【感想・ネタバレ】マルセロ・イン・ザ・リアルワールドのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

マルセロが大好き。きっと実際に一緒にいると、イライラしたり、傷つけたり、傷つけられたりすることが多い人なのはわかるけど、でも好き。訳者のあとがきにあるとおり、「さまざまな彩りを放つ」虹のようなスペクトルを眩しく思います。
大きく自閉症スペクトラムとしてくくられる子と接する機会は多い方だと思うんですが、彼らは、少し理解できたかも!と思っても次の瞬間裏切られ、驚かされる。いい意味でも悪い意味でも。
ただ、この特性を持った大人と一緒に働くと、どうしてもイライラの方が多くなってしまって後で反省することがよくあります。ジャスミンのようでありたいと、切実に思う。

あくまで本なので、マルセロの思いや考えを理解した上で、彼の言動を追いかけることができるのは面白く、同時に歯痒い。
マルセロスペクトル並みにカラフルで強烈なキャラクターたちそれぞれが魅力的だし、喧騒、競争、私利私欲が溢れる法律事務所と、星や風や湖や動物たちの音に溢れ、「独立した旋律を演奏する場所」になり得るバーモントの対比も素敵です。
表紙に惹かれて手に取った本ですが、読み終わって改めて見ると、なるほどと思うデザインです。

ストーリーとしてはイステルの一件が大きなポイントなのだと思いますが、マルセロが表現するように、あくまでそれは火をつけるためのマッチに過ぎません。
殻を破り成長してゆくマルセロの通過点。ある意味では出発地点。
ジャスミンに手を引かれてツリーハウスを降りたマルセロは、リアルな世界で生きてゆくために1度はその手を離すんだろうけど、きっとまたあの星空の下で、離れた手は繋がるんだろうと期待します。

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2020年02月17日

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