小池真理子のレビュー一覧

  • 愛するということ
    微妙な立場に経たされた主人公
    自分の信念を貫こうとしていく。
    全く別の人生訓を吐く男。
    結末は,戦友意識の芽生えかもしれない。
  • 水底(みなそこ)の光
    p50
    「誰も否定できない,正しい当たり前のことを当たり前の顔をして口にして,したり顔をする人間が,わたしは昔から苦手だった。この種の人間は,人の心の中に生まれる曖昧な勘定を理解できないばかりか,強引に整理して,整理しきれないとわかると,平然と切り捨てにかかる。」
    p51
    「わたしはいつも中途半端...続きを読む
  • 雪ひらく
    短編6話。
    おき火
    最後の男
    仄暗い部屋
    雪ひらく
    場所
    パラサイト
    文庫版あとがきにかえて

    なんとなく,後ろ向きの言葉が多い。
    生きていることが良いことだという確信は,誰でも持てるとは限らない。
    著者が何が書きたいかが分からないまま読み進むのは辛いかも。いろいろな女性がいるということと,女性のあ...続きを読む
  • 青山娼館
    どんなことがあっても生き抜いた方がいいという伝言だと理解した。
    それ以外に読み方が分からない。

    青山という地名が,高級感を醸し出しているのだろうか。
  • 虹の彼方
    序章と終章以外は,志麻子,正臣という2人の主人公の名前が章の見出しになっている。

    読むのが辛かった訳ではない。
    志麻子,正臣と読むと,ちょっと休憩したい。

    同じところをぐるぐる回っているような感じ。

    読後感として,赤川次郎の「杉原爽香」シリーズが思い浮かんだ。
    赤川次郎の理想の女性像に対して,...続きを読む
  • 薔薇いろのメランコリヤ
    2000年から2001年 マリクレール連載。
    小池真理子の魔法で、雑誌にちちんぷいぷいとするとできあがる物語。

    型紙ができていて、そこに雑誌の粉を流し込むだけ。
    いろいろな思い,思惑はあるのだろう。

    ヨーロッパへの脱出。
    結婚。
    再開。

    最後の急展開と、再開という小間割りは小池真理子風。
    この...続きを読む
  • 冬の伽藍
    唯川恵が解説を書いている。
    「この美しい結末に、涙することのできる自分が嬉しかった。
     大丈夫,私はまだ失ってはいない。大切なものを感じる力をちゃんと持っている。
     私がこの「冬の伽藍」で感じた感動を、今,読者のみなさんと共有していることをとても光栄に思う。」

    うまい。この文章を読んだら,唯川恵の...続きを読む
  • 怪しい隣人
    短篇六話
    「妻と未亡人」
    「家鳴り」
    「終の道づれ」
    「寺田家の花嫁」
    「本当のこと」
    「隣の他人」

    「妻と未亡人」は,誤解なのか,詐欺なのか。結末が悲惨すぎるかも。

    「家鳴り」は、家にまつわる話題。
    短篇なので、結末が唐突なのは仕方が無いかも。

    作者は文学者なので、余韻を残す為に説明はしない...続きを読む
  • あなたに捧げる犯罪
    標題は小説推理のシリーズ名とのこと。

    各短編の標題は、
    菩薩のような女
    転落
    男喰いの女
    妻の女友達
    間違った死に場所
    セフィーニ 終幕
    で読み切り。

    「あとがきに代えて」がある。

    他の短編集に出ているものもあり、ちょっと恐い話もある。
    男喰いのように因果関係が不明確な場合もある。
    間違った死...続きを読む
  • いとしき男たちよ
    日刊スポーツ西部版 九州
    毎週1回の連載。

