小池真理子のレビュー一覧

  • モンローが死んだ日
    だいすきな小池真理子さん。久々のミステリーということで、とても楽しみに読みました。
    最初は、主人公鏡子さんの心情の変化や、精神科医の高橋さんとのやりとり、軽井沢の美しい自然に引き込まれ、中盤は、高橋さんとだんだん距離が縮まっていく様が何とも言えず心地よくて。後半からは、彼が本当は誰だったのか?という...続きを読む
  • モンローが死んだ日
    物語の前半は、天涯孤独な中年女性鏡子が夫を亡くした後、精神の不安定を抱え、精神科に通い、その精神科医と恋愛に至るまでの心の過程が丁寧に描かれる。読者である私までがすっかり鏡子の気持ちに同化した所でその精神科医の突然の失踪。後半は果たして彼は何者だったのかという謎解きになる。鏡子が謎を解明しようとする...続きを読む
  • 沈黙のひと
    私にとっての父親と、小池さんにとっての父親は少し違う存在なんだろうと思いつつ、それでも読み終えると、娘と父という共通した関係性が、私にとってとても気持ちよく表現されていて、素直に父に思いを馳せることができた。

    今年の1月に父を亡くした。結婚して実家を出てから30年以上経ち、たまに実家に行くことはあ...続きを読む
  • 沈黙のひと
    切なくて、哀しくて、でもどこか温かさの感じられる作品。
    人生は思う通りにはいかない。いかないのにそれでも人は、こんなにも生に執着してしまうのだろうか。
    必死に言葉を、想いを、伝えようとする姿が、リアルに伝わってくる。
    上手く言葉に出来ないが、間違いなく心を揺さぶられた作品。
  • 浪漫的恋愛
    恋愛小説の傑作。以前に読んで印象深かったので取り寄せての再読。
    恋愛小説といっても若い男女のものではなく、40代半ばを過ぎた女性、千津の恋愛。恋は狂気に似ている。月明かりの美しさと妖しさと狂気。意図してなかったのに、あがらうことのできない激しい恋。
    物語は千津と柊介の恋、千津の母と久保山の恋、そして...続きを読む
  • う わ さ
    *「独楽の回転」静かで慎み深い生活を望む妻と、異様なまでに精力的で無神経で騒々しい夫。夫の中で昼夜の別なく回り続ける独楽を止められたら・・・
    *「災厄の犬」捨て犬だったバブルが来てから厄災ばかりで孤立無援の男。意を決して犬を捨てに行くが・・
    *「ひぐらし荘の女主人」美しい囲われものの彼女と屋敷を自分...続きを読む
  • 妻の女友達
    再読。1992年の作品。
    菩薩のような女、転落、男喰いの女、妻の女友達、間違った死に場所、セ・フィニ-終幕 の6編

    どの話もとても面白い。勧善懲悪でなく、ある面では悪女もの、小気味好い話ばかり。
    特に「妻の女友達」は傑作!!
    外れ無し、何度読んでも堪能できる短編集。
  • 短篇セレクション ノスタルジー篇 夢のかたみ
    【本の内容】
    一枚のモノクローム写真に秘められた懐かしくいとおしい日々の記憶。

    人生の晩年を迎えようとしている女性随筆家は、愛した男への思いを胸に生きてきた。

    だが、小さな出来事が平穏な生活にさざ波をたてる…。

    表題作「夢のかたみ」ほか、再会の一夜のドラマを綴る「チルチルの丘」など、遠い日のエ...続きを読む
  • 新装版 あなたに捧げる犯罪
    短編集なので、犯罪が終わったと思ったら、また犯罪。
    一作ずつ、時間をあけて読んだ方が良かったかも。
    そう読んだと思って『五つ星』にしました!
  • 虚無のオペラ
    別れるための旅行。

    大人の別れ。
    悲しい。
    潔い結子さん。潔さも悲しい。

    最後のタクシーの別れのシーン、泣きました。
    京都、雪、別れ…美しい
  • 妻の女友達
    さすが有名な短編集だけあり、とても楽しめた。
    てか、女のってこわ。。
    どれもおもしろかったけど、転落と妻の女友達の女は特に怖かった!
    男が思うほど女って弱くないし計算高くてずる賢いし自己中。
    男喰いの女、は、結局全部妄想で結果的に旦那を殺してしまうけど、思い込みで突っ走る感じも、あぁ女だなぁ。と。
    ...続きを読む
  • 熱い風
    大好きな本。
    なぜこの人は、こんなに官能的で情熱的で美しい文章が書けるのだろう。。
    読んでいるだけでイメージできてしまう。切ないけど美しい。
    出てくる外国の風景も、空気感までも想像できてしまう美しさ。
    今ある時間を大切にしたいと思えた本。
  • 欲望
    小池さんワールド。
    心から愛した人が性的不能。
    なんとなく、死が近づいていることがわかりながらも、2人の心の繋がりを信じたかったなあ。
    なんでこんなに、世界に浸れるのか不思議。それくらい引き込まれた。
  • 無伴奏
    恋3部作の1作目。「恋」「欲望」と既読で、第一作が最後になってしまった。3部作の最初にふさわしい、作品。仙台の無伴奏に行ってみたくなる。今はないらしいが・・
  • 欲望
    再読。

    大人の恋愛小説。男と女が一緒にいるには体だけではないってこと。相手が性的不能であっても、精神のエクスタシーが得られればそれでいい。ハッピーエンドであったらもっと嬉しかったけど。そこが小池真理子らしいところなのだけど。

    昔、初めて本作を読み深く感銘したのを覚えてる。が、こんなの読んでるの?...続きを読む
  • 夜の寝覚め
    抱えている傷をなぞるように語り始めているのに、話が進むにつれ、主人公が傷口に爪をたててえぐっていく感じが好きです。
  • 懐かしい骨 新装版
    ミステリーと恋愛小説がmixしたような作品。余韻を残して終わるところは流石。死人に口無しというがまさにその通りで、両親や家の思い出を最後まで壊さないように胸の内に秘めたまま残された人生を生きる子どもたちの人間模様は良かった。
  • 虹の彼方
    読み進めていく中で、きっとラストは・・と予想していたのが良い意味で裏切られた。それにしても凄まじい恋。自分には絶対ないなあ。
  • 妻の女友達
    はじめて読んだ小池真理子さんの作品。
    そして貧弱な私の読書経験のなかで最も私を震え上がらせた一冊。
    早く続きが読みたくてたまらない、でも夜は怖くて本を開くことさえできない。
    そのため通勤電車の中や、お昼休みに読み進めました。

    現実がこうだとは信じたくありませんが、女の怖さを垣間見た気がします。
    ...続きを読む
  • 狂王の庭
    読んだのに、少しとまどって感想を書き忘れていました。
    小池真理子にまだ馴染んでいなかった頃に読んだ。
    何が書きたいのか、この作品だけでは分かりませんでした。

    100冊くらい読んで、ようやく何が書きたいか、
    分かりかけてきました。
    人について書きたいのだと。

    なぜ、ではなく、どうやって 生きて行く...続きを読む