【感想・ネタバレ】潜入・ゴミ屋敷 孤立社会が生む新しい病のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2022年11月02日

何十年もかけて溜められたゴミ山が凄絶。エアコンの高さまで積み上げてその中で生活している住人の心理がよくわからないが、精神疾患であるとの見解。関連してゴミ屋敷清掃の動画を見ていたら気が滅入ってきた。ゴミは人の生きる気力を奪う。対策は人のつながり。

0

Posted by ブクログ 2022年09月16日

孤立が先か、ため込みが先か。

生前・遺品整理業者で実際に3年間はたらいたジャーナリスト・笹井恵理子さんによるルポです。内容は、壮絶なゴミ屋敷の整理体験記、「ためこみ症」に対する医師や専門家の見解、本人や家族へ向けた具体的な解決案、整理業者ではたらく方の心情など。構成もわかりやすくあっという間に読み...続きを読む終わりました。悪徳整理業者の見分け方まで書かれており、細やかさに好感が持てます。

ゴミ屋敷に住む人・住んでいた人に偏見の目を向けるのではなく、住人の再起を願う笹井さんの優しい目線を感じます。迷わずおすすめできる本です。

ゴミ屋敷主人の人生を描いた橋本治さんの小説「巡礼」を読み、ゴミ屋敷に住む人間の心理に興味がわいたところに、この「潜入・ゴミ屋敷」が話題になっていたので迷わず手に取りました。読んでいてあまりに自然に「巡礼」の主人公の描写・心情とぴったり符号するので驚きました。

現場ルポは本当に壮絶です。死臭、虫、大小便、亡くなった遺体の痕跡の描写が、読んでいて自分の顔が歪んでいるのが分かるほどに。住人の孤独の痛ましさをリアルに物語ってくれます。
帯に「こんな家に住んでいると、人は死にます。」とありますが、これはけして煽り文句ではないことが読めば分かります。

ものをためこみ過ぎて日常生活や社会生活に影響をおよぼしてしまう「ためこみ症」は2013年に精神疾患として定義されました。
そもそも「ものを必要以上にためこむ」という行動自体は他の疾患にも見られるようです。ADHDは整理整頓が不得意であったり、うつであれば整理・処分する気力がない。認知症の場合はなにを所有しているかを忘れてしまう。統合失調症は「これを処分すると大変なことになる」という妄想、、、それらがきっかけでためこみ行動が起きるとされています。
上記の疾患と区別される「ためこみ症」は、人間関係の強烈な喪失体験(大切な人との死別や離婚その他)がきっかけとなり、ものをため込むことで喪失した部分を埋めようとする病気だそう。ためこんだものが自分の一部のように感じられるため、処分することに苦痛を伴うとのことです。

ゴミ屋敷の住人は、社会あるいは人とつながれなかったからためこみ行動に出てゴミ屋敷をつくりあげてしまったのか。それともゴミ屋敷になってしまったから周りから孤立してしまったのか。どちらが先かはわかりませんが、行政でもご近所さんでも友人でも、なにかしら「だれかと繋がること」がゴミ屋敷から脱する手がかりになることが分かりました。

最後に笹井さんは、コロナ以降の孤立をふせぐためには「"弱くゆるい人間関係"が大事」と書かれています。やはり昨今の社会のあり方におけるキーワードですね。肝に銘じます。

余談:「SM系エロ本」を大量にためこんでいた現場のルポで、大学教授にためこみ行動とSM趣味の心理的な関係をたずねていたところは、不謹慎ですが少し吹き出してしまいました。

0

Posted by ブクログ 2021年12月05日

最近増えているであろうゴミ屋敷清掃に関わる会社のレポート。なぜゴミ屋敷は生まれるのか。そしてゴミ屋敷に関わる現状をうまく分かりやすくまとめてあるとてもためになる新書でした。著者さんもしっかりと現場へ取材しているからこその良い本だと思いました。

0

Posted by ブクログ 2021年09月12日

時々、TVワイドショーやニュースで目にする
「ゴミ屋敷」。どういう人間が住んでいるのか
と興味が湧くと思います。

「潜入」とあるだけに、取材ではなく実際に
ゴミ整理作業員として現場に足を踏み入れた
生々しい内容が本書のキモです。

ごみ屋敷化してしまう要因はいくつか考えら
れるそうです。

最たる...続きを読むものは「溜め込み症」という身もフタ
もない病気によるものらしいですが、ただこれ
は状態を表している病名であり、その中身は
収集癖、整理整頓ができない、処分できないな
どの要素から成ります。