    毎回読み切りで、友人のネタを使ったとのこと。
    そんな恐いこと。
    結構際疾い話題もあり、友達どうしであれば、誰のことかばれてしまうはずなのに。
  • 肉体のファンタジア
    「骨」「指」「歯」「目」「背中」「舌」「毛」「爪」などなどの18節の見出しをもった評論集。
    映画
    ツゴイネルワイゼン
    あの胸にもういちど 原作 オートバイ(マンディアルグ)
    ピアノレッスン カイテル
    愛と時のアレゴリー ブロンツイーノ作
    ジュテームモアノンプリ ジェーンパーキン セルジュゲンズブール...続きを読む
  • 死者はまどろむ
    坂東眞砂子さんが解説を書いている。
    日本的な恐怖小説。
    「日本人の皮膚感覚を大事に」という表現が丁度よい。

    こんな恐い話は、日本人でないと理解できないかも。
    隠れキリシタン。
    ミイラ。
    という、非日本的なものと日本的なものの、日本的な融合。
  • 瑠璃の海
    「エリカ」と「瑠璃の海」を同時に読んでいます。

    エリカの感想には
    小池真理子の書きたかったこと。
    日常にありえる設定で、どの方向へ進むかではない。
    どの方向へ進んだとしても、そこにあるのは日常であるということ。

    設定そのものに対する見方を提示している。
    描写の旨さは、旨いことがいいことなのではな...続きを読む
  • エリカ
    小池真理子の書きたかったこと。
    日常にありえる設定で、どの方向へ進むかではない。
    どの方向へ進んだとしても、そこにあるのは日常であるということ。

    設定そのものに対する見方を提示している。
    描写の旨さは、旨いことがいいことなのではなく、日常的である枠に収めてしまうところがいいことなのではないか。

    ...続きを読む
  • 彼女が愛した男
    推理小説として逸品。
    全く著者に騙されていた。

    ネタバレの記事は読まずに読む事をお勧めする。

    人間として、どう生きるのがよいのか。
    考えさせられた。

    小池真理子が、表現の細部に気をつかうだけでなく、大きな話題をさりげなく忍ばせて行くことが旨い。
  • 青い夜の底 小池真理子怪奇幻想傑作選2
    1よりすごい怖い話が多かったのですが!!ひい!!朝読書の間、一人でひぃひぃ怖がっておりましたよ。

    生きがい
    人を世話することが生きがいの女性。彼女は、飛行機事故で夫と子供を同時に失って以来、生きる気力を失っていた。そんな時、彼女の管理するアパートに住む、息子と良く似た大学生が、風邪をひいて寝込んで...続きを読む
  • 記憶の隠れ家
    なんらかの家にまつわる記憶短編集6話。
    刺繍の家
    獣の家
    封印の家
    花ざかりの家
    緋色の家
    野ざらしの家
    解説は結城信孝

    「刺繍の家」は、結末の説明が十分にないところが恐い。読者がいろいろかってに想像できる。
    「獣の家」は、「キノコ」の家と呼んでもいいかもしれない。結末が恐すぎ。
    「封印の家」は、...続きを読む
  • 美神
    一人の女性の9,17,22,26,30,35歳を扱った6編の短編集のようなもの。
    父と義理の母とその連れ子の義弟の4人家族。

    1回ごとに、男性の主人公は異なる。
    最後に最初に出会った男が弁護することになる。
    結末は悲しい。

    小池真理子がこの本で言いたかったことは、なんだろう。
    記憶の断片の模細工...続きを読む
  • 一角獣
    超短編集(ショートショート)8話

    こんな花あらしの日の午後は
    月影の中で
    石榴(ざくろ)の木の下
    雨の朝
    闇のオンディーヌ
    一角獣
    妖かし
    光きらめく海
    あとがきにかえて

    日常生活を書かせたら,こんなにすごい作家はいないかも。
    怪しげな話も日常生活の一小間にすぎない。

    あとがきにかえて、では、...続きを読む
  • 浪漫的恋愛
    恋愛小説が嫌いな方へ。

    違う視点での読み方。
    家族の交通事故死と自殺という2つの事象に立ち会った女性が、どう生きて行くか。

    自殺した母と同じ年代になり、当時の母の感じたことをなぞる。
    違いは子供がいるかどうかだけ。

    主人公に子供がいたら、これほど冷静な描写にはならなかったのかもしれない。

    ...続きを読む