小池真理子のレビュー一覧

  • 欲望
    初めて読んだ恋愛小説。
    良かった。冒頭の主人公が書店で本を買う場面から、のめり込んで読んだ。回想録ぽい進め方が、良かったのだと思う。
    ミステリー小説以外で、貪るように読んだ本は初めてだった。
    また三島由紀夫との絡みもよく、ラストの余韻の残しかたなど最高だった。
    初めて読んだ恋愛小説が、あまりにも良す...続きを読む
  • 恋

    女子大生とある夫婦との3人の関係を描いた物語。活動家の男子学生と付き合っていた中で出会った、不思議な夫婦。とても仲はよいけれど、お互いにお付き合いをする彼女や彼氏がいるという夫婦。
    よく言う三角関係とは異なり、三人で過ごす時を重ねる中で、三人がひとつとなり、結びつきが布美子の心を揺さぶり、悲劇へとつ...続きを読む
  • 蠍のいる森
    結末が怖かった。
    ひょっとしたら、うまくいかないのではないかとはらはらどきどきしながら読みました。

    なるほど、そうくるかというところもありーの、
    最後に向けて、筋が絡み合う。

    無駄な摩擦を避けながら、話は最終局面に。
    人生いろいろというが、因果応報ともいう。

    1月ぶりの小池真理子の作品に、すご...続きを読む
  • 第三水曜日の情事
    掌編恐怖推理小説20話。

    解説を阿刀田高が書いている。
    小池真理子があとがきで、アメリカを舞台にした理由を書いている。

    恐い話が多いが、嫌な話ばかりではない。
    抜けるような爽快さか、暗い笑いがおきるか。

    結末が様々なので、予想をいつも裏切られる。
    だから推理小説と言えるのだろう。
  • あなたから逃れられない
    久しぶりに小池真理子の話を読むと、
    突然の自殺、殺人に戸惑う。

    そうだ、小池真理子は推理小説を書くんだ。
    解説の森瑶子がうらやましがっている。

    「アルレーみたいなものを書きたいの」
    ごめんなさい。アルレー読んでません。

    アルレー読んでから、又読みます。
  • 猫を抱いて長電話
    コワイ話
    踏んだり蹴ったり
    詐欺師
    恋の季節
    男を愛でる
    キョーフの白タク
    化粧仮面
    男と女
    女流とは
    。。。

    短い随筆。4ページくらいづつ。

    「知的悪女のすすめ」のような棘はないかも。
    猫を抱いて長電話するような世間話の延長線上。
    それなりのするどさと、小池真理子らしさは満載。
  • 欲望
    三島由紀夫の話題が全編の下敷きになっている。
    著者の三島由紀夫に対する、あこがれと一つの回答になっている。

    登場人物が、著者の三島由紀夫に対する回答の道具になっているかもしれない。

    次々に亡くなっていく知人達。
    生き残った主人公の思いが不透明。
  • 玉虫と十一の掌篇小説
    掌篇小説とは,英語でshort short。
    人名の固有名詞なしの小説群

    食卓
    千年烈日
    一炊の夢

    いのち滴る
    死に水
    妖かし
    飼育箱
    玉虫
    さびしい

    短いあとがきにかえて

    「午後のロマネスク」の「短いあとがきにかえて」に
    川端康成の作品集に「掌の小説」と題した1冊があるとのこと。
    超短編...続きを読む
  • 二人で夜どおしおしゃべり
    随筆集

    二人で夜どおしおしゃべり
    男と女のつづれ織り
    濃いのストリップディーズ
    人生は風をはらんで
    男たちとのサークルゲーム

    解説 江森陽弘

    初出の記載がない。

    ざっくばらんな話のなかに,文学などの話題がちらほら。
  • 虚無のオペラ
    絵描き,ピアニスト,声楽家,モデル。
    芸術家の間の関係は不可思議。

    自己中心なはずなのだ。
    芸術というもやがかかっていて何でも正当化してしまう。

    場面の切り替え,過去と現在の切り替えがうまい。
    最後には全貌の一部が分かる。

    分からないところもいろいろあるところが文学なのだろう。
    結末がどうなる...続きを読む
  • 水の翼
    文学作品として,ここまで手が込んでいるものを見たことがない。
    三島由紀夫の死になぞらえて,
    一人の芸術家が死ぬ。