もう一つが物への強い愛着です。

普通の人のアイデンティティの一つに「肩書き」
があるのは理解できると思います。その人が何
者であるかを端的に表すのが「肩書き」です。

しかしその「肩書き」がない人にとってのアイ
デンティティは何であるかと言うと「何を持っ
ているか」になるのです。

たとえガムの包装紙でも、それを捨ててしまう
と、それを食べていた時の自分がいなくなって
しまうような感覚に陥るらしいです。

誰もが孤立してしまう可能性を秘めている現代
社会において、誰もがゴミ屋敷化してしまう可
能性もあるのです。

現代社会の潜む病理に鋭く切り込む渾身のルポ
です。

0

Posted by ブクログ 2023年02月09日

ゴミ屋敷レポにあたるが筆者が実際に現場の仕事を体験し且つ表面的でないのが良い。
ところで傷口からバイ菌が入って脚の切断と相なった職員の方の話はホラーとしか思えない。

0

Posted by ブクログ 2022年11月27日

文章はそんなに上手くないのだけど、著者の優しい人柄が感じられる。
取り上げられているエピソードも、ゴミ屋敷の住人に対して好意的で、時々見るテレビ局が視聴率欲しさに興味本意で作った番組のようなものとは違う。
だからこそ、自分や自分の大切な人が"そう"なる可能性を感じてとても怖い。

0

Posted by ブクログ 2022年05月30日

沖田×華さんの漫画『不浄を拭うひと』で特殊清掃やゴミ屋敷の現場の描写には耐えられるようになったつもり(1巻の前半は衝撃と想像で少し具合が悪くなったくらい→3巻を読むころには慣れてきた)でいたけれど、緻密な文章での描写はまたやはり違った角度から心を抉ってくるようで、読んでいてしんどくなる箇所がいくつも...続きを読むありました。

ゴミ屋敷化するきっかけやその後の過程に関心があって読みましたが、「孤立」がやはりキーワードだと感じました。
が、社会的な人とのつながりがあればそうはならないのかと思いきや、意外と”外ではちゃんとした職業の人”の家がゴミ屋敷化しているケースも多くて、普段から人と接しているからと言ってもそれは「孤立していない」とはならない、ってことなんですね…ちょっと鬱々とした気持ちになりました。
「孤立しない」ためにどうすればいいのか、というかそもそも「何をもって孤立した状態っていうの?」と考えて頭がまだグルグルしています。
現状ゴミ屋敷でもないしモノのためこみもしてないけれど、完全な他人事ではなく何かがきっかけでそうなってもおかしくはないのかもな、という危機感というか焦燥感みたいなものを抱きました。

0

Posted by ブクログ 2022年04月03日

ゴミ屋敷の片付けから特殊清掃まで、実際に立ち会って自ら体験の体験をもとに描かれたルポ。非常に丁寧に、当事者に寄り添って描かれているので、興味本位で手にした自分がちょっと恥ずかしくなりました。
「ゴミ屋敷」にならざるを得ない状況に対して反射的に否定的な感情を抱いてしまいますが、何が異常で何が正常なのか...続きを読むが非常に曖昧な昨今、そんなに距離感の有るお話ではないのだな、という気持ちにさせられました。
好きな物を傍に置く事で自分を幸せにする行動は誰でも日常的にしている物で、その対象が個人で違うだけあり、またその人にとって何が大事かどうかなど、他人が簡単に決めて良いものではない。とても口当たりの良い言葉ですが、実際現場に立たされたら、自分はその意思を通せるだろうか…モノは生き様…

少し前に話題になったお片付けの極意レベルの話ではないですねw

0

Posted by ブクログ 2022年03月27日

著者は週刊文春などでゴミ屋敷の記事を書いたジャーナリスト。「潜入」のタイトル通り、かなりたくさんのゴミ屋敷掃除に作業員として加わってきており読み応えがある。床が抜けて釘を踏み抜き、足切断に至った人もいるほどの危険な仕事。大量の尿や大便の処理に出くわすことも多い。お笑い芸人の夢を諦めてバイトだったこの...続きを読む仕事を本職にした男性は、子供に「色々な人に感謝されて、人の役に立つ仕事だよ」と話す。家の中で鳩を飼いながら猫も飼っていたとか、壮絶な実話を驚きながら読んでいたら、医師の登場でとても興味深い分析も。診療内科医の海原純子氏は片付けが苦手で、家はゴミ屋敷ではないが、職場の机はいつもぐちゃぐちゃ。発達障害に当てはまるかもと話すが、それはその人間の特性で病気ではないと言う。色々なものを同時進行でパソコンも机もごちゃごちゃでも、きれいに縦割りで整理されていると産み出されないものがある。みんなが自分主体の時間を過ごせば良い。ひとつの遊びが終わったら片付けるのでなく一日の終わりにまとめて片付けても良い。刻む時間は人によって違う。季節ごとに服を整理できなければ、ある年代が終わったときにまとめて片付けても良いのだ。

