あらすじ
「日本資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一の伝記を,文豪が手掛けた.士は士を知る.本書は,類書中,出色独自の評伝. 激動の幕末・近代を一心不乱に生きた一人の青年は,「その人即ち時代その者」であった.枯淡洗練された名文は,含蓄味豊かな解釈を織り込んで,人間・渋沢栄一を活写する.露伴史伝文学の名品(解説=山田俊治).
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Posted by ブクログ
『青天を衝け』(大河ドラマ)を観つつ、参考としてこの本を読み始めた。書いたのは幸田露伴。渋沢没後一周年に伝記編纂事業開始、数年後、本書が上梓された。
渋沢本人と同時代を生きた人による伝記なのでそれなりに信憑性が高そう。しかも流石露伴先生。打てば響く名文、かつ淡々とした文体でとても読みやすかった。
内容は大河ドラマとほぼ同じ(原作これなんか?)若き日の攘夷志士、渋沢が江戸に出て徳川慶喜の家臣となり幕臣として渡仏。フランスで得た商工業知識を日本に持ち帰り、日本の金融産業の発展に貢献したと。平たくいえば誰でも知ってる内容だが、その尋常ならざる仕事への情熱、上司(慶喜や、大蔵省時代は井上馨)への敬慕の念、不眠不休で働ける異常な体力、エネルギー、バイタリティ。現代まで続く有名企業のいくつを作った?会社立ち上げすぎてて嘘みたいで笑える。多くのビジネスマンにとって、学ぶところの多い人物なのは間違いない。
彼は私利私欲のためでなく、5年後10年後の日本の未来の有り様を見据えて、誰もが豊かになれるそんな社会を実現するために粉骨砕身努力した人であった。
こんにちの日本の発展は、この人なくして成り得なかっただろう