あらすじ
小さな島は大人の学校だ。消えゆく風習、失われた暮らし、最後の一人となった島民の思い──大反響書籍『秘島図鑑』(河出書房新社)の著者が日本全国の離島をたずね、利他的精神、死者とともに生きる知恵など、失われた幸せの原風景を発見する。
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Posted by ブクログ
「不思議な島」を巡る旅ではありません。
「島旅」は不思議な感傷を呼び起こさせること
を意味しています。
日本全国で過疎が進んでいるのですから、島で
の過疎化は本土の比ではないと思います。
しかも最後は「無人島化」してしまうのです。
戦後に無人島化したのは138島です。2020年
時点で日本の島は6852(この数値は根拠が不
明で、諸説あるそうです)の内、有人島は何と
418しかないのです。
たったの6%の有人島率なのです。
そんなはかない運命を持つ島を訪れることに
よって感じる不思議な思いが本書には込められ
ています。
日本という島国に固有の文化が生まれたのと同
様に、それぞれの島にも独自の文化、風習が残
されています。
そんな失われつつあるもう一つの日本を巡る一
冊です。
Posted by ブクログ
過疎化の最たる例が離島である。
2023年の国土地理院測定により、日本には14000もの島(周囲100メートル以上の自然陸地)があることが判明した。このうち、有人島は400程度とのこと。
石垣島を除いて、人口の減少率は本土よりも顕著であり、人が居なくなれば当然島は荒廃する。さらに、島のことを知る人が高齢化し少なくなるため、さらに記憶は失われていく。人の記憶が無くなれば、国土としての認識も薄れていく。歴史の共有が失われれば、外国に不法占拠されても抗えないのだろうか。北方領土に対する日本人の認識は、将来どうなるのだろうか?
本書では、失われゆく離島各地に残る独特の風習を記されており、ノスタルジックな気持ちになる。この本を手に取った人が、どこかの島に1箇所でも訪れてみたいと思って頂ければ良い。移住はハードルが高いが、島の記憶を誰かに語り継ぐだけでも意義がある。
沖縄の前島は、太平洋戦争末期に集団自決のあった慶良間諸島で唯一、集団自決を免れた。その理由は?
多良間島では、親族以外の別世帯の子供が幼児の子育てをするという。
こういった島の歴史と文化を風化させないために、まずは読んでみよう。
Posted by ブクログ
日本列島に点在する小さな離島。
無人島、有人島、ひとりだけの島に旅して、出会う人々。
暮らす理由、生活、風習と、失われるものを見い出す記録。
序章 離島の人口が減っていく
第1章 人ー有人島と無人島のあいだ
第2章 風習ー今も息づくもの
第3章 歳月ー失われゆくもの
終章 万物との対話
大まかな離島地図、参考文献有り。
日本には7000近い島がある。
その多くは無人島だが、有人島もある。
しかし、時代とともに人口が減り、無人化する島もあるし、
人口がひとりだけの島、再有人化した島もある。
そんな島々への旅行記&人との出会いのノンフィクションです。
たったひとりでも島に人が暮らすことの貴重さ。
その暮らしは、島とともに生きられる喜びが。
島の歴史、独自の文化や風習、島の「個性」を継ぐ、者たち。
子どもが子どもを呼ぶ、守姉の風習。
船で島を離れる惜別の光景は、送る人&送られる人の思いの情。
新島の流人墓地への「だんとう」の風習。
失われてゆく北方領土の生活の記憶。
無人島の電話ボックス、屋久島の温泉ではない瀬風呂跡。
過疎化、想定外の災害、対外事情や歴史の変遷等、
過去も現在も未来も、時の流れの移ろいはあれども、
大いなる自然に抱かれる離島の風景は、ただ、そこにある。
不思議な想いを抱かせる、心に響く何かを、秘めて。