殺し から読みシリーズ3作目。展開が早くサクサク読めました。ティンカーベル殺しも楽しみです
  • 因業探偵~新藤礼都の事件簿~
    ヤバい。
    人間の思い込みってやつを死ぬほど味わわされた。
    当たり前の様に感じていた事が最後にガラッとひっくり返される。
    特に『後妻』は圧巻で、思わずお見事と呟いてしまった。
    流石は小林泰三、発想が柔軟でしなやかな作者の力量を思い知らされる傑作。
  • 再生 角川ホラー文庫ベストセレクション
    色々な作家さんの作品が読めるホラーアンソロジー。
    怖かった…!
    特に今邑彩さんの「鳥の巣」、小池真理子さんの「ゾフィーの手袋」は、後半にかけて恐怖がヒタヒタと迫り来てゾッとした。
    岩井志麻子さんの「依って件の如し」は、怖さよりも文章のリズム感と情景描写が美しすぎて感動させられた。
    もっとこの人の作品...続きを読む
  • 逡巡の二十秒と悔恨の二十年
    久し振りに小林泰三の作品を手に取る。やはり面白い。
    読んでいても、飽きが来ない。読むのが楽しい。
    ストレスが無い。これだけ素晴らしい作家は本当に稀有な
    存在だ。亡くなったのが本当に惜しい。
    文庫化されている作品は順次読ませて貰っている。
    まだ、文庫化されていない作品も有る。
    早く全ての作品が文庫化さ...続きを読む
  • ドロシイ殺し
    大好きな作家のシリーズ3作目。
    これまでの作品からも、多数登場人物が引っ張り出されてる。
    大体読んでるから、わかって楽しい。
    現実世界と空想世界が夢という形で繋がる奇妙なミステリ。
    もう一作あるので、絶対に読む。
  • 逡巡の二十秒と悔恨の二十年
    未収録作品集。どれもこれもがシュールだったりユーモラスだったりグロテスクだったり、インパクトのある作品ばかりです。
    お気に入りは「メリイさん」。これ、「怨霊」の別バージョンですよね。やっぱり抱腹絶倒。怖いはずなのに大笑い。
    「逡巡の二十秒と悔恨の二十年」、これは恐ろしいような、優しいような。どう考え...続きを読む
  • 恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション
    角川ホラー文庫ベストセレクション第二弾。全部読んだことがあるので再読かな。しかし何度読もうと、どれもこれも文句なしの名作です。
    何度読んでも恐ろしいのは坂東眞砂子「正月女」です。どこからどこまで全部怖い。柱時計の音が怖い。登場する人たちもみんな怖い。可哀想に思えるヒロインのキャラも、実はなかなかの恐...続きを読む
  • 失われた過去と未来の犯罪
    私の見ている現実は本当に起こっていることなのか???
    頭がおかしくなりそうになった
    意識と実体というものは難しい
  • 再生 角川ホラー文庫ベストセレクション
    角川ホラー文庫ベストセレクション。というだけのことがあって、本当にもうどれをとっても大傑作のホラーアンソロジーです。お気に入りがどれかだなんて選べません。もう全部大好きすぎる作品でした。
    ほぼ既読だったので、雰囲気に浸りながらじっくりと再読。福澤徹三「五月の陥穽」だけ未読だったかな。これ、凄まじく怖...続きを読む
  • わざわざゾンビを殺す人間なんていない。
    この人は明らかに、作品、作品で自分の作風、文体を自在に変化させている。おそらく遠慮なく物語を書かせれば、とんでもないものを書くのではないか富と思うのです。
    ゾンビという設定を科学の中に落とし込み、それが出現した社会の法体制、揺らいでしまった「死の基準」を司法がどうするのかということまで書いていきます...続きを読む
  • 杜子春の失敗~名作万華鏡 芥川龍之介篇~
    凄く面白かった~名作万華鏡 芥川龍之介篇、となっているからどんどん続いてほしいな。
    芥川龍之介の短編世界と、現代日本世界を生きる人間が一時的にクロスオーバーする、という筋立て。この文庫本に収められている4編がうっすら連作なのも良いし、過去の小林泰三作品とも重なっているのも長年のファンには嬉しい仕組み...続きを読む
  • 家に棲むもの
    私の家には、私の家族以外の誰かがいる。家鳴りにしては嫌に大きな音がなるし、視線を感じるのだ。そして、私がそれに気づいた同時期に一緒にすんでいる姑の様子がおかしくなってしまった。これは、この家に巣食う何者かの仕業なのだろうか?




    この作者はの作品は二冊目だが相変わらず読んでいて怖くて、気持ちが...続きを読む
  • 失われた過去と未来の犯罪
    宇宙規模の壮大なスケールに感動しました。
    ある日突然、全人類の記憶が10分程度しか持たなくなる危機が訪れます。
    半導体チップを身体に埋め込み、記憶を記録する人類へと進化していきます。
    身体と記憶が完全に分離した時「魂」は存在するのか。
    死後再生が可能な世界では、様々な葛藤が生まれます。
    「あなたはあ...続きを読む
  • 失われた過去と未来の犯罪
    最初はプククと笑いながら読んでたんだけど、あれ、これは一体どこへ連れて行かれるの?

    予測不能の物語に、さすがとか、まいったとかは言えないわ。

    恐れ入りました。
  • SF JACK
    SF短編集。どの話も結構面白かった。おすすめ。
    宮部みゆきさんの「さよならの儀式」とか、ほろっとする。
    個人的には、完全ヴァーチャルの世界で生きる人間たちを描いた山本弘氏の「リアリストたち」が好きかな。それと独特の一人称の形式で書かれた新井素子さんの「あの懐かしい蝉の声は」も良かった。。
  • わざわざゾンビを殺す人間なんていない。
    ダイアローグの小林泰三節(ぎざぎざしていて不条理)はデビュー作から変わらず健在でうれしい。タイトルから哲学的ゾンビの話題か?と思いきや、そうではなく所謂ホラー分野に出てくるゾンビの方だな、とゾンビの踊り食いのスプラッター描写にドキドキしながら読み進めていくと、なぜか次第に哲学的ゾンビ(何をもって人間...続きを読む
  • 因業探偵~新藤礼都の事件簿~
    ついにあの人が主役に! 性格最悪でしかも○○までやっちゃってるけど、探偵としてはとっても有能な新藤礼都が活躍する連作ミステリ短編集。ずけずけと歯に衣着せない辛辣な物言いは実に爽快です。……だけど、実際には付き合いたくないよねこの人(笑)。というよりも、他にも関わり合いになりたくないような人がいっぱい...続きを読む