    その過程に,詩人 壬生幸作 の詩がある。
    「水には翼があるのだ,ときみは言ふ
     青い地平の遥か彼方で
     空の青
     海の青
     月の青とが解け合ひ
     混ざり合ひ,滲み合ふためにこそ
     水は...続きを読む
  • 蜜月
    2枚目,辻堂薫の息子,辻堂環(たまき)の死亡の知らせに対する様々な反応を示す小説。主人公は女性の短編6話。
    それぞれを辻堂環の短編小説として,あるいは6つの話で1つの話と考えることもできる。

    小説新潮に1996年から1998年に掲載。

    画家とのこと。テレビの司会,美術書「十七世紀フランス絵画に見...続きを読む
  • 短篇セレクション ノスタルジー篇 夢のかたみ
    短編5話

    夢のかたみ
    チルチルの丘
    路地裏の家
    ディオリッシモ
    約束

    巻末エッセイ5 遠い日の情景
    解説 稲葉真弓

    稲葉真弓はほぼ同世代とのこと。
    読者を引き込む無駄の無い書き出しを誉めている。
  • 短篇セレクション 幻想篇 命日
    短編小説 5話

    命日
    家鳴り
    流山寺
    水無月の墓
    ミミ

    現世と異界その往復 巻末エッセイ3
    解説 辻章

    恐怖小説,推理小説,魔界小説。
    恐いといえ恐い,結末が予想できなかったといえば,予想できなかった。
    いい意味で期待を裏切る。
  • ひぐらし荘の女主人 短篇セレクション 官能篇
    短編3話。

    ひぐらし荘の女主人
    花ざかりの家
    彼なりの美学

    官能の風景 巻末エッセイ2
    解説 皆川博子

    まさか,そんな落ちとは。
    予想だにしなかった。
    小池真理子もやはりお嬢様だったのか。
  • 恋人と逢わない夜に
    知的悪女のすすめ の延長線上の評論集。

    解説を小沢遼子が書いている。

    日刊スポーツ,野生時代,住宅新報,赤ちゃんとママ,女子大生ノート,オールセールス,PHP,ミステリーマガジン,月間プレイボーイ,けいしんニュース,王様手帖,婦人画報ビューティ,Peopleなどに掲載の話。てんでばらばら。
  • ナルキッソスの鏡
    これまで,小池真理子の理想が見えていなかった。
    三つ以上の方向があるような気はしていた。

    真琴の自己陶酔は,一つだと感じた。自分を美しいと思う。

    千鶴の浩二への想いも,一つかもしれない。
    「浩二はしばらくの間,じっと千鶴を見つめていた。雨まじりの風が強く吹き,闇の中でベランダに下げた丸い物干しが...続きを読む
  • 夜は満ちる
    短編恐怖小説6話。
    やまざくら
    縁えにし
    坂の上の家
    イツカ逢エル
    蛍の場所
    康平の背中

    蛍の場所は恐い。
    結末の理由が分からない。
    著者がなぜこういう小説を書くのかが分からない。
    恐すぎて,読み切るのに3日かかりました。
    次の話が読めない。
  • 追いつめられて
    推理短編小説6話

    窓辺の蛾
    悪者は誰?
    追いつめられて
    泣かない女
    隣りの女
    予告された罠
    あとがき

    予告のようなところで終わっているものもある。
    主人公の意図をしっかり記述している。
    恐いといえば恐いし,話だからといえば話だし。
    日常生活の一部に現れる殺意のようなものを表現することもある。

    ...続きを読む
  • 律子慕情
    収まるところに収まった感。
    亡くなった人の姿を見るのはなんだったんだろう。
    本人の不安定さが原因なのかもしれない。
    亡くなった人にかこつけて,自分の反射を見ていたのかもしれない。