0

Posted by ブクログ 2022年02月09日

著者自ら、作業員となりゴミ屋敷に潜入した記録。

孤立しているからゴミの中に埋もれるほどの状態になるのだろうか…と思った。
誰かが、気づけば少しは状態がマシになるのでは…そう思いながら読み進めた。

何がゴミで、何がゴミでないか。
判断基準はその持ち主であり、持ち主が「全部いる」と思うなら、それはゴ...続きを読むミではなくなる。

確かにそうで、だからこそ片づけられないのもわかる気がする。

「ためこみ症」とは、精神疾患の一つだと言われているが、ためこみ症の人の物のためこみ方は、発達障害や強迫症、PTSDの人と違って、自分の心の中の穴を埋めるのに必死な部分がある。
ためこみ症の人は、片づける能力がないわけではない。
他人の所有物なら整理することができる。
ところが、自分の所有物、自分の物に対しては、他者に譲る、片付ける、手放す、ということが難しくなる。

確かに、他人のものなら片づけるのに自分のものは全部必要だと思ってしまう…

もしも自分が認知症などで介護を受ける状態になったら、もしも災害が起きて物がつぶされたら、もしも突然死したらと考えて、できる限り身のまわりをすっきりさせたほうがいいと。ほんとうに思った。

業者に任せるにも莫大なお金がかかるし、なによりも自分の親、子どもに迷惑をかけてしまう。

片づけは、元気なうちにやるべきことだと思った。

0

Posted by ブクログ 2022年01月12日

内容が興味深くすぐ読み終えた。
なかなか明るい話ではないから読んでて希望が持てる感じでは無いけれど、ためこみの背景にある病気についても書かれており、少しゴミ屋敷について知れたと思う。

0

Posted by ブクログ 2021年11月18日

割かし面白かったですかね…雑誌のSPAみたいな内容でしたが…社畜死ね!!

ヽ(・ω・)/ズコー

ただ、著者が自らの意見を述べるような下りはかったるいですね…僕はただゴミ屋敷の現状が知りたいだけなのに…そこ読ませるか!? という感じですかね…社畜死ね!!

ヽ(・ω・)/ズコー

ともあれまあ...続きを読む、便利な社会になりましたけれども、他人を気に掛ける、というようなことが減っている今、これからもこういったゴミ屋敷って増えるっぽいですなぁ…。

便利になればなるほど他人にお節介を焼くような人が減っていくという現状…しかし、人は誰にも気に掛けられずに生きていけるほど強くはない……ってなわけでゴミ屋敷は誰にでも起こり得る現象だな! と思いましたです…。

さようなら…。

ヽ(・ω・)/ズコー

0

Posted by ブクログ 2023年10月14日

以前も似た物を読んだけどそこまで、衝撃はこなかった。
やはり、孤立/孤独が原因。
独身1人暮らしがなりやすいとは言うけれど、本の中には子供と暮らしてる人も出てきたね。血のつながりは無い連れ子との共存だけど。
ゴミ屋敷になる人はためこみ症という病らしい。
強迫症の一種のためこみ症。
物に執着、大量に集...続きを読むめる、整理整頓が出来ない。
コレクターとは違う。
あとADHD。

これを捨てたら思い出が…って。
それよくわかるけど、
極端に過去に縛られたらいけない、今を孤独孤立にならないようにしたら変わるかも。
これに重要な事が書いてるかも…と思って捨てれない新聞、
残してても一生読まない。

わたしも残してる本捨てよーって思った。

0

Posted by ブクログ 2021年08月16日

 よくテレビなどで取り上げられているゴミ屋敷は、一体どのような精神状況でそうなってしまうのか興味があったので読んでみた。
 理由は孤独とか大きな悲しみがあったとか認知症とか、自分の想像通りではあった。
 ソロキャンプとか1人カフェとか、一人でいる方が自由で気楽な風潮があるけど、横の繋がりは大切で、や...続きを読むっぱり人は1人で生きることは不可能であることを納得した。
 1人の時間も、人と繋がることも、どちらもバランス良く保っていけることが理想だけど、自分が老いたり精神が病んだりした時にそれを保てるかどうかは疑問だと感じた。

0

「ノンフィクション」ランキング