【感想・ネタバレ】巨鳥の影のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

*生活のなかで、ふとした心の隙間に忍び込む殺意や悪意が、蟻や、鳥、魚、犬、プラナリアなど、さまざまな生物と絡んで事件が発生する。のぞきや、泥棒、殺人など、犯罪の背後にあるドラマを描き、謎解きだけではないミステリーの魅放つ放つ。その根底には温かなまなざしと伏線のしかけがめぐらされている。心の揺れや、ゆがみが引き起こす犯罪&どんでん返しの妙を堪能する8篇の極上ミステリー*

いつも通りお見事な展開です!
特に今作はさらりと読みやすく、全てが集約されたラスト3行がじんわり胸に染み入ります。
謎が解けても、悪事が詳らかになっても、淡々とその事実を受け入れて静かに終焉する物語たち。
泣き笑いのまま迎えるような、不思議な読後感です。

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2021年11月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 連作ではない短編集は久々だろうか。帯を見ると、短編ミステリの旗手・長岡弘樹さんの最新短編集は「生き物」が共通の括りらしいのだが?

 最初の表題作「巨鳥の影」からびっくり。巨鳥だと思ったものの正体は…。彼はどこで知ったのか。素晴らしい文化をこのように悪用するとは。「死んでもいい人なんて」いないと言い切れるか。どんな悪人だろうと殺せば罪になる。似たような例は現実にも聞くが、ここまで腐った人間はいないと思いたい…。

 本作の一押し「水無月の蟻」。蟻を飼育している青年が、隣りの女性に頼まれて蟻を貸した。まさかこんな目的だったとはねえ。気の毒だが自業自得か。本作中最も重い「巻き添え」。タイトル通りです、はい。現実にもある不幸な事例。ここまで偶然が重なることはないかもしれないが…。父の願いが届いてほしい。

 「鏡面の魚」。語り部の男に一切同情はしないが、こんな改竄手段があったとは。色々突っ込みたいと同時に、素直に感嘆もした。短編だから生きたネタかもしれない。これまた重い「白いコウモリ」。子ども社会の残酷さと、少年の酷な運命。あまりにも壮絶な母の愛の形とは。どうか強く生きてほしい。

 「見えない牙」の正体とは。うーむ、どうしてこんな男と再婚したのだ。その「父」とは呼びたくない男の視点で語られる、皮肉な結末に苦笑せざるを得ない。最後に「再生の日」。道を踏み外した元医学部生が、驚嘆した理由とは。このような実例が実際にあるのか知らないが、彼も再生できるだろうか。

 全8編、突っ込みたいけど唸らされる、長岡流短編ミステリの神髄が詰まっている。

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2021年09月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

星新一流のシニカルな短編、サスペンスミステリーで
けだるいモノローグで描写も簡潔だけど物語に誘い込む力が強い、刑事が真相に気が付いても・・・「何もせんのかい!」と突っ込みたくなるぐらい淡々と終わるw
陰湿男、蟻の借用、片付けられないコボレタ砂糖なんて、ホームズ物で得意げに謎をひけらかされた気分
マザコン息子、狂気の恋人、大人びた子どもと吸血鬼、義理の娘の企み、盗まれたアレ・・・真相示されても釈然としないカタルシスも冴えわたる文章がほんわり人間も描き出している作品集(´・ω・`)

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2023年10月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いつもの感じの長岡さんですね〜

えっ。そうくるか?みたいな展開は、あまりなかった。
なるほどね〜くらい。

サクサク読めて、内容について
深く考えずに読み終えてしまって
みんなの感想を読んでから
鳥とか蟻とか犬とか…
あら?生き物つながりだったの?
と初めて気づいたわ

「死んでもいい人なんて」
私は1番共感できた。
そう。死んでもいい人なんていない!
なんて所詮、綺麗事で…
死んだらいいのにって思っちゃう人が多いものよ。
でも実際死なれなら、そう思ってしまったことを
きっと後悔するんだろな
だからやっぱ軽く「死ね」とは言うちゃいかんな。
とよく思うんだけどね。
でもこの話では、死んでもいい人がいた。
だから共感!

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2021年12月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【収録作品】巨鳥の影/死んでもいい人なんて/水無月の蟻/巻き添え/鏡面の魚/白いコウモリ/見えない牙/再生の日
「巨鳥の影」 刑事が聞いた鳥の鳴き声のような音の正体がポイント。
「死んでもいい人なんて」 一見、窃盗犯に対する過剰防衛に思える事件。窃盗犯が忍びこんだのは息子の担任教師の家だった。
「水無月の蟻」 内気な男の隣人への暴走する思い。隣人が男の世話している蟻を借りた理由とは。
「巻き添え」 マザコン息子を溺愛する母の怖さ。
「鏡面の魚」 薬品名を間違えた医師の医療過誤か。ホワイトボードマーカーで鏡面に描いた魚を泳がせる方法が気づかせたことは。
「白いコウモリ」 交通事故で入院したままの加也斗の母は、「吸血鬼」になったのか。
「見えない牙」 義理の娘である小学生の四葉とうまくいっていない「おれ」。四葉が持って行ったスマホを取り戻すため追いかける。
「再生の日」 学費を払えなくなり、医学部を中退することになった「おれ」。過激派に入り、時限爆弾作りに手を染めるが、試作品を盗まれてしまう。
真相(らしきもの)がわかっても、すっきりしない作品が多い。現実はそんなものだろうけれども。

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2021年11月14日

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